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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.37


C1のキーストーン補正 vs レンズでのアオリ撮影 どっちがいい?





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 7」 39,900円
対応OS:Windows Vista/7/8
Mac OS X 10.6.8〜10.8.2

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




CaptureOne(以下C1と略す)がバージョンアップしてからずっとカタログについて解説してきたが、今回はがらっと趣を変えてみよう。

本来ならバージョン7の新機能の解説というのが本筋だろうが、今回は、ここ最近、僕自身が実際の仕事で使っていて、便利だなと思った機能をご紹介しよう。

キーストーンツールの補正は過去にここでも解説している。

Capture One 徹底使いこなし術第10回「キーストーンの使いこなし」

このキーストーンツールはバージョン5から搭載された機能だ。バージョンアップされて、このキーストーンを含め、画像の歪み補正関連ツールにも若干の変更がある。今回はそれについて解説していこう。


キーストーンツールはビューカメラでの「アオリ」をソフト上で再現するものだが、アオリにも2種類ある。

1:形の補正
2:ピント位置の補正

C1を始め、アプリケーション上でのアオリ修正は、1の補正をするものになる。

今回の解説のため、左のような撮影セットを組んだ。建築撮影で下から見上げるようなイメージと思っていただきたい。


◀使用機材は以下の通り。

ニコン D-800
レンズ PC-E Micro NIKKOR 45mm f/2.8D ED

スタジオ撮影なので、すべてのカットは同じ状況で撮影している。絞りはF16で撮影している。絞りすぎというご批判もあるだろうが、この商品の端から端まですべてピントを合わせるという、商品撮影の基本と考えると、このくらい絞らないとピントが合わない。その面でより現実的なテストを目指している。


◀まず撮影したのは、シフトレンズを使いながら、アオリを使わないでの撮影。

その撮影画像をC1上で歪み補正を掛ける。


左がC1でキーストーンツールでの補正を掛けたもの、右が無補正の画像になる。

キーストーンツールでの補正は、全体を台形にすることになるので、結果的にその分小さくトリミングされる。それを考えて撮影時は若干小さく撮影するように気をつけよう。


◀さて、スタジオ撮影でこの歪み補正を使う時に便利なやり方をご紹介しよう。

スタジオ撮影ではテザー撮影をするが、立ち会いの時に、多くのスタッフ、クライアントがモニター画面でチェックするわけだが、撮影された画像が歪んだままではクライアントを不安にさせる。かと言って、いちいち補正をかけ直していたら面倒だ。

そんな時は、左の動画のように設定をちょっといじるだけで、シャッターを切るごとにすべて補正された状態で画面表示される。まるでシフトレンズで最初からアオって撮っているかのように。

今回はアオれるレンズを使っているからいいが、アオリのないレンズを使う時に、メチャクチャ便利なテザー撮影になるはずだ。


◀あらためて解説すると、左がキャプチャー設定のデフォルト状態。


シャッターを切ってから、その画像に補正を掛けて、左のように「その他」の項目を「最後からコピー」にすると、その補正状態が、シャッターを切って画像が転送されるごとに、補正を自動で掛けて表示してくれる。

この「その他」の項目は細分化されているが、今回は「最後からコピー」を使った。やり方によっては他の項目を選んでもよい。これについてはいつか解説するつもりなのでお楽しみに。


◀今回のタイトルにあるように、C1で歪み補正を掛けた画像と、シフトレンズを使って撮影時に物理的にアオって撮影した画像と、どちらがよいのだろうか?

実は、今回のテーマは僕自身、写真がデジタルになった時から、ず〜っと悩んでいた問題だった。

フィルム時代はビューカメラを使ってアオるのは当たり前のプロの撮影だった。ちゃんと形を補正した写真を撮れるのは、プロカメラマン以外の何者でもなかった。が、時代がデジタルになり、プロカメラマンでさえもアオリを使わない、いや、使いたくても使えない状況になってしまった。使っているカメラが35ボディの小型カメラになってしまったからだ。

そのカメラでアオろうと思っても、アオれるレンズはほんの数本…もちろん、バックタイプを使って4×5に付けるとか、ALPAに付けるとか、の選択肢はあるが…金額的に敷居がかなり高い。

そこでソフト的にアオる方法論なのだが、以前に比べて状況がかなり変わってきたと思う。今回のようにD800みたいな高画素モデルの出現と、アプリケーションの進化だ。高画素モデルでの撮影は、歪み補正を使うと縮小されてしまうと言うデメリットを解消させる。さらに、多少の画質劣化があったとしても、元画像が大きいため、そこから縮小すればアラも目立たなくなるという理屈もある。

では、実際にどれだけソフトでのアオリと、レンズによる物理的なアオリの差があるのか?見てみよう。

例によって、以下の画像はすべてFlickrから高解像度のデータがダウンロードできるので、ご自身の目で確認して頂きたい。


◀PC-E45mmノーマル撮影無補正


◀PC-E45mm 上の画像をC1による歪み補正したもの 



◀PC-E45mmでレンズのシフトを使って形を補正した写真



どうだろうか?今まで苦労して撮影時にアオって撮っていたのがどのくらいよいことだったのか? 自分でも分からなくなるくらいだ。

もちろん、アオリの効能としてのピントの位置調整は、いくらなんでもソフト上では無理だ。形の補正なら、C1でやっても問題ないというシーンも多々あるのではないかと思う。


◀さて、キーストーンツールでの補正を掛けた時に、気になることがある。それはレンズ固有の歪みだ。樽型とか糸巻き型とか呼ばれているアレだ。

キーストーンツールでの補正は単純に形を直線的に直すものなので、レンズの歪みはレンズ補正ツールの方で直す。

ここで使うレンズにプロファイルが用意されていればよいが、ない場合は「ディストーション」スライダーを自分で動かして修正する。

テストしたレンズPC-E45mmは残念ながらプロファイルがない。


◀レンズ補正ツールに見慣れない「アオリ」という項目があることに気がついた人が多いだろう。これはバージョン7から追加されたものだ。この使い方を説明しよう。

ここにシフト量を11mmと設定してみた。

それから、分かりやすいように「ディストーション」スライダーを50%にしてみる。

◀左がシフト量11mmで50%「ディストーション」補正された状態だ。


◀次にシフト量をマイナス11mmと設定してみた。

同じように、「ディストーション」スライダーを50%にしてみる。


◀左がシフト量マイナス11mmで50%「ディストーション」補正された状態だ。

お分かりだろうか?

なるほど! と思った方は上級者だろうと思う。

つまり、レンズの歪みはレンズの光軸を動かすシフトの動作によって、画面上で歪みの中心点が変わるのだ。それを補正するためにこの「アオリ」の項目がある。なお、この機能はレンズの歪み以外にも、色収差の補正にも関わっているようだ。


◀なお、設定した11ミリというのは実際に上のレンズを使って撮影時にアオった時のシフト量だ。



◀PC-E45mmでレンズのシフトを使って形を補正した写真で、さらにC1でアオリ量を設定、レンズの歪み、色収差の補正を掛けたもの。

◀どちらもレンズでアオった同じ画像だが、左はC1のアオリ量補正を掛けたもの。右がアオリ量補正が掛かっていないもの。

比較するとこれだけの差になる。


◀PC-Eレンズはかなり高価なレンズだ。商品撮影が多くないので買うのをためらう、と言うフォトグラファーも多いと思う。僕も買う時は結構な決心が必要だった。笑

それでは普通の単焦点でも同じように形の補正を掛けたらどうだろうか?

テストしたのは 「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」と言うレンズだ。これはニコンの中でも新しく、そして値段も安い。人によっては同社のF1.4のレンズよりも良いという評判もある。


◀NIKKOR 50mm f/1.8Gで撮った画像。
歪みの補正はない状態。



◀その画像をキーストーンツールで補正した。


NIKKOR 50mm f/1.8GはC1にレンズプロファイルがあるので、レンズの歪み、色収差の補正はほとんど手間いらず。

上の補正した画像と、高価なPC-E45mmを使って補正した画像、比べてみていかがだろうか? これなら希望小売価格28,350円のレンズでよいか? という選択肢もありだろう。

もちろん、ピントの位置調整は別だ。アオれないレンズでは絞って深度を深くしてピントを合わせるか、ピント位置をずらした画像をPhotoshopで合成するか、しか方法がない。



僕は最近、このキーストーン補正を使ってスタジオでの物撮りを結構行っている。というのは、アオれるレンズが極端に少ないバックタイプを使っているからだ。ビューカメラに付ければよいのだが、システムが大がかりになってしまうので、気軽に、とはいかない。となると面倒なので35での撮影になってしまう…という図式だ。これではせっかく買ったバックタイプの活躍場所が少なくなってしまう。

そんな折、先日の撮影でちょうどよい焦点距離のレンズが45ミリ(バックタイプ使用時)だったので、マミヤ645DFにマミヤの45ミリを付けて物撮りをした。その際に、今回紹介したようなことを実際に僕自身が経験したのだ。これなら単焦点レンズで撮って、あとはC1に任せればよいと。

僕も古い人間なので、どうしても撮影時にアオりたくなってしまう。アオらないと手を抜いているような気がするのだ。

でも、今回テストしてみて、そろそろその気持ちも変えていかなければならないか、と思った。唯一、ピント面の調整だけは仕方ないが。


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