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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.57


より強化された部分調整ツール





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 8」 38,000円(税別)
対応OS:Windows 7 SP1(64bit) / 8(64bit)
Mac OSX10.9

日本総代理店:
DNPフォトイメージングジャパン
http://www.dnpphoto.jp/products/
phaseone/captureone/index.html


Phase One
http://www.phaseone.com/



今回は部分調整ツールについて解説しよう。

この部分調整ツール、最近のバージョンアップで必ずと言っていいほど、毎回、機能が強化されているツールだ。過去何度か、この解説でも取り上げているので、参照していただきたい。

№11 Local Adjustment(部分調整)の使いこなし

№40 部分調整ツールの使いこなし

C1のバージョン6から搭載された部分調整ツールだが、現行のバージョン8まで常にバージョンアップされてきている、人気のツールと言ってもいいだろう。

今回の機能強化されたポイントは、

○ホワイトバランスやノイズ除去など、ブラシによってピンポイントでの調整ができる。
○調整だけでなく、クローンと修復のレイヤーが持てるようになった。

以上の2点が大きな変更点になる。

使い方などは以前と同じなので、ここでは詳しくは書かないが、部分調整が初めて、と言うユーザーは上記の過去の解説をお読みになってから読み進めていただきたい。

夜景では人口光源による照明なので、場所によっては色が変わるのが普通だ。

そのままでもよいというフォトグラファーもいるだろうが、ここから先は表現。どうやって自分のイメージを写真に盛り込んでいくか? だと思う。

左の写真は僕が撮影、中央の建物のホワイトバランスを取った状態だが、それだと、他の照明の色がまちまちになってしまった。照明の色をある程度揃えて、夜のパリの凜とした空気を出してみたいと思った。このままではそうでないので、ここから先を部分調整レイヤーで調整していく。


◀部分調整ツールの中からプラスのボタン押して、新規レイヤーを作成する。

この際にレイヤーの名前を入れられるが、面倒ならそのままでもよい。僕も面倒なので、レイヤーは作った順番で番号が振られるままにしてあることが多い。


◀すぐ下のホワイトバランス調整にスポイトツールがあるので、そこをクリック。

スポイトの状態で川の脇の壁面をクリックして、その場のホワイトバランスを取る。


◀ツールをブラシツールに換えて(ショートカットキーではB)、色温度の変更をしたいところを塗っていく。


◀どこを塗って、どこが塗られていないか?分かりにくいことがあるので、その時はマスク表示させよう。ショートカットキーではMを押す。

はみ出した部分は消しゴムツールでマスクを消していく。ショートカットキーはE。


◀川に映っている光の右側の部分の色かぶりが強すぎる。同じ色温度ではないので、ここで新たにもう1つ部分調整レイヤーを作る。

同じようにブラシで川の写り込み部分を塗っていく。


◀こうして完成したのが左の写真。全体的に光の色がほぼ同じになったので、オリジナルより意図した通りの空気感になった。


◀部分調整ツールで色温度の変更は上で解説したようにかなり「使える」機能だ。

これはブラシツールだけでなく、グラデーションツールでも同じように使える。

左の写真は夕景のパリだが、この夕景をもっと印象的にするとき、普通は全体的に色温度を変更して、より夕景ぽく仕上げるのが一般的だ。

夕景の写真の場合、空の部分と、陸地の部分とで色温度の変えて、より印象的にすることも可能になる。


◀グラデーションツールで上半分を色温度変更させた。色温度だけではなく、露光量、彩度も若干変更している。



◀次にもう1つ部分調整レイヤーを作り、同じようにグラデーションツールで下半分の色温度を変更させた。

このように空を多く入れた風景の場合、空部分と陸地部分で色温度、明るさを合わせていったり、逆により強調していったという言うことが簡単にできる。


次に紹介するのが修復、クローンを使った部分調整レイヤーの使い方だ。

左の写真は紅葉の名所、明智平から見た華厳の滝だが、これでは何の変哲もない普通の写真だ。もっと滝だけを強調した厳かさを表現したいと思う。


紅葉には若干時期が早かったこともあり、カラーよりもモノクロームで滝だけを強調させてみよう。

滝の白さが際立って、これはこれで好きな写真となったが、無粋な建物など、人工物を何とかしたい。


ここで活躍するのが部分調整ツールのクローンだ。

調整レイヤーを作るときに新規クローンレイヤーを選ぶ。その状態でブラシツールで消したい建物を塗っていく。

塗り終わると、C1が自動的に画面の中から似たような部分を探してそこにクローンとして置き換える。


◀別な部分を消したいときは、また新たに新規レイヤーを作る。


◀この部分調整ツールでの修正は修復かクローンかの選択になる。どちらがよいかはその写真の部分によるので、やってみることだ。この修復とクローンはブラシで塗った後から、変更ができる。レイヤーの右に書いてある、「調整」「クローン」「修復」は後から変更できるので、やってみて良い方を選択するやり方がよいだろう。


◀左の例ではクローンよりも修復の方が結果が良かった。


◀置き換えられる部分が矢印で「どこの部分からここに持ってきているか」というのが分かると思う。

もし、置き換えがうまく行かず、自分で他の部分から持ってきたいときは、矢印の起点を動かして自由に決めることも可能だ。


◀作例のような森などの複雑な背景は割にごまかしがきく。この部分調整ツールの修復、クローンが向いていないケースもあるが、やってみて違和感がなければラッキー、くらいに思っておいた方がよいだろう。


余計な構造物を消した状態。

ここからさらに一歩、手を加えていこう。


滝だけを強調させたい、という本来の趣旨から光の当たっている岩の部分を焼き込みしていく。

これは本来の部分調整ツールの手法だ。

こういう場合のブラシの使い方で、いきなり100%で塗らない方がよいだろう。ある程度薄くして、その効果を見ながら塗り重ねていく方がよい。

また、ブラシの状態で右クリックで左のようなウィンドウが出るので、その場その場でブラシ設定を微調整しながら塗っていく。


◀どこを塗ったかはマスク表示で確認していく。

なお、レイヤーは調整レイヤー、クローン、修復をすべて含めて最大で16まで作ることができる。

また、調整のコピーにも対応しているので、三脚を据えて何カットも撮っているようなシーンなら、この調整を他のカットにペーストすることも簡単だ。


これが完成状態。

Photoshopなどを使わず、C1だけでこのレベルくらいは簡単にできる。


今回は部分調整ツールの強化されたポイントについて解説した。部分調整ツールは1点の写真を高次元の作品へと仕上げていく上では欠かせないツールだ。使いこなしてご自身の写真に役立てて欲しい。

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