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第9回 SIGMA SD1 Merrillの実力

このコーナーでは、コンパクトデジタルカメラからハイエンドカメラ、撮影用品、各種ソフトウェアまで、仕事や作品制作、趣味を問わず、プロカメラマンが使ってみたくなる話題のツールを毎回取り上げていく。
文:津島隆雄
1971年青森県生まれ。学校写真カメラマン、コマーシャルスタジオのアシスタントを経て1999年よりフリー。 物撮りから人物などさまざまな写真業務全般、画像処理全般を手がける。
http://www.gungho.or.tv/
○基本スペック
SIGMA SD1 Merrill

・撮像素子 X3ダイレクトイメージセンサー(CMOS) 23.5x15.7mm
・画素数 総画素数:約48MP、有効画素数:約46MP(4800pixel x 3200pixel x 3層)
・実撮影画角 レンズ表記の1.5倍の焦点距離に相当(35mmカメラ換算)
・レンズマウント シグマSAバイヨネットマウント
・ISO感度 ISO100~6400
・液晶モニタ TFTカラー/3.0型/約46万ドット
・700g

「17-50mm f2.8 EX DC OS HSM」(同時テストレンズ
・蛍石と同等性能のFLD硝子採用
・35mm換算25.5mm?75mm相当
・フィルター径 77mm
・565g

「8-16mm F4.5-5.6 DC HSM」(同時テストレンズ
・蛍石と同等性能のFLD硝子採用
・ 35mm換算12mm?24mm相当
・555g

「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」(同時テストレンズ
・屈折率の高いSLD硝子採用
・フローティングインナーフォーカス採用
・最短撮影距離 31.2cm
・最大倍率 1:1
・725g

・その他詳しくはSIGMA「SD1 Merrillスペシャルサイト」のページ
SIGMA「レンズサイト」のページ



●独自のFoveon X3ダイレクトイメージセンサー

まず、このカメラの撮影画像を見て、高い解像力と描写力に驚いた。SD1 Merrillは一般的なベイヤー配列のイメージセンサーではなく、独自のFoveon X3ダイレクトイメージセンサーを搭載している。その構造上、一般的なデジタルカメラのセンサーに使用されているローパスフィルターが存在しない。したがって、高い解像力と詳細な描写力は、他のカメラでは得ることのできない大きな魅力である。

また、定評のあるSIGMAレンズもFoveon X3ダイレクトイメージセンサーの魅力を最大限引き出す、しっかりとした作りと描写をしている。何とも魅力的なカメラに仕上がっている。



●新聞紙による解像度の撮影テスト

・ISO 100
 ・WB オート
 ・1/125 F5.6
 ・35mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

スタジオにて新聞見開きの撮影テストを行った。まずはこの解像力に驚かされる。細かい文字のきっちりとした描写力、解像力は素晴らしいの一言である。 17-50mm f2.8 EX DC OS HSMは開放からの描写力も高い。さすがに開放だと周辺部は若干甘いが、絞れば高い描写力を発揮する。

F2.8〜F22までの撮影データ
・F2.8→SDIM0266-f2-8.jpg
・F4.0→SDIM0267-f4.jpg
・F5.6→SDIM0268-f5-6.jpg
・F8.0→SDIM0269-f8.jpg
・F11→SDIM0270-f11.jpg
・F16→SDIM0271-F16.jpg
・F22→SDIM0272-F22.jpg

かなり素晴らしい画像なので筆者所有のMamiya DM22(Leaf AptusII 5)2200万画素と比べてみた。

◀比較用 MamiyaDM22(Leaf AptusII 5)
・ISO 25
・WB Capture Oneにて選択
・1/60 F5.6
・645DF シュナイダーLS80mmf2.8
・ Capture OneにてJPEG 変換
(クリックで拡大)

等倍の切り出し

◀・SD1 Merrill(左)
  Mamiya DM22(Leaf AptusII 5)(右)
◯SD1 Merrill
・ISO 100
・WB オート
・1/125 F5.6
・35mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
○Mamiya DM22 (Leaf AptusII 5)
・ISO 25
・WB Capture Oneにて選択
・1/60 F5.6
・645DF シュナイダーLS80mmf2.8
・ Capture OneにてJPEG 変換
(クリックで拡大)

Mamiya DM22(Leaf AptusII 5)と比べても遜色のない高い解像力と描写力を持ったカメラだと分かる。むしろ Mamiya DM22 (Leaf AptusII 5)の方が、細かい漢字のところに偽色が発生している。


●ぬいぐるみの撮影テスト

・ISO 100
 ・WB 晴れ/色温度5000K(カラーメーター値)
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

ぬいぐるみを撮影。WBは晴れ。アンバーに転んでいる。SD1MerrillのWBはオート、晴れ、曇り、日陰、ストロボ、蛍光灯、白色電球、モノクロ、カスタムがある。色温度で設定する事はできない。

・ISO 100
 ・WB オート/色温度5000K(カラーメーター値)
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


オートWB。オートは若干青いように思えるが、素直な描写をする。

・ISO 100
 ・WB カスタム/色温度5000K(カラーメーター値)
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


WBを白紙を写し込んで設定してカスタムWBを作成してからの撮影。最も良い結果となった。

・ISO 100
 ・WB カスタム/色温度5000K(カラーメーター値)
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


機械製品の描写もその高い解像力と描写でしっかりと表現されている。

上記のテストは、スタジオにて「SIGMA Capture Pro」(Mac版)にて直結撮影している。スタジオでの撮影は、ほぼ直結撮影となるので、ソフトの出来で効率が左右されるのだが、今回使用してみて、ソフトの出来はまだまだのように思われた。

まず、直結撮影しなくても、データの書き込みに待たせられる。さらにパソコンにデータが転送されるまでが遅い。遅くてもよいのだが、転送の状態をプログレスバー等で後どのくらいで転送されてくるかなどの表示が欲しいところである。

連携ソフトが「SIGMA Photo Pro」なのだが、執筆現在、SD1merrillのRAWデータは現像できるが、100%表示などできない。JPEGを同時記録して、JPEGでピントや細部を確認しなくてはならない。また、SIGMA Photo Proも動作が決して速い方ではない。せっかくの素晴らしい描写力のカメラなので、もう少し快適に撮影できるよう、今後に期待したい。



●夜景で高感度性能をチェック

◀・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・4秒  F8
 ・38mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


(クリックで拡大)

高感度性能は、ISO800か1600ぐらいまでが使用できる範囲ではないだろうか。

感度ごとのオリジナル
・ISO-100→SDIM0230-100.jpg
・ISO-200→SDIM0231-200.jpg
・ISO-400→SDIM0233-400.jpg
・ISO-800→SDIM0234-800.jpg
・ISO-1600→SDIM0236-1600.jpg
・ISO-3200→SDIM0237-3200.jpg
・ISO-6400→SDIM0238-6400.jpg


●スタジオでの作例

◀・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

スタジオでの使用等を考えると、是非ともシフトレンズをラインナップに加えてほしい。この高画質をスタジオで快適に使用したい。

・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


高解像度、細部の描写力は目を見張るものがある。

・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/125 F11
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


独自の趣のある描写が魅力的である。立体感、奥行き感の描写も素晴らしい。


●屋外での作例

・ISO 100
 ・WB オート
 ・1/400 F4.0
 ・33mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

細かな木々も良く描写している。しかし、最近の他社カメラと比較すると、背面液晶の視認性は正直見づらい。他社が良すぎるのだが、拡大してのピントチェック等、正直もう少し良くなってもらいたい。

・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/60 F5.6
 ・17mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



・ISO 400
 ・WB オート
 ・1/40 F2.8
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


難しい状況の撮影だが、良く描写している。ISO400で少しノイズがあるが、アナログの粒子のような趣が感じられる

・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/15 F4.5
 ・8mm(8-16mm F4.5-5.6 DC HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

8-16mm F4.5-5.6 DC HSMは35mmフルサイズ換算で12〜24mmの超広角ズーム。しかし歪みも少なく、周辺部も良く描写している。開放でここまで描写する。

・ISO 100
 ・WB オート
 ・1/160 F2.8
 ・105mm(MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSMのボケは素直で美しい。

・ISO 100
 ・WB オート
 ・1/60 F2.8
 ・105mm(MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSMは開放でも綺麗に描写する。

・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/125 F4.0
 ・40mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

通常、ハイライトが飛びにかかるのだが、SIGMA PhotoProで現像時にハイライトを補正している。カーテンのメッシュ部分もしっかり描写されている。

・ISO 100
 ・WB 曇り
 ・1/200 F4.5
 ・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


花の微細な色や質感が良く描写されている。

・ISO 100
・WB オート
・1/100 F3.2
・50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

難しい状況の撮影だが、質感、トーンともしっかり描写されている。フィルムの描写に近いような奥行き感を感じる。

・ISO 100
 ・WB オート
 ・1/800 F2.8
 ・ 50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/160 F2.8
 ・ 50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/160 F2.8
 ・ 50mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



・ISO 400
 ・WB オート
 ・1/15 F2.6
 ・26mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


かなり暗い状況なのだが、手ぶれ補正も有効に効いている。

・ISO 400
 ・WB 晴れ
 ・1/25 F5.6
 ・13mm(8-16mm F4.5-5.6 DC HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



・ISO 400
 ・WB 晴れ
 ・1/1000 F2.8
 ・105mm(MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)


・ISO 100
 ・WB 晴れ
 ・1/320 F11
 ・105mm(MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

びっくりするぐらい細かいところも描写し、豊かなトーンを表現してくれる。

・ISO 400
 ・WB モノクローム+カラー調整2M+6Y
 ・1/200 F5.6
 ・40mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

全体的に、野外で撮影した写真は、フイルムの描写に近いのではないだろうか。それでいて、高解像度である。モノクロで使用するのもよいと思われる。

◀・ISO 100
 ・WB モノクローム+カラー調整2M+4Y
 ・1/1250 F5.6
 ・16mm(8-16mm F4.5-5.6 DC HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)

◀・ISO 100
 ・WB モノクローム
 ・1/125 F11
 ・17mm(17-50mm f2.8 EX DC OS HSM)
 ・RAW撮影(SIGMA PhotoProでJPEG変換)
 (クリックで拡大)



今回、撮影してみて、SD1Merrillの実力は素晴らしいと感じた。Foveon X3ダイレクトイメージセンサーは評判どおり、高解像、高画質の素晴らしい描写を見せてくれた。レンズも素晴らしく、SD1Merrillの力を十分に引き出す素晴らしいレンズだと思う。撮影サイズも4704 x 3136ピクセルで14,751,744ピクセルを持っているので十分だ。

その独自の描写はかつてのフィルムのような奥行き、立体感があり、他のカメラとは違った楽しみと画を与えてくれるカメラである。

しかし、すべてが良いというわけではない。データの書き込みが遅く、書き込み中は操作を受け付けない。液晶は見づらく、
今の他社のデジタルカメラに慣れていると、操作系にも物足りなさが残る。付属のソフトウェアも正直まだまだである。

それでも、SD1Merrillの実力は素晴らしい。仕事のメインで使用というわけにはいかないが、まずはサブカメラとして押さえで使ってみたい1台である。また、動画が撮れるカメラが多くなっているが、静止画、写真に最も重心を置いている点も魅力の1つであろう。

今後、ユーザーの声を反映して、さらなる素晴らしいカメラとレンズに進化することを期待したい。そうなったとき、メインカメラにSDを選択することになるだろう。



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