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「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.23


グローバル自動調整の使いこなし





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


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「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




前回の露出ツールに引き続き、今回はその発展した使い方である「グローバル自動調整」について考えてみたい。

「グローバル自動調整」とはC1のメニューバーにあるAマークのことだ。

「グローバル自動調整」(以下、自動調整)はボタン一発でその写真を最適な画像に調整するという機能だが、たぶん、多くの人が使っていない機能だろうと思う。なぜか? ボタンを押してみれば分かるが、希望したような画像にならないからだ。これは他社の現像ソフトにも共通する問題点だが、少なくとも現時点では満足のいく機能になっていないと思う。

現像ソフトでの画像を自動調整すると言うことは、その写された画像データだけを手がかりに調整するので、現像ソフトには厳しい状況だと思う。ただ、今のコンパクトデジカメなどは、画像解析、認識が進んでいるので、画像に何が写っているか? どこを主体とした写真なのか? をパターン化して、その判断の下、画像調整を掛けている。同じようなことが現像ソフトでも将来的に取り入れられるだろう。

さて、それではC1の自動調整も使えないか? というと、使い方によっては便利に使える道具になる。今回はそれを解説していこう。

◀前回使用した露出をばらした画像、7枚に自動調整を掛けてみよう。

カメラは1DsでRAWでのスタジオ撮影だ。照明は大型ストロボ。ホワイトバランスは太陽光。ストロボのパワーは一定でレンズの絞りでばらしている。


◀自動調整はC1のメニューから調整>自動調整を選ぶか、最初に書いたようにメニューバーのAマークをクリックする。ショートカットキーでは「コマンド+F」だ。

なお、その下のリセットも覚えておきたい。いろいろな調整をしても一発で撮影の状態までに戻れる。「コマンド+R」


▲オリジナルの未補正。
▲7枚すべてに自動補正を掛けた。
▲露出警告を出したところ。


◀撮影時の適正画像に自動補正を掛けた。

ホワイトバランスが太陽光なので、元画像は若干青い。自動調整はそれも含めて補正する。

元画像が下。補正後が上。


◀オーバーの写真に自動調整を掛けた。

何とかなるが、飛びきっているところは元々のデータがすでにない状態(255)なのでどうやっても無理。でも、全体的には十分だろう。

元画像が下。補正後が上。


◀アンダーの画像に自動調整を掛けた。

オーバーのようにデータがないと言うことはないので、階調もそこそこで、適正露光の画像に近くすることができた。

元画像が下。補正後が上。


◀左のテストではけっこう使えそうな感じがする。

風景の画像に自動調整を掛けてみよう。

この3枚は露出をばらして撮影されている。ホワイトバランスは太陽光。

それに自動調整を掛けると、露出の違いは補正されてしまい、ばらす必要もないくらいになる。が、建物の色がおかしい。白い建物のはずなのに、茶色になってしまった。

これはホワイトバランスで色温度を高く設定されてしまったからだ。

前述したように、C1が自動調整を掛けるための情報は、その画像自体しかない。作例のように青空背景だと、写真の中での青色を補正しようと働くため、全体的にアンバー系にホワイトバランス調整をしてしまうためだ。

◀そこで、自動調整からホワイトバランスの調整だけを切ってみる。

自動調整には6つのパラメータを調整するのだが、それぞれは個別にスイッチを入れることが可能だ。なお、6つのパラメータのうち、キーストーンはPhase OneのIQシリーズを使わないと使用できない機能だ。

それぞれのパラメータ
のスイッチは、調整>自動調整でチェックマークをクリックする。


◀また、メニューバーのAマークをマウスで長押しをしても、パラメータのスイッチが現れる。


◀自動調整からホワイトバランス調整だけを切って、同じように掛けてみた。


◀露出オーバーのカットは雲のハイライト部分が飛びきっているため、白が反転してしまっているが、おおむね良好な結果だと思う。

元画像が下。補正後が上。


◀同じような青空背景の建物にホワイトバランスを切った自動調整を掛けてみた。

元画像が下。補正後が上。

補正後は印象も強くなり、このままでも良いくらいだろう。

自動調整を使うにはホワイトバランスの調整を切った方がよさそうだと推測できる。

以下にホワイトバランスのありなしを比較してみた。


▲それぞれ上の段がホワイトバランス調整ありの自動調整。下の段がホワイトバランス調整なしの自動調整だ。

画面内を占める特定の色面積が多い場合、どうしてもその色に引っ張られた自動調整になってしまう。自動調整のポイントはホワイトバランス調整なしが1つの使いこなしになるだろう。ただし、これは撮影時にホワイトバランスを考えて撮影している場合に限る。カメラのオートホワイトバランスでもOKな場合があるが、それも外すときがあるだろう。すべて自動とはいかないのは、撮影の時も、後処理の時も同じだ。



▲スタジオでの商品撮影ではホワイトバランス調整なしにした方がよい。上の3枚の画像はホワイトバランス調整ありの自動調整。車の色によっても変わるし、同じ黄色い車を撮っていても、露出の違いでホワイトバランス調整も変わるようだ。



▲ホワイトバランス調整あり ▲なし
▲ホワイトバランス調整あり ▲なし

舞台撮影など、光源に色フィルターを掛けていると、ホワイトバランス調整はマニュアルでも難しいケースだ。ホワイトバランス調整が自動でいけるときもあるし、ダメなケースもある。同じように露出補正も難しいケースで、舞台撮影には自動調整は向いていないと思われる。



▲自動調整ができないもう1つの要素は、表現だ。

フォトグラファーの表現方法まではC1は考えてくれない。

たとえば左の写真、ビルの反射を強調するためにアンダーの露出で撮っている。自動調整では単なるアンダー写真にしかならないので、明るくしてしまう。

中央の写真も、花のOrangeを強調するためにアンダーに撮っている。これも補正されすぎだ。

右の写真は春の淡い感じを出すためにオーバーにしている。自動調整では当然のごとく適正にされてしまう。

この例のように、フォトグラファーに明確な意図があるときは、自動調整は向いていない。ただ、普通の撮影、スナップなど、きれいに写っていることが求められるケースは多いはずだ。特に仕事で大量のカットを短時間で均一にある程度のきれいさで納品する、というプロフェッショナルな仕事ではうまくいけば便利な道具になるはずだ。



◀例として、いろいろな画像を簡単に、そして短時間に、そしてきれいにしてみよう。

写真を撮ってきたら、C1にインポートする。

カードから直接インポートしてもよいし、コピーしたフォルダをインポートしてもよい。

インポートはメニューバーの左端の下矢印だ。


◀インポートウィンドウが開く。

ここで、調整の部分で「AutoAdjust」をチェックする。それからインポートボタンを押す。

なお、この「AutoAdjust」はグローバル自動調整でチェックしてあるパラメータを調整する。自分がホワイトバランス調整なしで調整をしたいのなら、まず、グローバル自動調整でホワイトバランス調整のチェックを外しておくこと。

下の写真がインポート時に自動調整を掛けたものだ。


◀左が調整後。

まだアンダーのままだが、もう少し露出スライダーをプラスにすればよいだろう。

◀この手の風景写真には自動調整がよく効く。

撮影された下の画像よりも、印象的できれいな仕上がりになる。


◀長時間露光の写真だが、露出がアンダーだった。

ハイダイナミックレンジも自動で掛けるので、見られるくらいの画像にはなる。


◀白い花が飛ばないようにアンダー補正したが、補正しすぎたようだ。

上の画像が自動調整後だが、白の花が飛ばないギリギリのところまでうまくレンジを詰めてくれている。


◀夜景もスナップには厳しい条件だ。フレーミングによって露出補正は欠かせない。右が元画像だが、アンダーに撮れてしまった画像を自動調整だけで左のようになる。もっと明るくすることも可能だが、そこそこの雰囲気なので、これでよいという場合もあるだろう。


◀このように夜景でも黒い部分が多いとそれを過補正してしまう。自動調整は万能ではない。が、ここから先は露出スライダーを動かすだけで自分の好みにすればよい。


使うのは簡単なのに、使いこなすのが難しい自動調整だが、今回の解説で使って見たくなったと思う。

使いこなしの要点は、自動調整に入れるパラメータを、どれにスイッチを入れるか? だと思う。

今回はホワイトバランス調整なしにしたが、写真によっては露出とレベルだけを生かして自動調整を掛けた方が歩留まりが高くなる。だが、自動はどこまでいっても自動で、自分の思い通りの結果には100%まではいかない。そこで使えないと判断するよりも、80%くらい成功すれば、後の調整が楽になると考えた方が合理的だ。特に大量のカットを短時間で納めなければならないフォトグラファーにとって、使ってみる価値はあるといえる。


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