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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.50


ポートレート のフィニッシュワーク 木陰編





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
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「Capture One Pro 7」 39,900円
対応OS:Windows Vista/7/8
Mac OS X 10.6.8〜10.9.2

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




今回はこの時期にふさわしく、緑の中でのポートレート撮影、そのフィニッシュワークについて解説しよう。

モデル:永野里美

◀先日撮影したポートレートを例にとって解説していこう。

左は撮ったままの状態でC1に表示したところだ。


◀撮影データは左を参照してほしい。

撮影の方法は人それぞれで、僕のスタイルで撮影している。

モデル撮影の場合、カメラはマニュアルで設定る。ホワイトバランスは、モデル撮影に限らず、ほとんどの場合、太陽光(デイライト)設定にしている。

この時はクリップオンストロボを1灯、顔の斜め左上から傘バンで軽く当てている。モデルと僕だけしかいないので、レフ板などは当てていない。


◀それでは調整に入ろう。

まず最初にチェックするところはこの基本特性だ。35mmタイプのデジカメなら、ほとんどここは触れなくてもいいが、中判デジタルだとここの設定が第一歩になる。

カーブはほとんどの場合、FilmStandardでよいと思う。一部のニコンのカメラではここでPortraitのカーブが当てることもできるが、そこは好みでいいだろう。


◀次にホワイトバランスの設定を行う。

左はデフォルトの数値だ。同じデイライト設定で撮っていても、カメラによってここの数値は変わる。左はキヤノン6DのRAWデータをデイライトで撮ったときの数値ということだ。


◀ここは僕の方法だが、モニターを見ながら、好ましい肌色になるように調整した数値が左。

グレーカードなどを撮るという方法もあるが、撮影場所を頻繁に動くようなモデル撮影では、グレーを取っている余裕もなかったりする。調整されているモニターがあるという前提だが、見た目で調整する方法を僕は取っている。

ただし、これは何を目的とした写真なのか? による。モデル重視の撮影なら、ある意味、きれいになっていれば、もしくはかっこよく見えればそれで良しとなる。それが、アパレルメーカーの広告だったら、そうはいかない。着ている洋服の色再現が第一となるからだ。

何を目的とするか? はここに限らず、すべての調整に対して問われる、最大の要点なので、それを明確に持つことが重要だ。


◀次に露出ツールで画像全体の明るさ、彩度などを調整する。

その後、レベル調整で、ハイライトとシャドーを詰める。


◀モデル撮影ではクラリティーツールを積極的に使おう。

モデルも人間なので、毛穴とかは当然ある。また、女性だと、その日の体調や化粧ののりなどで肌のきめが出てしまうこともよくあることだ。フォトグラファーはそういう要素も考えつつ、ライティングをしていくものだが、どうしても肌の質感が出すぎることもあるだろう。

クラリティーツールはそんな時には有効なツールとなる。


◀このようにモデルの肌をきれいに見せたいときはニュートラルにして、若干のマイナス補正をしてあげると効果的だ。

このほか、シャープニングツールでも必要に応じて掛ける強さを調整する。


◀以上で、基本的な調整は完了。

ただ、もうちょっとだけ手を入れてみよう。

今回のタイトルにもあるように、木陰でのポートレートでは、モデルの周りに樹木や葉など、植物の緑色の中での撮影になる。そこでどうしてもシャドー部などに緑色がかぶってきてしまう。

左の写真で言うと、顔はまだ空やストロボに向いているので、影響はないが、あごの下、首、顔とは反対側の部分が、若干の緑かぶりを起こしている。

もちろん、屋外の緑の中でロケなのだから、ある程度、緑っぽくなってしまうのは当たり前だ。だが、それを直したいと言うこともあると思う。

その部分を修正するにはいくつかの方法がある。

C1でできる、もっとも簡単な方法はスキントーンを使うことだ。

カラーエディターツールの中、スキントーン内のスポイトツールをクリックするか、

◀上のメニューバーからスポイトツール内の「スキンカラーコレクションを選択」のスポイトツールにして、肌色の緑がかっている部分のスキンカラーをスポイトする(色を吸う)。


◀このスキントーンツール、独立しているだけあって、非常にデリケートな作りだ。

○滑らかさ
スポイトした色と、それ以外の色の選択範囲をなだらかに選択するか、かっちりと選択するか? のスライダー。右にいくほどなだらかになって、選択される範囲も多くなる。

○色相回転
選択部分の色の色相を回転させる。この作例だと、左に動かすとマゼンタ方向になる。

○彩度
選択部分の色の彩度調整。緑っぽさを消す目的なので、少しマイナス方向にした。

○明るさ
選択部分の色の明るさ調整。顔の影の部分だったので、ここで若干落として、陰影を少しだけ付けた。

○均一
選択部分の色の範囲内でトーンの均一化をするツール。今回は動かさなかった。


◀○選択されたカラーレンジのみ表示

ここをチェックすると、画面内のどの部分が、この調整範囲内なのか? それを表現してくれる。

左のように、選択部分の色のみカラーで表示され、他はモノクロ表示になる。


◀以上で、スキントーンでの調整は完成。

ただ、以上の方法だと、画面内でスポイトされた色の範囲が広すぎて、目的の部分のみの調整ができない時がある。

その時は、左のようにレイヤーマスクを使って、目的の部分のみブラシツールで塗り、調整する。

ただし、この方法は1枚の画像に対しての作業時間が掛かるので、精度を取るか、時間を取るか? は自分で判断するる。


◀以上のように、スキントーンを調整したカットと、スキントーン調整以前のカットを比べてみた。

左がスキントーン調整されたものだ。右はスキントーン調整はしていない。

左の方が、首、あご下の緑かぶりがなくなっているのが分かるだろう。それと、肌色が全体的にマゼンタ方向に動いているのが分かると思う。

選択されたカラーレンジのチェックで分かるように、厳密に緑かぶりの部分だけを狙い撃ちして調整したわけではないので、顔の肌色も少し変化してしまう。

ここから再度、調整してもいいし、上のように、レイヤーマスクで首部分のみスキントーン調整が掛かるようにしてもいいだろう。


◀以上で調整は完了。

左が調整後、右が調整前の撮影されたままの画像だ。



今回は、夏らしく、緑の中でのポートレートを例にとって、調整の解説をした。

解説の中でも書いたが、大事なことは、何が目的なのか? と言うことだ。今回はモデルの肌色をメインと考えたが、そうではない撮影も多々ある。また、人によって、きれいと思う判断基準も違ってくる。最終的にはそれも含めてすべて、フォトグラファーの表現と言うことになるのだが。

カメラと同様、現像ソフトも1つの重要なツールとして使いこなすことで、表現の幅を広げていってほしい。



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