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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.58


Captureone 8 さらなるスピードアップのために
〜Mac Pro(Late 2013)と外付けHDD





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 8」 38,000円(税別)
対応OS:Windows 7 SP1(64bit) / 8(64bit)
Mac OSX10.9

日本総代理店:
DNPフォトイメージングジャパン
http://www.dnpphoto.jp/products/
phaseone/captureone/index.html


Phase One
http://www.phaseone.com/



Captureone 8での改善点として処理スピードの向上がある。本国のWebサイトを見てみると、カタログオープン、画像読み込み、現像スピードなど、バージョン7と比べてかなりのスピードアップが図られているようだ。

今回はこのスピードに関してまとめてみたい。

過去にもここの解説でスピードについて書いたことがある。

№9 Capture One 6 PROの「キャプチャーパイロット」と現像スピード

バージョン6が出たときに書いたものだが、バージョンが上がるごとにC1の特徴として処理速度の向上が謳われている。この時の解説でも触れているが、スピードの比較というのは結構難しい。客観的な数字でそれを表すのがよいと思うが、単純に現像速度だけでよいのかどうか? かと言って、僕のような一般人レベルで比較できる対象は現像速度くらいしかないというのも現実だ。

バージョン8にバージョンアップしたユーザーのブログやFacebookなどを見ていると、スピードが上がった! という喜びの声を多く見かける。新規に画像の入ったフォルダーをバージョン8で読み込んだ際に、最初に作るプレビューが以前とは違う作り方のようで、その部分の体感差ではないかと推測している。バージョン7までは1つのフォルダ内の全カットのプレビューが作り終わるまでは、次の操作が遅いという感じを受けていたが、バージョン8ではそれがない。

さて、体感以外の比較となると、統一基準が必要なので、分かりやすい現像スピードでテストした。

まずはバージョン7と8の比較。

使用したPCは以下のスペックだ。

iMac 27インチ Late 2009
3.06Ghz Core2Duo
12GBメモリ HDD1TB
ATI Radeon HD4670 256MB
OS 10.9.5

 Phase One P45+
 RAW(IIQ-L)10コマを
 TIFF(8bit)へ
 キヤノン1Ds-mk2
 RAW(CR2)100コマを
 TIFF(8bit)へ
 C1 ver.7.2.0  4分07秒00  18分28秒14
 C1 ver.8.2.1  3分22秒72  17分47秒70

使用したMacは今となってはかなり古い。使用した画像データは僕がベンチマークとしているもので、前回のスピードチェックした時の解説時とまったく同じデータを使っている。

前回のスピードチェックした時の解説と比べてみると、バージョンアップした際の現像スピード向上はこのくらいだろう、という差ではないかと思う。上記の個人的感想とほぼ同じような結果といえる。

さて、これで終わりではあまりに価値のない解説となってしまう。

個人的なことだが、先月、仕事で使っているメイン機のMac Proを買い替えたので、そのテスト結果が興味深いので、そちらをご紹介しよう。

 Mac Pro Mid 2010
 2.4Ghz8core (QuadCore Xeon E5620 ×2)
 20GBメモリ HDD4基
 OS 10.10.1
 Mac Pro Late 2013
 3.7Ghz4core (QuadCore Xeon E5)
 12GBメモリ
 256GBSSD(PCIeベース)
 OS 10.10.2
 OSの起動ディスクはSSDに換装  右側にあるのは外付けHDDのG-Raid

今まで使っていたのは左のMac Proだ。たぶんここをお読みのフォトグラファーの多くが同じようなMac Proをお使いだったと思う。一昨年、新型のMac Proが発売になって買い替えを検討、もしくは買い替えた人も少なくないのではなかろうか。

かく言う僕も、買い換えの検討は長期にわたった。新型、しかも大幅な変更のあった新型Mac Proだったので、僕は初期型を避けたいと思い、リニューアル版が出るまで購入はしないことにした。が、1年以上経った今となっても、そのリニューアルもないまま、初期型が販売されている状況だ。これではいつまで経っても買い換えはできない。そんな思いもあって、新型Mac Pro発売のちょうど1年後、買い替えに踏み切った。

新型に買い替えて困ったのは画像データを入れるハードディスクだ。



写真のように旧型は4基までHDDを内蔵できる。これは画像を大量にハンドリングするフォトグラファーには非常に便利な仕様だった。メインのOS起動用にスピードの速いSSDにして、容量のかさ張る画像用にはハードディスクドライブを3個まで入れられた。起動も速いし、処理も速い。

新型ではその方法ができないので、外付けハードディスクを接続するしかない。

ここでC1の現像スピードを見てみよう。

 C1 ver.8.2.1  Phase One P45+
 RAW(IIQ-L)10コマを
 TIFF(8bit)へ
 キヤノン1Ds-mk2
 RAW(CR2)100コマを
 TIFF(8bit)へ
 Mac Pro Mid 2010  0分34秒82  2分27秒45
 Mac Pro Late 2013  0分17秒26  1分57秒03

あー、やっぱり新型は速いな〜と、この結果を見て僕もまあまあ満足した。が、新型ってこの程度なのか? 実はもっと速いと期待値は高かったのだ。 Mac Proの新型が発売後、こぞって多くのフォトグラファーが買い求めて、そのコメントが一様に「メチャクチャ速い」と言うものだったから、出遅れていた僕としては期待値はどうしても高くなっていた。

この結果だが、旧型に内蔵していたHDDを取り出して、USB3.0接続の外付けHDDとして使った状態での計測だ。実はここに処理速度のポイントがある。



新型Mac Proは内部に起動用のSSDを1基しか持たないので、画像など、容量の大きいデータは外付けハードディスクなどに入れて接続して使うことが基本のマシンだ。背面の端子を見ると、Thunderboltが6基もあるのはそのため。

先に書いたように、旧型のMac Proでは4基のHDDを入れて使えていたので、それほど接続について考える必要がなかったが、新型Mac Proはここが重要なポイントになる。

C1の画像処理の流れを考えてみよう

ハードディスク   CPU   ハードディスク
画像データ 現像処理 現像データを格納
         


CPUの速さは後から変えることはできないので、全体的なスピードアップを図るには、

1:ハードディスク(外部記憶装置)を速いものにする
2:転送速度を上げる

以上の2点しか方法が無いことになる。上の図では緑の部分と、ピンクの部分だ。

まずは1の記憶装置についてはSSDにすることが現状では最も速い。が、画像データは猛烈に容量が必要だ。現実的にはSSDでは収まりきれないだろう(資金力のある人はSSDでOK)。

物理的に円盤を回すHDDを使ってスピードを上げるというと、RAIDと言うことになる。そのRAIDでもRAID0しか選択肢がない。RAIDについてはこちらを参照してほしい。

次に2の転送速度を上げる点だが、新型Mac ProではThunderbolt接続をすることが最善の策だ。

さて、この2つの観点から先の現像スピード結果を見てみよう。

画像があるのは外付けHDD。接続はUSB3.0ながら、HDDはシングルなので遅い。USB3.0規格は十分速いとしてもThunderbolt接続よりは遅いといわざるを得ない。

では、最も速くなる方法は何か?

新型Mac Proでは内蔵SSDが最も速い。画像データをそこに入れて、現像データもそこに格納するということで、上記のテストを行ってみた。

 C1 ver.8.2.1  Phase One P45+
 RAW(IIQ-L)10コマを
 TIFF(8bit)へ
 キヤノン1Ds-mk2
 RAW(CR2)100コマを
 TIFF(8bit)へ
 Mac Pro Late 2013 内蔵SSD  0分10秒51  0分57秒84
 Mac Pro Late 2013 USB3.0外付けHDD  0分17秒26  1分57秒03

どうだろう? この結果を見れば、新型Mac Proにした甲斐があったと感じるはずだ。USB3.0接続のシングルHDDと比べて半分近くの現像時間までスピードアップする。バックタイプのP45+の現像が1枚1秒でできるって! 信じられないスピードだ。

だが、この内蔵SSDに画像データを入れておくという方法には、現実的には無理がある。何度も言うようだが、画像データは膨大だ。今やる仕事だけを内蔵にコピーして処理をする方法もあるが、現実的とは言えない。

日常的に膨大な画像データをハンドリングできて、しかも早い方法は?

複数のHDDをRAID0で組み、Thunderbolt接続で使うこと、これが最も現実的な方法だろう。

僕が新型Mac Proと同時期に購入したのが上記の写真にも写っているG-RaidというHDDだ。G-Raidについてはこちらを参照してほしい。

同様な方法論の外付けHDDは他のメーカーからも出ているので、どれを選んでも同じようなことだと思う。僕が購入したものは2基のHDDで RAID0を組んでいるが、上のクラスでは4基のHDDでRAID0を組んでいるものもある。当然、2基よりは4基のRAID0の方が速い。

このG-Raidを使って、再度テストしてみよう。

 C1 ver.8.2.1  Phase One P45+
 RAW(IIQ-L)10コマを
 TIFF(8bit)へ
 キヤノン1Ds-mk2
 RAW(CR2)100コマを
 TIFF(8bit)へ
 Mac Pro Late 2013 内蔵SSD  0分10秒51  0分57秒84
 Mac Pro Late 2013 G-Raid 外付けHDD  0分14秒51  1分03秒49
 Mac Pro Late 2013 USB3.0外付けHDD  0分17秒26  1分57秒03

このように内蔵SSDには及ばないものの、USB3.0のシングルHDDよりはだいぶ良い結果になった

もう1一つ、テストをしてみたことがある。

ロケの多いフォトグラファーなど、Mac Proが使いたくても使えないと言う人は多いはずだ。また、資金的にもロケでも事務所でも家でも使えるノートだけで仕事をしているというフォトグラファーも多いだろう。

僕がロケ用で使っているMacBookProは15インチのMid2012と言うModelだ。



これでもテストしてみた。

 C1 ver.8.2.1  Phase One P45+
 RAW(IIQ-L)10コマを
 TIFF(8bit)へ
 キヤノン1Ds-mk2
 RAW(CR2)100コマを
 TIFF(8bit)へ
 Mac Book Pro Mid 2012 内蔵SSD  0分52秒20  4分10秒67
 Mac Book Pro Mid 2012 G-Raid
 外付けHDD Thunderbolt接続
 0分47秒38  3分28秒57



このように面白い結果となった。

使用しているMacBookProは元々はHDD仕様のものを自分でバルクのSSDを買って来て換装したものだ。Apple純正のものはバルクのものとは違い、スピードが速いらしいが、その分を割り引いてもThunderbolt接続のG-Raidの方が内蔵SSDで現像するよりも速い結果になったのは驚く。

使っているPCが古くなってきたのでこの際、新型Mac Proを購入しようと思っている人も多いだろうが、購入に際しては、外付けハードディスクをどうするか? ここが大事なポイントになる。すでに新型Mac Proを使用している人もC1の現像に関して言えば、USB3.0のシングルHDDでは新型Mac Proの性能をフルに味わっていないことになるので、非常にもったいない。これを機会に見直しをしてはどうだろうか。

また、現状のPC環境でやっていくにしても、今一度、より速いシステムにする、という見直しもあっていいだろう。

なお、RAID0でHDDを構築することは、リスクが非常に高くなることも知っておかなければならない。RAIDを組んでいる2個のHDDのうち、 1個がダメになればすべてのデータは復旧不可能だ。つまり、シングルのHDDを使っているのと比べて、2倍のリスクがあると言うことになる。くれぐれも RAID0で使うときはこまめなバックアップをするようにしていただきたい。

今回はスピードについて考察してみた。皆さんの写真ライフの参考になればうれしい。




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