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RAW現像ソフト



Capture One 5 Pro




価格:「Capture One 5 Pro」49,800円
   「Capture One 5」  12,800円
対応OS:Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.5.8〜10.6

Phase One(以下フェーズワン)
http://www.phaseone-japan.co.jp/
日本総代理店:DNPフォトルシオ

文:湯浅立志
1961年生まれ。群馬県出身。有限会社Y2代表取締役。社団法人日本広告写真家協会(APA)会員。「電塾」 本部運営委員。写真展は2004年「デジタル戦士」(キヤノンサロン)、2004年「開発者たちの肖像」(コダックフォトサロン)個展、2005年 APA新入会員展「新鋭展」(フジフォトサロン)、2006年「EOSDigitalWorks2006」(キヤノンサロン)など。


■直観的に色を追求できる現像ソフト

筆者とCapture Oneとの付き合いは、今から7年ほど前からになる。2002年、35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラ「EOS-1Ds」の発売を機に、それまで使ってきたニコンの初代「D1」系からキヤノンに切り換えた。フィルム時代から物撮りやモデル撮影が中心で、広告の撮影になれば大勢のスタッフ(スポンサーや代理店、デザイナーなど)の立ち会いがあり、本番の前にポラを回覧して確認をしてもらっていたものだった。

デジタルフォトになり、このクライアントチェックの方法に劇的な変化が訪れた。撮った写真がその場ですぐに確認できるのだ。ただ、カメラボディを三脚から外してカメラの周りに4〜5人が集まり、背面の小さな液晶モニタで判断をしてもらうのには無理があった。そこで普及してきたのが、カメラとPCを直接ケーブルでつなぐ「連結撮影」で、PCモニタでリアルタイムに確認をしてもらうという方法だ。撮影されたメモリカードをPCにコピーするより早く、撮ったらすぐに確認できる。その時の感動は今でもよく覚えている。

しかし、連結撮影をするにしても当時のキヤノン純正ソフト「Digital Photo Professional」(以下、DPP)バージョン1は今とは比べものにならないほど完成度が低かった。

そこで選んだのがフェーズワンの現像ソフト「Capture One Pro」(以下C1Pro)だった。Capture Oneといえば、フェーズワンの中判デジタルカメラバックの撮影データを現像するための専用ソフトだが、バージョン1の頃からキヤノンのデジタル一眼のみ連結撮影にも対応していた。当時はソフト単体で約10万円と高価だったので購入に踏み切るまでにかなり迷ったが、数百万円するバックタイプで実際に仕事で使っている実績や、いつかはPhase Oneのデジタルカメラバックを買えるようになるかもしれない、と思い購入に踏み切った。

実際に使ってみると、プレビューが速く、撮影結果が高速に表示される。現像しながら他の作業もできるなど、そのスピーディーな使い勝手に感動した。プロの現場で使うことを前提にしたソフトの作りは当時のDPPver.1とは異次元のものだった。その後のバージョン4からはニコンのカメラにも連結撮影に対応し、現在ではニコン、キヤノンのカメラで連結撮影をしようと思うなら、純正ソフトかC1Proの二者択一という状況になっている。

しかし、近年発売されてきたライブビュー機能付きのデジタル一眼の登場によって、連結撮影の現場に変化が起きている。ライブビューとはシャッターを切る前に撮像素子に投影されたスルーの画像をPCの画面で見られるものだ。フレーミングやピントの状況をリアルタイムに確認できるので、今では「この機能なしでは考えられない」と思えるほど撮影効率を向上させてくれる。特に物撮りでは劇的な変化だ。

ところが、C1Proだとフェーズワンの中判デジタルバックP+シリーズのみライブビューに対応なので、非純正のキヤノン、ニコンでは連結撮影時にカメラボディの背面のモニタでしかライブビューができない。連結撮影時にPCライブビュー機能を使いたいならば、各カメラメーカーの純正ソフトを選ばなければならない状況になったのだ。

そんな状況にはなったが、C1Proの特徴である「直観的に色を追求できる現像機能」の評価は揺らいでいない。色の追求に関しては初期のバージョンからの純正ソフト、および他のサードパーティ製現像ソフトを寄せ付けないほど充実した機能を実現している。例えば、DPPではホワイトバランス設定時に「クリックホワイトバランス」でホワイトバランスを取り、さらに微調整をしたいと思ってもそれが難しい。そこから色温度指定に変更するとデフォルトの5200Kに戻ってしまう。これではホワイトバランスの追い込みができない。さらに「ここからさらにグリーンやマゼンタ方向に転ばしたい」時は小さなカラーホイールを動かすしかないのだ。

C1Proならば各パラメータをダイレクトに動かせるので、このような問題に悩まされることはない。また、レベルとカーブを独立して個別に動かすことができるうえに、個別の赤色、緑色、青色のカラーチャンネルを単独に選択、調整できる。例えば、青くかすんだイメージにしたいという場合は、ブルーのチャンネルだけ選択して編集すればよい。ハイライトを飛ばす場合でも「レベルのホワイトポイントだけ切りたい、ブラックポイントだけ切りたい」という方法を使ったり、「トーンカーブ」で行いたいという人も「トーンカーブ」でも同じことができる。

筆者はこのような色の調節機能の充実ぶりを「あらゆる方向から攻めることができる」と表現している。C1Proは同じ表現を実現するのに、アプローチは1つではない。とてもクリエイティブなソフトなのだ。




▲レベルのブラックポイントとホワイトポイントを調節し、明るいトーンをより明るく、シャドウをより暗くした。いろいろな角度からイメージを調整アプローチできる。(クリックで拡大)

■使い勝手と編集時間を短縮させる新機能を搭載

2009年10月末にリリースされたバージョン5では、いくつかの新機能が追加された。その中で筆者がもっとも気に入ったのは他の色を変えずに肌色を変更できる「スキントーン」だ。これは「カラーエディター」の詳細設定をさらに詳細にして機能を独立したものだ。従来の単独ツールの「スキントーン」ではない。スポイトで肌色を拾って「スムーズネス」や「Hueローテーション」「彩度」「明るさ」「均一」スライダを動かして目的の肌色のみ微妙な色の調節が可能になる。

特に年配の男性には「酒焼け」「ゴルフ焼け」、逆に「肌が白い人」など、いろいろな顔色がある。以前の撮影で、顔色の黒い人、赤い人や白い人がいらして、それを整えるために顔だけレイヤーを作成して、トーンカーブを調節するなどの作業をしたことがあるが、非常に手間のかかる作業だった。そんなとき「スキントーン」があれば作業効率を上げることができたと思う。



▲スキントーンのインターフェイス。肌色に対してこれだけのスライダで微調整ができる。(クリックで拡大)



▲スキントーンのインターフェイス。肌色に対してこれだけのスライダで微調整ができる。(クリックで拡大)
ツールバーのカスタマイズや移動が自由になって非常に操作性が向上した。従来のC1proでもデュアルモニタには対応していたが、ツールタブを画面の外に移動することはできなかった。Capture One 5ではPhotoshopのデュアルモニタ使用時のように、片方のモニタへツールだけ移動することが可能になった。



▲筆者はツールバーをまとめて右のモニタに表示して作業をしている。多く表示するとレスポンスが低下するので、パフォーマンスが低いPCではむやみやたらにツールを表示しないのがコツ。(クリックで拡大)

ちなみに、Capture One 5は画面インターフェイスが非常に自由なのも特徴で、例えば「ライブビューが必要なのでDPPを使わざるを得ない」「Nikon Captureを使わざるを得ない」という状況で、それら純正ソフトに慣れると画面インターフェイスが違うCapture Oneが使いづらく感じるときがあるだろう。そんなときは、Capture One 5をDPPやNikon Captureにツールの配置を似せることができる。

さらに優れているのは、キーボードショートカットのカスタマイズが可能なので、ショートカットキーを純正現像ソフトと同じにするカスタマイズができる。例えば、DPPで「レシピをコピー」の機能は"command+option+C"キーだが、Capture Oneの同じ「調整のコピー」機能はデフォルトでは"command+Sift+C"キーが割り当てられている。そんなときはCapture Oneの「キーボードショートカットを編集」でDPPと同じキーに変更することが可能だ。

Capture Oneを使っているユーザーは、おそらく複数の現像ソフトを並行して使っている方が多いと思う。どうしても連結撮影のときはメーカーの純正ソフトを使わなければならないという人は、Capture One 5を純正ソフトに合わすことをお勧めする。そうすればショートカットに戸惑うことなく、操作をスムーズに行うことができるようになり、Capture One 5を使うストレスは格段に低くなるはずだ。




▲Capture OneのレイアウトをDPPと一緒にしてみた例。(クリックで拡大)


「フォーカスマスク」は、ピントが合っている範囲にマスクを自動的に載せてくれる機能で、ピントを視覚的に確認することができる。いままでは撮影データをダブルクリックして拡大表示をしたうえでピントの確認をしていたが、そんな手間を省くことが可能になる。例えば、モデル撮影を連結撮影で行う際、PCモニタから離れている位置からでも「今のカットのピントが合っている」とか「ずれている」ということをマスクの面積によって確認できる。マスクは、「フォーカス」の「しきい値」のスライダで精度をよりシビアに設定が可能だ。



▲「フォーカスマスク」を使えば、ズームせずにイメージ全体でピントを確認することが可能になる。(クリックで拡大)

「スポット除去」は撮影画像に写り込んだホコリの除去を行う機能だ。操作は非常に簡単で、スポット除去の「タイプ」メニューから「ダスト」をクリックし、スポットカーソルツールで修正したい位置をクリックするだけでホコリを消すことが可能になる。



▲「スポット除去」はイメージ上のダストスポットにマークを付けるだけで、ゴミを除去してくれる機能だ。(クリックで拡大)

■プロだったらCapture Oneに慣れておきたい

大方の機能に満足しているCapture Oneだが、改善してほしいところもある。プリント機能が搭載されていないので、調整したイメージをダイレクトにプリントアウトができないのだ。バージョン5でも搭載が見送られ、「どうして?」と思ってしまった。

例えば、Capture Oneでイメージを追い込んで絵柄をプリントして確認をしたいという場合は、保存をしてPhotoshopなどで開いてプリントをしなければならない。どうせ最後にPhotoshopを起動しなければならないならば、細かい調整もCapture One側でせずに、Photoshopで処理してしまおうと思う人も多いだろう。これは今後の対応に期待したい。

最後に、Capture One 5 Proは市場実勢価格が約5万円と競合ソフトに比べて少し価格は高いが、連結撮影や編集機能の一部をなくしたスタンダード版なら13,000円以下で購入可能だ。ならば「プロだったらCapture Oneに日頃から慣れておこう」と提案したい。キヤノンやニコンをはじめほとんどのデジタル一眼、コンパクトカメラのRAW現像ソフトとしても使うことができるし、プロ版ならば連結撮影もできる。そして、まったく同じインターフェイス、使い勝手でPhase Oneの中判デジタルカメラバックを使うことができるのだ。

すべての仕事を35mmデジタルカメラで撮影するのは効率という点ではいいが、プロならば「中判デジタルバックを使いたい」と思うような仕事が、いつかはめぐってくると思う。たとえ持っていなくてもデジタルバックはレンタルすれば用意できるし、クライアントはレンタルであることは気にしない。しかし、カメラはレンタルはできてもソフトに慣れていなければ、せっかくの中判デジタルバックを生かすことができない。そうなる前に、普段からCapture Oneを使っていればチャンスを逃すことはないだろう。ドキュメンタリーなど高感度が中心のフォトグラファーならば別の切り口があると思うが、エディトリアル、広告などの撮影で活躍しているフォトグラファーだったら、今からCapture Oneに慣れていて損はないと思う。


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