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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.44


青空の表現





文:湯浅立志
フォトグラファー
1961年群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオのカメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。写真関連の執筆多数。有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 7」 39,900円
対応OS:Windows Vista/7/8
Mac OS X 10.6.8〜10.8.2

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




この連載、2013年の12月に公開する予定だったが年明けになってしまったことをお詫びしたい。

言い訳としては12月にC1がバグフィックスとしてバージョン7.1.6を出した。僕も仕事で毎日のように使っているC1なので、とにもかくにも安定して使えることを願っているのだが、新しい7.1.6でバグが直っているのかどうか?実際に使い込みながらの検証で時間が掛かってしまった。更に年末と言うことでかなり仕事が忙しく、原稿を書くことが遅くなってしまった。

と言うことで、肝心の7.1.6だが、現状、僕の環境では大きなバグはないようだ。処理用のMacPro、撮影用として使っているMacBookPro、どちらもちゃんと使えている。

さて今回は、冬と言うこともあって、空の色をどう表現するか?について解説したいと思う。

乾燥した冬は澄み切った青空がきれいに撮れる時期だ。傾いた堅い光とともにフォトジェニックな一瞬にカメラを向けるフォトグラファーも多いことと思う。

キャリアのあるフォトグラファーなら、この青空の色がいろいろだということをご存じだと思う。色の違いは、先に書いたように季節、光の角度、水蒸気の量など、天候による要素も大きい。

もう一つ大きな要素としては、カメラ、メーカー、現像ソフトに寄る青色の違いだ。

いくつか例を挙げてみよう。


SIGMA DP2 Merrill

ホワイトバランスは太陽光で撮っている。東京での夏だったので澄み切った青空ではない。が、東京ではかなりきれいな青空の日だった。

SIGMA DP2 Merrillのカメラ内生成のJPEG


◀SIGMA DP2 Merrill

2012年の冬の撮影。澄み切った冬の空だ。上と同じSIGMA DP2 Merrillだが、若干の藍色ぽさをかんじさせる。


◀SIGMA DP1 Merrill

これはシグマの「Fov Classic Blue」のカラーモードで撮ったもの。独特のブルーに表現出来るので、SIGMA DP2 Merrillに搭載されたときは、これで撮影した人も多かったと思う。


◀ニコンD7000

香港に行ったときの写真。外国に行っていつも思うのは空の色の違いだ。アジア圏はくすんだ青色のように感じる。また、ニコンの青空も独特な色だと思う。フィルムの時からそうだったが、昔のニコンカレンダーを見てみると、こういうくすんだ青空の写真が多いと感じる。もっともフィルムの違いの方が大きかったので、たぶん、使用されている写真でコダクロームを使った写真が多かったと言うことなのではないか?と思う。

デジタルになった現在、フィルムによる青空の表現の違いを、カメラメーカーが担うわけで、メーカーの考える青い空がある。さらにカメラメーカーの中にはカラーモードによって青色の発色はかなり変わる。

また、RAW現像する人にとってはその現像ソフトによっても当然違いがある。

今回は、カメラの違いもさりながら、C1を使って、自分の表現したい青空に調整しようというものだ。


◀まず、デジタル写真の基本の話から。

左の写真は同じ場所で同じカメラで撮ったものだが、全体の色が違う。

何が違うのか?というと、撮影時の設定が違うのだ。

写真の色について一番大きな要素はホワイトバランスだ。

左側がホワイトバランスの設定を太陽光で、右側はオートホワイトバランスで撮影している。どちらが良いか?は撮影者の意図によって判断は分かれるはずだ。

個人的にはホワイトバランスの設定は常に太陽光で撮影している。これはフィルム時代からデイライトフィルムを使って撮影してきたわけで、その感じでデジタルも撮っているという理由からだ。もちろん、舞台やインテリア、夜景などはその限りではない。オートホワイトバランスを使わない理由は、撮る度に色の違いが出てしまうことが嫌いだからだ。

このあたりは人それぞれ、フォトグラファーによる話なので、どちらでもかまわないだろう。


◀この画面は太陽光で撮った画像を表示したもの。

色温度と色合いの数字に注目しておいて欲しい。

この数値はカメラによっても違う。同じ太陽光の設定で撮影されても。また、現像ソフトによってもその数値は変わる。

ちなみにAdobeのCameraRAWで同じ画像を開くと、

色温度 5150k  色かぶりの補正 +7

という数値になる。

これはこの部分が絶対値でではなく、各アプリケーションの設定値の違いだ。Adobeが設定したのはこのEOS70Dの太陽光設定はこの数値、と言う具合に。

まれにこの数値が絶対的な尺度と思われている人が散見されるが、あくまでも目安程度に考えるべきだろう。


◀この画面は右側の写真を表示したもの。

ホワイトバランスの設定がオートの画像だ。

この数値を上の画面と同じにすれば、色は上の画像と同じになる。


◀写真全体の色を変えるにはこの色温度と色合いを調整するというのは、現像ソフトを使う上での基本だ。

青空をスッキリした青にすると、こんな感じになる。

多くの場合、このホワイトバランスの調整だけではOKと言うことにはならないだろう。

この写真の場合、全体的に青くしてしまったので、夕日が当たっている枝も青くなってしまった。本来ならもう少し夕日の色をここで出したいと思う。


◀そこでホワイトバランスの設定を元に戻して、この状態から青い空を調整してみよう。

カラーエディターツールの基本タブから調整してみよう。

このツール内にあるスポイトマーク「基本カラー補正を選択」をクリックして、スポイトツールにする。

そのスポイトで調整したい青い部分をクリックする。するとカラーエディターツール内のカラーサークルに、その色がポイントとして置かれる。この場合はブルーの領域の中に入っている。が、隣のパープル(紫)の領域にも近い部分だ。

この状態のままでカラーサークルの下のスライダーを動かして調整しても、調整範囲ギリギリであるため、写真によっては思ったように空色を変化出来ないこともある。


◀そこでカラーサークルの赤丸で囲んだ部分をマウスでドラッグして、ポイントした部分が調整の範囲の中に入るように動かす。

この三角部分の面積は大きければ良いというものではなく、調整したい色を含んでいると言うことが大事だ。狭すぎてもダメだし、大きすぎてても良くない。


◀上のように調整する範囲を動かしてから、下のスライダーで色の調整に入る。



◀木の枝の色は夕日の色を出しつつ、空の色を好みの色にしてみた。

カラーエディターの調整は色を特定して調整する機能としては基本となるものだ。

基本タブの方は特にベーシックな調整なので、利き目も穏やかなものとなっている。


◀基本タブの調整よりも、もっとガッツリ色を変えたいという時は「詳細設定」タブに切り替える。

これも同じように赤丸で囲んだスポイトツールで、目的の色を吸って、カラーサークルに設定する。(プロットする)

詳細設定タブでは同じ青色の色相でも明るさも加味された調整範囲を設定出来るので、より範囲を絞った色の調整に使う。

基本タブとの時と同じように、この指定範囲は、頂点にある点をマウスドラッグすることによって変えられるので、使用用途によって範囲調整しよう。


◀詳細設定タブの特徴として、調整出来る幅が大きいことが上げられる。

左の例では空の明るさを落としてみた。基本タブではここまで落とすことは出来ない。


◀調整スライダーの下にプロット(点を打つ)される度に、そのポイントが記録され、それぞれに対しての調整が可能だ。

更に左の例のように、プロットされたポイントのチェックを外すことで、その調整を外すことが出来る。

つまり、いくつかのプロット調整を個別に保存しておき、その効果をチェックしたり外したりで、試行錯誤が出来るのだ。


◀また、更にこのプロットされたポイント調整を重ねる(スタック)ことが出来る。左の例では青色の調整を3個、重複して掛けた状態だ。

青い空だけ、あかるさ-100を重ねて掛けたので、ここまで暗い空になったと言うことだ。


◀ここまで極端に空の色、明るさを変えてしまうと、空と接している他の部分との境目、これで言うと、枝の部分になるが、エッジが際立ってしまうようになる。


◀この調整は「滑らかさ」のスライダーで調整する。

デフォルトは20だが、1から30まで調整出来る。


◀左にその滑らかさ1と30の例を比べてみた。

1が境界線をハッキリさせる値で、30は境界線をぼかす値だが、この作例の場合、1で設定した方が違和感は無いようだ。

この滑らかさの数値は正解がない。撮影されている絵柄に寄るので、いくつか試して結果の良い数値を探す手間は必要だ。



今回は青空を好みの色にすることをテーマに解説した。

他の方法もあるが、C1では今回紹介したやり方が一般的だろう。

自身の表現の幅を広げる一助になればうれしい。

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