・カメラマンにとっての3D CG基礎知識

・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える

・プロカメラマンのための撮影データ管理術

・3ds Maxを用いた新時代写真術

・Capture One 徹底使いこなし術

・PCJライティング講座





「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.22


露出ツールを使いこなす





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
Flickr:http://www.flickr.com/photos/tatsphoto/
Facebook:http://www.facebook.com/tatsphoto
Twitter:http://twitter.com/#!/tatsphoto



「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




撮影した写真の後処理として、もっとも頻繁に使われるのがホワイトバランスの設定とこの露出ツールだと思う。大抵はこの2つを調整すれば、ほとんどの写真は完成状態になる。というか、それ以上調整しなければならないときは、よほどの時だろう。

今までこの露出ツールについては深く解説してこなかった。理由は普段からどんな初心者でも使っているツールなので、あえての解説がいるのかどうか? そう考えていたからだ。ただ、使っていながら、何となく使っているというケースが多い。今回は少しだけ掘り下げてその辺りを考えてみよう。




まず、左の画面が露出を調整する際のメインとなるツールだ。今回はこの「露出」と「ハイダイナミックレンジ」の2つについて解説する。

まず、赤丸で囲んだ「?」マークをクリックしてみよう。ネット環境につながっているPCなら、このアイコンをクリックするだけで、そのツールのヘルプページが表示されるはずだ。去年からこのヘルプも日本語化されたので、分からないときには参考になると思う。


さて、露出ツールのヘルプを見てみよう。多くのユーザーが疑問に思う「露出」と「明度」について、写真を調整する上で、どちらのスライダーを使えば良いのか?よく分からないというご質問がある。
ヘルプからの引用で、


露出
このスライダーは、±2.5ストップの範囲になるように構成されています。これは、カメラの操作とよく似た方法で露出を調整します。
明るさ(明度)
主にイメージの中間色調を明るくするツールです。スライダーを左に動かすと中間色調のコントラストが増加し、右に動かすと影の部分が明るくなってコントラストが減少します。

実際に動かしてみても、その差が分かりにくいツールだと思う。説明を読んでも、何となく頭では理解できても、実際の自分の写真にはどっちを使うのか? 分かりにくい。

ここの部分を数値化できないか? テストをしてみた。Photoshopで白から黒のグラデーションを作り、それをグレーチャートとしてC1に読み込ませ、調整を掛けてみた。

◀これがデフォルトでのグレーチャート。カラーリードアウトツールでその数値を表示させた。


◀この内の中間調と思われる数値118の部分が200になるように明るく調整した。

下から、基準のグレーチャート、明度+49、露出+1.78、に調整。


◀露出+1.78



◀明度+49


詳細に見ないと分かりにくいが、特徴だけ言うと、露出のプラスは白飛びしにくい。明度のプラスは白飛びが起きるが、その分コントラストが上がる、ということになる。下に輝度の数値のみ書き出したので参考にされたい。

輝度情報 基準
0
16
35
52
68
85
101
118
135
152
169
187
203
221
238
255
露出 プラス
0
28
61
89
119
147
171
200
218
231
238
243
247
251
253
255
明度 プラス
0
29
62
91
121
149
176
200
218
232
241
247
250
253
255
255

次に露出をマイナス方向にしてみた。

今度は中間調と思われる数値118のグレーをチャートで3つずれたパートになるように調整した。

上から、基準のグレーチャート、露出-1.1、明度-3.4に調整



◀露出-1.1


◀明度-3.4


暗くしたときの差がハッキリ分かるのはハイライト部分だ。完全な白である255のパートでも露出を下げるとグレーになってしまう。明度の調整の場合は白は白のままだ。

極端な言い方をすると、露出ツールでの調整はコントラストが下がり、明度の調整の場合、コントラストが上がる、ということになる。

下にその際の数値を書き出してみた。

輝度情報 基準
0
16
35
52
68
85
101
118
135
152
169
187
203
221
238
255
露出 マイナス
0
10
25
36
49
61
72
84
96
107
119
130
143
155
168
255
明度 マイナス
0
11
23
34
45
56
67
77
89
102
118
139
164
193
224
255

◀もう1つ、ハイダイナミックレンジツールについても同様にグレーチャートに掛けてみた。

左はシャドウをマックス100までかけたところ。

暗部は当然持ち上がり、階調が出るが、完全な黒の0の部分は0のまま。暗部は明るくするものの、0は0のまま表現するのがハイダイナミックレンジのシャドウということになる。


◀次はハイダイナミックレンジのハイライトをマックス100にした。

ハイダイナミックレンジのシャドウと違い、完全な白(255)の部分もグレーになってしまう。

この辺りの変化は露出ツールと同じ動き、考え方で作られていると推測される。

下にその際の数値を書き出してみた。


輝度情報 基準
0
16
35
52
68
85
101
118
135
152
169
187
203
221
238
255
シャドウ 100
0
16
57
80
91
118
144
164
182
198
211
222
232
240
248
255
ハイライト 100
0
14
33
49
65
79
93
104
115
124
133
143
154
168
182
195

以上がテストだが…これは机上のものだ。スライダーの役目、動きの概要は分かると思うが、実際の写真に調整をするときは、見た目の判断になる。ただ、その際に、以上の役割、結果を頭の中に入れてあると、多少はいいだろう。

それでは実際の写真に調整をかけてみよう。

◀左の写真を例に取る。

これはスタジオで標準的な露光で撮影された画像だ。キヤノンの1DsでRAW撮影、C1ではホワイトバランスを取っている。


◀露出アンダーの画像を露出のプラスで明るくしてみた。下の画像がオリジナルの未補正


◀明度の調整で明るくした画像との比較。

上が露出のプラス、下が明度のプラス。

露出アンダーの画像を救済するような場合、露出ツールを使った方が自然な結果になる。ハイライトの繋がりが自然なためだろう。


◀次に露出オーバーの画像をマイナス補正してみよう。

下がオリジナルの未補正。上が露出ツールでマイナス方向へ調整したものだ。


◀同様に明度の調整でもやってみたが、明度ではダメだ


以上のテストから露出のオーバーアンダーが、意外に救えるのが分かる。これは元データがRAWデータだからだ。C1の現像は元のRAWの幅広いレンジを極限まで出すような調整をやっているのがよく分かる。

◀撮影時に同時記録したJPEGデータも救済できるか? やってみた。

これは露光オーバーの画像だ。真ん中がオリジナル。上が露出ツールでマイナス方向、下が明度をマイナス方向にしたもの。

JPEGの場合、白く飛んだ255の部分はどうやっても出てこないので、アンダーにするとグレーになってしまう。この時、明度の調整では白のままなので、グレーぽくしないで何とか救済する方向に行ける可能性がある。


◀次はアンダーのJPEG画像から。

真ん中がオリジナル。上が露出のプラス補正。下が明度のプラス補正だ。

明度の調整では上でも書いたようにコントラストが上がるので、この時は露出ツールを使った方がまだいいようだ。ただ、完全につぶれている部分は、データがないので、そのままにしかならないのは、上のテストでも検証済みだ。


◀下がオリジナル、上が修正後。
夜明けの撮影だったが雲が多くあいにくの天気だった。太陽が出たところと、他の部分の輝度差が大きい。ハイライトを極力飛ばさず、シャードーがつぶれる限界の露出で撮影したカットだ。当然、全体が暗いのでハイライト部分は飛びにくい露出をプラス方向に上げた。それでも空の部分が明るくなるので、ブラシツールでさらに印象深く落とした。



◀右がオリジナル。左が修正後。
これも夜明けの撮影だが、太陽が雲に入っていてコントラストのない光での写真になってしまった。ヒストグラムを見ると分かるが、ハイライトが飛んでいる部分がほとんどない写真だ。コントラストも上げつつ、明るくすると言うことで明度をプラスにした。シャドーも黒くつぶしたいのでレベルのシャドーを切り詰めている。




今回の露出ツールで改めて驚かされたのは、RAWデータの打たれ強さだ。当然、カメラにもよるが、それにしてもJPEG撮影とは桁違いの調整幅を持っているのがよく分かった。C1はJPEGでも、TIFFでも調整ができるが、デジタルカメラの潜在的な能力を100%引き出せるのは、やはりRAWだと、改めて感じさせられた。


↑Page Top


| ご利用について | 広告掲載のご案内 | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |
Copyright (c)2010 colors ltd. All rights reserved