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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.29


ハイダイナミックレンジの使いこなし





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




前回は新しいOSや、カメラ、C1のバージョンを絡めて思いつくままに書いたが、やはり、この時期にMacやカメラを新しくしたフォトグラファーも多かったようで、反響をいただいている。それに関してだが、Phase Oneでは過去のアプリケーションなどをアーカイブとして公開しているので、ここでご紹介したい。

Download software from archive

今までは新しいバージョンになる度に、以前のバージョンを個人的に保存しておいて、万が一に備えていたものだが、そのやり方も過去のものになってしまった。確認したわけではないが、マイナーバージョンアップも含めて、過去のCapture Oneのすべてのバージョンがここにある。何かのトラブルでPC を初期化してしまっても、ここからダウンロードすれば、最新のC1ではなく以前のバージョンで使うことも可能だ。良い時代になったものだな、としみじみ思う。

さて、今回は「ハイダイナミックレンジ」について書いていく。

ハイダイナミックレンジは一般的にはHDR(high dynamic range) と略される写真用語だ。風景など、ハイエストライトとディープシャドウの差が、カメラの持つダイナミックレンジよりも広いため、ハイライト側標準で測った露出のカットと、シャドウ側標準の露出で測ったカットを数枚合成して1枚の画像にするものだ。今ではiPhoneをはじめ、ほとんどのデジタルカメラに付いている機能になっているので、使った人も多いと思う。世の中にはHDRに特化したアプリケーションも出ているので、表現としてお使いのフォトグラファーも多い。

今回のC1のハイダイナミックレンジは、説明したような一般的なHDRとは趣が違う。一般的なHDRはいかにもという感じの写真が多いが、C1のはあくまでも標準的な写真に仕上げていくためのハイダイナミックレンジなのだ。そのあたりを誤解しないように。


◀まず、ハイダイナミックレンジツールの場所だが、デフォルトの画面では露出ツールタブの中に入っている。露出ツールの下にある。

他のツールと同じように、最初は0でスライダーを右に動かせば、その効果が強くなると言うものだ。

シャドウ側とハイライト側に分かれている。


それでは、早速動かしてみよう。

と、その前に露出警告表示をオンにしておこう。

露出警告の設定は環境設定でそのしきい値を変更できる。左はデフォルトの画面だが、ハイライト側は250以上の部分を赤く表示するという意味だ。


露出警告表示はメニューバーにある三角マークのボタンだが、それをオンにすると、左のように設定されたハイライト側250以上の部分が赤く表示される。

撮影されたままの画像ではこのくらい露出警告が出ている。メタリックな金属板にライトが映り込んでいるのだから、当然飛びきっているわけだ。


◀そこでハイダイナミックレンジのハイライトをマックスの100まで上げてみると、このように露出警告表示はほとんど出なくなる。これはRAWデータなので、そのデータ自体が持っているダイナミックレンジの幅が広いためだ。普通の写真として現像した場合、この部分はハイライトとして白くなるのだが、ハイダイナミックレンジツールを使うと、そのハイライトに階調を持たせることができる。これがハイダイナミックレンジツールの役目だ。


◀同じように、シャドウ側でもやってみよう。ノーマルではほとんどつぶれているかのように見える時計の影の部分だが、


◀ハイダイナミックレンジのシャドウスライダーを上げていけば、このように階調が出てくる。


◀このように便利に使えそうなハイダイナミックレンジだが、実はRAW専用ツールと割り切った方がよいだろう。

左はRAW画像にハイダイナミックレンジツールでハイライト側255の部分を、ハイライトスライダーをいくつあげると255から動くか? というテストをしてみたところだ。

254になるにはこのくらい動かさないとならない。


同じ画像をJPEGで撮影したもので、同じテストをすると…。

ハイライトスライダーをたったの1動かしただけで254になってしまう。

つまり、RAW画像には潜在的なダイナミックレンジがまだまだあるのだが、JPEGファイルには、その表示通りのレンジしかないので、シャドウの0付近や、ハイライトの255付近では、ハイダイナミックレンジツールを使っての伸びしろがないのだ。


◀それでは実践編として、日中シンクロをしたモデル撮影のカットを例にとって解説しよう。

アウトドアでストロボを炊いてモデルに当てるのは、日中シンクロと言ってよくある手法だ。

その際に、小型のクリップオンストロボなどを使うと、どうしても光の回りが狭いので、顔の周辺だけが明るくなってしまうことがよくある。イメージカットならそれでもよいが、洋服を見せたいとなるとそうもいかない。

この例ではよりによって服が黒いので、その部分がツブレがちだ。


◀そこでハイダイナミックレンジのシャドウスライダーを上げてみよう。

ハイライトである顔の部分はそれほど変わらずに、黒い服の部分のディテールが出てくる。

ただ、やり過ぎは禁物。このあたりはちゃんと調整されたモニターなど、それなりの道具と経験が必要になってくる。


◀ハイダイナミックレンジツールを使うと、大なり小なり、全体のコントラスト感はフラットになる。写真として締まりがなくなるので、仕上げとしては他の一工夫が必要になる。

今回はビネットツールを使い、周辺を落としてみた。服の質感はほどほどに出しながらも、写真全体として締まりのある仕上がりとなった。


◀もう1つ、風景での利用例を上げよう。

海岸での長時間露光のカットだ。

まず、カラーのままでは普通すぎるので、モノクロにしてみた。C1ではモノクロ化も簡単にできる。プリセットがあるので、これを利用しよう。


◀全体に白すぎるので、露出ツールで落としてみた。

露出ツールを使うと全てが落ちてしまうので、波を表現するとなると、違う。


◀そこで明度スライダーで落とすことにした。

これだと波はそのままで岩の部分を落とすことができる。



◀さらに波のディテールをより出すためにハイダイナミックレンジのハイライトスライダーを使ってみた。



◀上が明度スライダーとハイダイナミックレンジを使った仕上がり。

フォトグラファーの好みにも寄るだろうが、僕の好みは上だ。



以上、ハイダイナミックレンジツールはそれだけでは完結しないものだ。露出ツールと合わせて自分の表現を高めていってほしい。なお、露出ツールに関しては以下の回を参考にしていただきたい。

「第22回 露出ツールを使いこなす」



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