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第2回 ムービーに必要な要素



カメラマンは、取材に際して、スチルだけではなくビデオも一緒に撮影依頼される場合が増えてきている。例えばインタビューなど、雑誌やWebでインタビュー記事を載せるだけではなく、今やインタビューそのものをWebなどで公開するケースが少なくない。
そこで、本連載では、スチルカメラマンでもビデオ撮影に対応できるように、必要最低限の道具の準備、そして撮影・編集テクニックについて解説していく。今回はインタビュー撮影で抑えるべき基本を述べてみよう。




▲ムービー仕様の7Dを構える著者のヤギシタ氏

著者:
ヤギシタヨシカズ
http://www.yagishita.org/

グラビア、広告撮影からムービーの撮影、編集まで幅広く対応する、マルチカメラマン。



●ビデオカメラについて

ムービーの撮影では、なにより完成形を想定して撮ることが大切です。分かりやすいムービーにするためには、あらかじめ必要な要素を想定して撮ることが必要です。

例えば、企業でインタビューの撮影を行う場合を考えてみましょう。1本のムービーを完成させるには、
(1) タイトルバック
(2) インタビュー本体
という要素が必要になるかと思います。

また、
(3) インサートカット
も撮っておくとベターです。

以下にそれぞれの要素を説明していきます。


●タイトルバックとは

タイトルバックとは、ドラマなどでいうとオープニングテーマに出演者のクレジットなどが表示されるかと思います。企業でのインタビューなどであれば、外観を1つ撮っておいて、そこにタイトルを重ねるなどがよくあるスタイルでしょう。あるいは、商品や、作業風景など、そのテーマに沿った絵をタイトルの背景にしてもよいでしょう。


●インタビュー本体の撮り方

インタビュー本体は、話の重要な内容をセレクトして編集することになると思います。編集した時に同じサイズで撮った被写体を直接つなぐのはあまりお勧めしません。話の切れ目や、NGが出た時など、編集でつないだ時に被写体のサイズが変わっている方が違和感なく見ることができます。

また、可能であれば2カメ使用し、正面からと少し横からのカメラで、サイズを変えて撮るのがよいでしょう。そうすると編集の際に同じサイズでつながざるを得ないという状況を回避できます。また、一番の効果として「いかにも編集した」ということを見ている人に感じさせずに必要ない部分をカットできます。

例として「私は松も竹も梅も好きです」と言っている部分の「松も」だけをカットしたとします。

その時に1カメで撮った素材から「松も」の部分だけをカットしたらいかにも編集したということが分かってしまいます。しかし、「私は」をサイドからのカメラで、「竹も梅も好きです」を正面から撮った絵でカメラを切り替えると、違和感なくつなぐことができます。



もう1点、大切なのが回答者の視線を決めることです。カメラ目線で通すのか、インタビュアーへの目線にするのか。特にカメラ目線だった場合、話し終わった途端に横にいるインタビュアーに目線を移してしまい、編集時にその目線が変わった部分も残さざるを得ないことが起こりがちです。インタビューに不慣れな方だと、現場で言ってもできない場合が多いのですが、できるだけ視線を安定させていただいて、話し終わっても同じ場所を見てもらうようにしましょう。


●質問は声やスーパーで

次にインタビュアーの声を残すかどうかを想定しておきましょう。インタビュアーの声を残す方法と、完全にカットしてスーパーで質問事項を表示するという方法が考えられます。もし、インタビュアーの声をカットする場合、インタビューを受けている人と声がかぶらないように、ある程度余裕を持って答えてもらいましょう。


●「インサートカット」を撮っておく。

タイトルバック用に「商品や、作業風景など、そのテーマに沿った絵」をいくつか撮っておくと役立つことが多々あります。主な使い方としては、話だけでは説明しづらい部分を具体的に説明できるということでしょう。

あるいは上記のインタビューを1カメで撮影して、上記の「松も」をカットしたような場合、回答者の必要な部分の声だけを使い、映像には話に関係のあるインサートカットを使うなどすると、違和感なく不要なコメントを削除することができます。極端な例を示すと、「私は竹も梅も好きです」という音声を使ったとします。「私は」の時に出演者の顔、「竹も」の時に竹の映像、「梅も」の時に梅の映像「好きです」の時に出演者の顔、というようにです。


●「実景」を撮っておく

実景は、いろいろな状況を説明 する際に必要です。ドラマの場合で例えましょう。放課後の教室のシーンがあって、次にすぐに自宅の食卓のシーンをつなげると違和感が出てきます。そこでその間に自宅 に帰ってきたことを説明するために家の外観のカットを挿入するのです。それが実景です。教室の映像が夕焼けな感じのトーンで、自宅の外観が夜になっていた場合、時間経過も説明できます。さらに次のカットで家の中の食卓を広く撮った、シチュエーションや、その場の人物が分かるカットもあればベターです。

企業インタビューのムービーなどでも、その会社の外観を撮っておいたり、受付やその会社のロゴマークなどを撮っておくと、なにかと応用が利くと思います。会社案内的なムービーの典型的なイメージでは、まず社屋の外観を映してそこに重なるタイトル、社内のパンやインサートカットがあって、社長の顔につなげるという流れです。社長の顔以前が上記のタイトルバックです。視聴者がムービーを再生したときに、いきなり社長の顔が出てくるより、その前に何カットか説明カットを入れておいたほうがスムーズな導入になります。

ただしそれも場合によります。Webなどで簡潔なムービーが必要であれば、いきなり社長の「こんにちは」から始まってもいいでしょう。メディアや要望に応じて選択することが必要でしょう。

次回以降、個別のテクニックや解説に入っていきます。




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