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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.59


新型カメラ フェーズワンXF 試用レポート

モデル:永野里美





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 8」 38,000円(税別)
対応OS:Windows 7 SP1(64bit) / 8(64bit)
Mac OSX10.9

日本総代理店:
DNPフォトイメージングジャパン
http://www.dnpphoto.jp/products/
phaseone/captureone/index.html


Phase One
http://www.phaseone.com/





いつもはアプリケーションであるCapture One 8の解説だが、今回は特別編として先月発表されたばかりのPhase One XF カメラシステムとIQ3 デジタルバックをお借りする機会を得たので、実際に撮影してのレビューとその解説をしよう。


主な変更点は以下になる。

 * ボディの全面的な刷新
 * 交換式の新型ファインダー
 * シャッター、ミラーショックの軽減
 * AFシステムの変更
 * ボディ側の液晶がタッチパネルに変更
 * 振動センサーの内蔵
 * バッテリーの共通化 およびバックとのシェアリング

詳しくは本国のWebサイトをご覧いただきたい。

XF Camera System

英語はちょっと、、、と言う方はナショナルフォートのWebサイトが分かりやすい。

中判デジタルの新スタンダード PHASE ONE XF Camera Systems

ここでは実際に使ってみてのレビューを交えて、XFを解説していく。

まず、今回の新型ボディになった背景だが、645DF+まで延々とフィルム時代からのボディを工夫して使ってきたわけだが、デジタルバックの高画素化に対応するために、全面的に見直しを図った結果と思う。

最近話題のキヤノン5Dsのボディリニューアルも同様だが、高画素化と共にそれを活かすためのボディが必要になる。それはボディ全体のショックの軽減だ。キヤノン5Dsではそのためにミラーがモーター駆動になったり、シャシーの強化が図られたりした。

645DF+は元々はフィルム時代に設計されたボディだ。今後、1億画素オーバーになると予想される中判デジタルバックを考えたとき、いつかは古いボディでは追いつかなくなる時が来る。それが今回のタイミングだったのかもしれない。フェーズワン以外の他社の中判デジタルカメラはすべてフィルム時代に設計されたものを流用している。このタイミングで他社に先んじて、まったくの新型ボディを出したのは未来を重視してのことだ。

今回は大きく次のポイントに絞ってテストして解説する。

 * 操作性の向上
 * シャッターフィーリングの向上
 * AFのスピードアップ。


外観の変更点も含めて操作性の向上について












◀曲面を基調としたDF+のデザインとは180°変わり、直線を基調としたデザインとなったXF。デジタルバックは新しくなったIQ3の5,000万画素のモデルを付けている。

カメラバックの外観デザインはほとんど同じなのでボディからのつながりが一体感を増した。


◀まず目を引くのが液晶。タッチパネルとなり、ボタンのレイアウトも含めてPhase Oneデジタルバックの液晶、操作部と共通したデザインとなった。

シャッターボタンのすぐ後にダイヤル。


◀薄背面部にはリアダイヤルと、サイドダイヤル。その間にカスタムファンクションを割り振れるボタン。

◀ファインダーは取り外し式となった。別売りでウェストレベルファインダーも用意されている。

ファインダーを外した状態でもAF、AEは使える。ファインダーは測光機能などが入っているわけではなく、情報表示としての機能のみのようだ。

◀プリズムファインダーにはシンクロ接点が付いている。


◀ボディ裏の三脚座。穴の左右にはマミヤ伝統のズレ防止ピンが入る穴が開いている。アルカスイスなどのマミヤプレートをお持ちの方はそのまま使用できる。


◀ボディサイドにはリモートレリーズ用の端子がついている。これも旧来のままかと思ったが、端子の数が増えていて、旧型のリモートレリーズは使用できない。現時点ではこれに対応しているリモートレリーズは発売されていない。


◀ボディとデジタルバックの両方に電池が入る。

電池はPシリーズから使われてきた電池と同じで変更はない。ただし、新型のIQ3、および、このXFの推奨電池は容量が大きくなっているので注意。
電池はシェアリングできる機能が付いている。ボディ、デジタルバック、どちらかに電池があれば撮影が出来るように電池をシェアできる。

実際に使ってみたが、当然電池の消耗が早くなるので、緊急時以外はボディとデジタルバックの両方に電池を入れて使った方が良いだろう。両方入れて使うと、デジタルバックの方が感覚的には倍以上早く電池を消耗するようだ。

◀これが推奨電池。容量が3,400mAhと大きくなった。現在販売中の電池はすべてこの容量になっている。古い電池をお持ちのユーザーは注意したい。

この電池だけでボディも動くので、ロケ先での予備電池の準備が楽になった。また、海外へ行くときなど、バッテリーチャージャーも1種類だけで済むので、その時も便利だ。


◀ボディ前面にはAFアシストランプが付いている。これについては後述する。


◀デジタルバックとの接点が増えている。

電源をどちらからでも供給し合えるように増えたものだろう。

使い勝手としては非常に向上していて、ボディの電源を入れると、デジタルバックの電源も入る。ボディの電源を切るとデジタルバックの電源も切れる。普通の小型デジカメでは当たり前のことだが、中判デジタルでは出来なかったことだ。

◀全体的な大きさは四角くなったので大きく感じるが、それほどの差はない。持った時の手に感じる重さはむしろ軽く感じる。


◀レンズマウントの中にあるレンズとの接点が増えている。


◀これが旧型645の接点。


◀レンズシャッターのレンズはこのように2段になった接点を持つ。2段目はレンズシャッター用の接点だろう。

今回増加した接点は現時点では使われていない接点があり、将来に備えていると思われる。たとえばレンズ内モーターとか、将来的に採用されるであろう機能に備えての準備だろう。


▲ボディ上部液晶。撮影に必要な情報はここに集中的に表示されている。

モード切替はモードが表示されている部分をタッチする。


画面をクリックで動画再生


▲画面をクリックで動画再生

▲ドライブモード。vibrationモードはシャッターを押してから設定した秒数後にシャッターが切れるというもの。 ▲測光モード
▲AFポイントは平均とスポットががあるが、シビアな撮影の時に切り換える。HyperFocalモードはそのレンズの無限遠に自動的にピントを合わせるモード。風景撮影の時に便利だ。

▲絞りの設定を規制できる。
▲同様にシャッタースピードも規制できる。

▲露出ブラケットが7枚まで可能。

▲カメラの設定はここから。今のところメニューはすべて英語表記だが、近いうちに日本語表記も対応する予定。
▲ProfotoのAirシンクロに対応。今まではVグリップを買わないとならなかったが、ボディ単体でProfotoAirが入っている。
▲チャンネル切り換えもこのままできる。

▲FocusTrimとは、AFのズレをカスタムで補正する機能。レンズごとに補正値を持つタイプではなく、すべて一括での補正になるので注意が必要。
▲メニュー表記などの設定も変更可能。
▲ここではシャッターボタンや、メイン、サイド、リアの3個あるダイヤルやボタンにカスタム機能を割り当てられる。

▲親指AFもここのカスタム機能割り当てで可能。以前よりもボタンが大きくなったので親指AFもしやすい。
▲サイドダイヤルとリアダイヤルは分かりにくいが、ボディの右端にあるのがサイドダイヤル。リアダイヤルには露出補正や、感度などを割り当てておくと便利だ。
▲液晶を右にスワイプすると振動計が表示される。これは後述する。

▲デジタルバックのIQ-3だが、機能的にはそれほどの変更点はない。上記のすべての設定はここの背面液晶からでも設定できる。表示が大きいので、老眼になった人にも見やすい。
▲新しい表示の露出警告。色分けで露出を表示する。晴天時の屋外など、液晶が見にくいときに威力を発揮する。
▲液晶の温度がグラフで表示出来る。長時間、連続的に撮影したり、ライブビューを多用したときに便利。

▲露出カリキュレーター。絞りとシャッタースピード、感度を決めると、そこから感度を変えたりしたときの組み合わせを表示できる。
▲ボディ上部液晶と同じレイアウトの表示もできる。ここから右にある白いシャッターボタンをタッチすればシャッターが切れる。俯瞰など、ファインダーが見えにくいときに便利だ。


▲画面をクリックで動画再生



▲画面をクリックで動画再生
▲XFだから、と言うわけではないが、IQシリーズになって背面液晶での画像確認は楽になった。iPhoneなどスマホの普及が背景にあるが、モデルの女の子でも、何も教えなくても撮影画像の確認ができる。


◀IQ3、IQ2シリーズならデジタルバックにWi-Fiが内蔵されているので、iPhoneで画像の確認も行える。


◀テスト時はProfotoのB2を使ったが、ProfotoAirなら極小規模のロケでもストロボを使った撮影が楽にできる。カメラのホットシューに無線シンクロを付けてもよいが、移動の多いロケでは破損のリスクも少なくない。機材の心配をすることよりも、撮影に専念できるのはありがたいことだ。

レンズシャッターなので、背景を落とすことも簡単だ


シャッターフィーリングの向上について

◀XFを手にしてシャッターを切ったとき、DF+のユーザーならそのシャッターショックの違いにすぐ気がつくだろう。その両機のシャッターフィーリングは歴然に違う。が、言葉で「手に伝わるショックが少なくなりました」と言ったところで、誰もそれを正直に受け取らないだろう。

どうやったらその違いを表現できるか? いろいろ考えた。

最初は、小型三脚にカメラを付けてシャッターを切ってみるというテストだ。ジッツォのcarbonではあるが、旅行用の小型三脚に35カメラ用の雲台を付けて、わざとエレベーターを延ばして不安定になるようにしてカメラを付けた。

同じ状況でDF+とXFで比較するのだが、純然たるシャッター、ミラーショックの比較をするために、レンズもハッセルの150ミリをマウントコンバーターで付けて比較した。この状態なら、完全にボディの比較になるはずだ。

◀スタジオの反対側にカラーチャートを設置して、それにLEDライトを当てて、低速シャッターを切るというテストをした。


▲DF+と比較してXFのショックの少なさがよく分かると思う。

◀次は振動計について。

先に触れたようにXFには振動計が付いている。左の写真のようにライトスタンドの上にわざと不安定になるようにしてXFを据え付けた。

◀普通にシャッターを切ってみるとこんな感じになる。シャッターを切ったあとにどれだけ揺れるか、注目してほしい。
(画面をクリックで動画再生)

◀ミラーアップしてからシャッターを切る。これはレンズシャッターを使っている。シャッターを切ったあともミラーは上がったままなので、ショックの収まりが早い。
(画面をクリックで動画再生)

◀次のテストは商品台の上に置いたミニカーをXFで撮影してみた。XFに80ミリのレンズシャッターを付けて、レンズシャッターとフォーカルプレーンシャッターを比較した。

35タイプのデジタル一眼では電子先膜シャッターを付けて露光時のブレを極限まで抑えるような工夫がされているが、中判デジタルでは今のところ、電子先膜シャッターはできない。だから以下のようなフォトグラファーの出来る工夫をして、ブレさせないようにする。

▲同じ状況でもレンズシャッターにするだけでもかなりブレなくなる。

▲ミラーアップさせるとさらにブレない。もっともブレにくいのはミラーアップさせて、レンズシャッターを使うこと。

◀XFだが、現時点ではレリーズが発売されていない。先に書いたように接点が増えているので、今までのリモートレリーズが使えないので、長時間露光する際に困る。

だが、心配はいらない。IQ2シリーズ以上なら、Wi-Fiを内蔵しているので、iPhoneをつなげて、そこからシャッターを切ることができる。
(画面をクリックで動画再生)

◀もちろん、ミラーアップを使って撮影も行える。現状ではiPhoneからミラーアップはできないが、これは今後のバージョンアップで対応されるだろう。
(画面をクリックで動画再生)

◀次に、連続撮影のテストをしてみた。
IQ3との組み合わせで、1.8コマ/秒のスピードで撮影が行えるということで、本当にそこまでの速度で切れるのか?また、他のバックではどうなのか? テストしてみたかった。

左の映像はMacBookProにC1でテザー撮影をして、シャッタースピード1/125sec 絞り開放で、30秒間、シャッターを押しっぱなしにした動画だ。

XFでのスピードをご覧いただきたい。
(画面をクリックで動画再生)

◀同じテストをDF+にIQ3との組み合わせで行った。
(画面をクリックで動画再生)

◀XFに8,000万画素のIQ280を付けてテスト。
(画面をクリックで動画再生)

◀DF+に8,000万画素のIQ280を付けてテスト。
(画面をクリックで動画再生)


結果は
IQ3(5000万画素) IQ280(8000万画素)
XF 43コマ XF 22コマ
DF+ 32コマ DF+ 20コマ

IQ3と組み合わせたときの速さが際立つ。また、従来のデジタルバックを付けても、若干のスピードアップは期待できるようだ。


AFのスピードアップについて

◀XFはハニービーオートフォーカスプラットフォームという新しいシステムを採用している。その象徴的な機能としてアシストランプがある。

このアシストランプ、文字通り、AF動作をする際にランプを照射して合焦しやすくするという機能だ。


◀アシストランプは単なるランプではなく、干渉じまになっていて、しかもそれが斜め45度に配置されている。オートフォーカスの仕組みは位相差なので、この縞を検知してピントを合わせやすくする。




◀アシストランプはメニューから、100%、50%、オフの3段階に切り換えられる。
アシストランプがあるとAFの精度はかなり上がる。どんなところでもほとんど一発でピントが合う。最初触ったときにはその精度とスピードに驚いた。

が、問題もある。このライトが直接目に入るとかなりまぶしいのだ。被写体がアシストランプを当てても問題ない場合はよいが、タレント、俳優、会社役員など社会的に立場の高い人に対して、その顔に向かってこのライトを当てるのはかなりまずいだろうと想像される。

もちろん、そういう時を想定してオフにすることもできるが、ライトがないと、地明かりの暗い場所ではピントの歩留まりは歴然に下がる。 設定で50%の明るさもあるので、撮影シーン、被写体によってきめ細かく使い分けた方がよいだろう。


◀AFの追従性を試すために、モデルの子にくるくる回って動いてもらい、それを追いかけながらシャッターを切った。

AFモードはコンティニュアスAFで、シャッターはシャッターボタン優先にした。これはピントが合っていなくてもシャッターが切れるモードだ。


◀森の中でProfotoのB2を使っているが、完全に止めきれないのでブレているが、これだけ適当に撮っても、ピントの合う歩留まりはかなり高かった。たぶん、DF+で同じことをやったら全滅だったと思う。


◀僕はモデル撮影はそれほど多くないのだが、仕事の撮影以外で風景を撮ることが多く、そのために古いマミヤ645の 300mm/F4.5を持っている。DF+で使っていて、いつも悩まされるのがピントだった。DF+ではボケを量産するレンズだった。ホントに歩留まりが悪くて、、、かと言って、手頃なので外での撮影にはよく持って行っている。

今回のテストで、モデルの子をお願いしたのに、望遠系のレンズがなくて、取りあえず持っていってみたのが、この300ミリだった。試しに使ってみたら、これが不思議なくらいピントが合う。手持ちで中判デジタルでしかも300ミリを振り回すと言うことで、かなりシャッタースピードは速くしているが、ここまで撮れるとは思ってもみなかった。

これも新しいAFシステムのおかげではないだろうか。


盛りだくさんとなってしまったが、中判デジタルはカメラ雑誌にもWebでのインプレッションにも、そうそうは出ないカメラだ。 この機会を逃すと、実際に自分でテストするしか確認する術がない。自分でテストするにしても、事前に情報があった方が短時間で評価しやすくなるだろう。

さすがに新しくデザインされたカメラだけあって、考えられることはほとんどやってある。その延長には8,000万画素以上の超高画素モデルという未来がある。1億画素オーバーのデジタルバックはそう遠くない将来に発売されるだろう。フェーズワンも公言しているが、その1億画素のデジタルバックでも十分耐えられる、使えるカメラにしたと言うことだ。これはレンズも含めて、XFと同時に発表となったシュナイダーのレンズシャッター内蔵のレンズは、1億画素を見据えて作ったと言っている。

35タイプデジタル一眼も5,000万画素の時代に突入した現在、究極の高解像度を得られるカメラとして、このXFシステムは新時代を作っていくと思う。

最後になってしまったが、XFは少し残念な仕様となっている。動作するデジタルバックだが、Phase OneデジタルバックのIQシリーズ(IQ1、IQ2、IQ3)のみに対応している。つまりPシリーズ、Hシリーズには対応していない。今のところと言うべきかもしれないが。Pシリーズユーザーはカメラごとのアップグレードになるので、その点を注意してほしい。
 
なお、IQ1&2シリーズも、XFに付ける際にはファームウェアのアップグレードが必要となる。今で発売されていたIQシリーズも一部、商品ラインナップが変更になっているので、Webサイトなどで確認してほしい。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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