・カメラマンにとっての3D CG基礎知識

・スチルカメラマンにとってのムービー撮影を考える

・プロカメラマンのための撮影データ管理術

・3ds Maxを用いた新時代写真術

・Capture One 徹底使いこなし術

・PCJライティング講座





「Capture One Pro」 (以下C1Pro)はカメラマンがRAWファイルを最適化する際、色再現や画質のブラッシュアップなどの一連の作業を大幅に向上させるツールだ。ここでは実際の作業からC1Proの使いこなしを考えていこう。


No.21


ノイズ除去





文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。デジタル集団「電塾」の運営委員としてデジタルフォトの啓蒙活動にもつとめる。
有限会社Y2代表。(社)日本広告写真家協会会員。


http://homepage3.nifty.com/y2/
Flickr:http://www.flickr.com/photos/tatsphoto/
Facebook:http://www.facebook.com/tatsphoto
Twitter:http://twitter.com/#!/tatsphoto



「Capture One Pro 6 Box」 49,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、
Mac OS X 10.5.8〜10.6

日本総代理店:DNPフォトルシオ
http://www.fotolusio.jp/business/
captureone/index.html

Phase One
http://www.phaseone.com/




2012年、第1回目の「Capture One 徹底使いこなし術」のテーマはノイズ除去について解説しよう。

デジタルカメラでは、撮像素子(CCDなど)が
光を電気信号に変えて、画像をデータとして記録するわけだが、その過程でノイズが発生する。そのノイズが記録された画像データに入ってくるので、フォトグラファーに認識されるのだが、今回のノイズ除去は高感度での撮影や、夜間など暗部に発生するノイズ、長時間露光でのノイズについてのノイズ除去に限る。ノイズにはこの他にJPEG圧縮時のノイズ(ブロックノイズ)などもあるが、今回のテーマには入らない。

C1は以前からカメラメーカー純正も含めた現像ソフトの中でもノイズの処理には定評のあるアプリケーションだった。舞台撮影やスポーツの分野のプロフェッショナルフォトグラファーにとって強い味方だった。ここでのC1解説で今までノイズについて語ってこなかったのは、僕がそのジャンルを得意としているフォトグラファーではないからだ。蛇の道は蛇、その道のプロにはノイズ除去にも一家言あるだろう。今回は僕なりのノイズ除去について語りたい。その結論を先に言ってしまうと、「自分の判断で、」と言うことになるのだが、、、なぜそういう結論になるのか? それを知っておくべきだろう。

さて、それではノイズ処理の基本的なことから。




◀ノイズ除去のツールはルーペマークのツールタブに入っている。
C1のノイズ除去ツールは2種類ある。

1つは「ノイズ除去」

もう1つは「高度なノイズ除去」

一般的にはノイズ除去だけで事足りるだろう。


◀その2つのツールの中を見てみると調整スライダーがいくつかある。
ルミナンスは他社の現像ソフトでは「輝度」と書かれているものを同じだ。
カラーは他社の現像ソフトと同じようにカラーノイズに効くスライダーだ。
ピクセルは長時間露光などでピクセル単位のノイズについて処理できる。
高度なノイズ除去については後述する。
すべてのツールに共通することだが、自分で調整していくと途中で分からなくなるときがある。迷ってしまうわけだ。その際に一度、元に戻すとよいだろう。各ツールには左の赤丸で囲んだように、デフォルトに戻すボタンがついている。これをクリックすると、そのツールだけ、デフォルト値に戻る。


◀今回の解説にあたり、テスト画像を撮影した。

そのセットは左のようになっている。商品の左からLEDライトの1灯のみ。このほかにフォトグラファーの後側に蛍光灯のルームランプがついている。ルームランプはあえて点けたままにして撮影した。テストカメラは数台使ったが、厳密に同じ画角では撮れていない。


◀撮影画像は左のように撮れる。
感度100の時に、F8、1秒を適正とした。シャドーは背景の黒いカーテンになる。
この適正値からそれぞれのカメラで感度を変えて撮影。絞りは固定でシャッタースピードを上げることで同じ露光値にした。
カメラ内のオートホワイトバランス、RAWデータ、暗部補正やノイズ除去などはデフォルト値とした。
使用カメラは以下の通り。

キヤノン1Dsmk3,7D

ニコンD7000

Phase One645AF(Phase OneP45+)

各スライダーの機能は以下のように作用する。


◀ノイズ除去のすべてのスライダーを0

◀デフォルトでのノイズ除去

◀ピクセルだけを0

◀輝度ノイズだけを掛けて、カラー、ピクセルは0



テスト画像をC1で表示させたのが以下だ。各調整スライダーに注目して欲しい。すべてデフォルトだ。

キヤノン1Dsmk3

ISO100


キヤノン1Dsmk3

ISO400


キヤノン1Dsmk3

ISO1600


▶キヤノン7D

ISO100


▶キヤノン7D

ISO400


キヤノン7D

ISO1600


▶ニコンD7000

ISO100


▶ニコンD7000

ISO400


▶ニコンD7000

ISO1600


▶ニコンD7000

ISO6400


▶ニコンD7000

ISO2560


▶Phase OneP45+

ISO50


▶Phase OneP45+

ISO100


▶Phase OneP45+

ISO400


▶Phase OneP45+

ISO800


今回テストして、僕としては非常に面白かった。というのは今まで撮影でノイズ除去は使っていたが、同じ条件で、カメラごと、そして同じカメラでも感度などの条件で、デフォルトとして掛けるノイズ除去の数値がここまで変わると思わなかったからだ。

このテスト結果から、C1のノイズ除去はその画像の記録状態(おそらくEXIFデータから読んでいるのだろう)により、適正と思われるノイズ除去をデフォルトで掛けていると言うことが分かる。

さらに興味深いのは、普通のノイズ処理だけではなく、高度なノイズ除去、そして、シャープネスの値さえも変えて掛けている。

このデフォルト設定が、すべてのフォトグラファーに最適だとは言わないが、そこそこよい線をいっている掛け具合だと、僕個人は思う。これ以上はそれぞれのフォトグラファー、撮影によるもので、ここから先はそのジャンル、その道のプロの領域だろう。

参考までに同じ画像を比較したのが以下になる。

◀撮影は比較しやすいようにニコンD7000で感度25600で撮影したRAW+JPEGを展開したものだ。

左からRAWデータをPhotoshopCS5のデフォルト値、中央は同じRAWデータをC1のデフォルト値、そして、右端は同時記録のJPEGを開いたもの。

フォトグラファーならご存じのようにカメラで記録されたJPEGはカメラ内での処理が掛かっている。ニコンのノイズ軽減、シャープネスの値はデフォルト値で撮影した。

◀上の写真で細部の描写を見て、下の写真でノイズを具合を見ていただきたい。

細部の描写は、盛大にノイズが出ているPhotoshopでの現像が最も良い。下で解説するが、PhotoshopのRAW現像はデフォルトではノイズ処理されない。

ノイズ処理をすると、ノイズは消えるが、それと引き替えに細部の描写が犠牲になる。その典型的な例だろう。

また、カメラ内のJPEGはカメラメーカーが考えた最良の処理だ。この比較でも、良くノイズは消えていると思う。ただ、個人個人のフォトグラファーにとって、これが最善の処理というわけではないはずだ。

PhotoshopでRAWデータを開くとデフォルトではこのようになる。これはどのカメラ、感度で撮影されていても同じ値がかかる。ノイズ処理は基本的に0なのだ。

Adobe系の現像ソフト、Lightroomでもデフォルトは0設定になっている。これが良いか悪いかは使うフォトグラファーが判断するものだが、個人的には現像ソフトが最適な値を掛けてくれた方が楽だと思う。

なお、キヤノンの純正アプリケーション、DPPでもそれぞれ撮影された条件によって、デフォルト値を変えて掛けてくる(環境設定による)。

カメラメーカーとアプリケーションメーカーの思想の違いを感じる。


最後に高度なノイズ除去について解説しよう。
以下は同じ画像でそれぞれの調整を掛けた画像だ。


▲デフォルト値での高度なノイズ除去

▲表面を100 粒子を0

▲表面を0 粒子を100


上の写真のように「表面」スライダーは画像のざらつきを滑らかにするように働く。「粒子」はノイズ除去でなくなった写真に再度、ノイズを乗せるように働く。一種の写真の粒子みたいな感じだ。

◀高度なノイズ除去にはプリセットが用意されている。

これはフィルムライクに高感度の粒状性を模したものだったり、低感度フィルムのように粒状感がない画像にできるというプリセットだ。

使える場面もあると思うので、覚えておきたい。



今回は、ノイズ除去について解説したが、冒頭に書いたように、最後はフォトグラファーの判断になる。これはシャープネスの値にも言えることだが、万人に共通する正解はない。ただ、C1では普通に現像するだけで、ほぼ8割方は良いと思えるような画像に現像してくれる。僕自身はこれで十分だし、これ以上の調整は1枚1枚の調整になるので、手間と時間が掛かることになる。もちろん、これは、と言う作品にはその手間を惜しまないが、日々の仕事には非常に効率の良いデフォルト値になっていると思う。

簡単に現像したいというニーズにも応えつつ、こだわるフォトグラファー諸氏には、自分でとことん突き詰めたノイズ処理もできる現像ソフトはC1だけだろう。


↑Page Top


| ご利用について | 広告掲載のご案内 | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |
Copyright (c)2010 colors ltd. All rights reserved