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第2回 富士フイルム「X10」をテストする。

このコーナーでは、コンパクトデジタルカメラからハイエンドカメラ、撮影用品、各種ソフトウェアまで、仕事や作品制作、趣味を問わず、プロカメラマンが使ってみたくなる話題のツールを毎回取り上げていく。

○富士フイルム X10 基本スペック
・有効画素数 1200万画素
・撮像素子 2/3型 EXR-CMOS 原色フィルター採用
・ISO感度 100~3200(~6400/Mサイズ ~12800/Sサイズ)
・フジノン光学式4倍ズーム35mmフィルム換算:28mm~112mm/F2.0(広角)~F2.8(望遠)
・RAW+JPEG同時記録可能
・その他詳しくは 富士フイルムX10詳細ページ
文:津島隆雄
1971年青森県生まれ。学校写真カメラマン、コマーシャルスタジオのアシスタントを経て1999年よりフリー。 物撮りから人物などさまざまな写真業務全般、画像処理全般を手がける。
http://www.gungho.or.tv/



▲X10の上部にはシンプルにモードダイヤルと露出補正ダイアル、シャッターボタン、ファンクションボタンが並ぶ。ダイアル式は直感的で使いやすい。(クリックで拡大)

光学式ズームレンズもマニュアルで操作する。レンズの胴体に28、35、50、85、112と35ミリ換算の値が書いてあり分かりやすい。この表示はうれしい。なお、レンズのズームを左に回すことでカメラの電源のON/OFFを兼ねている。(クリックで拡大)



○アナログが心地いいカメラ

クラシックカメラやライカを思わせるデザインのX10は、よく作りこまれたカメラである。X10の最大の特徴は、アナログ感覚の操作性と撮影画質をフィルムシミュレーションによって選択できることだろう。

手で回すマニュアル式のズームレンズ、ダイアル式のモードダイアル、露出補正など、操作性はアナログ感覚だからシンプルで使いやすい。
ズームがマニュアル操作のため、ほぼ両手でカメラをホールドすることになる。従って手ぶれも起きにくい。ズームレンズの上には35ミリ換算の値が表記してあるため、瞬時に画角を決定できる。また、ホットシューもあるので、外部ストロボを使用でき、撮影の幅が広がり、さまざまな利用が可能。こうしたちょっとしたことなのだが、写真を撮ると言うこと、カメラとはこういうものだというこだわりをX10から十分に感じる。

またフィルムを知っている私にとって、X10の持つ「フィルムシミュレーション」機能はうれしい。これは撮影画質をフジフイルムのフイルム名で表している機能だが、プロビア、ベルビア、アスティア、この3種類のフィルムで示されれば、画像がどのようになるかは想像できる。くっきりとかビビットとかすっきりとか言われるより、このフィルム名で事足りる人も少なくないだろう。

さらにモノクロ撮影もセピアを含めて5パターン持っている。モノクロ、Yeフィルター、Rフィルター、Gフィルター、セピア。これもモノクロのフィルムを経験した私には、画像の想像は容易である。すぐに自分の撮りたい絵を選択できる。


●新聞紙による画質チェック
X10はホットシューが用意され、マニュアルモードがあるのでスタジオで外部ストロボで撮影した。


◀・85mm相当
・ISO100
・1/125 f5.6
・WB/色温度4800k
・フィルムシュミレーション/プロビア
・ダイナミックレンジ100%
・外部ストロボ使用(クリックで拡大)

◀コンパクトデジタルにしては、良好な画質である。開放から画質もよくf4~f5.6辺りが一番良さそうである。f8~f11は画像が甘くなる。(クリックで拡大)


◀f5.6での中心部と周辺。非常に良く描写している。
(クリックで拡大)



●物撮りによるさまざまな画質チェック

◀・85mm相当
・ISO100
・1/125 f7.1
・WB:色温度4800K
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
・外部ストロボ使用
(クリックで拡大)


細かな毛の描写、質感描写も良く描写している。


◀・85mm相当
・ISO100
・1/125 f7.1
・WB:オート
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
・外部ストロボ使用
(クリックで拡大)



「WBオート」では黄色が強いようだ。この時の色温度は4800K


◀・85mm相当
・ISO100
・1/5 f7.1
・WB:電球
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



「WB電球」。この時の色温度は2500K。当然アンバーの色が残る。


◀85mm相当
・ISO100
・1/6 f7.1
・WB:2550K
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



このクラスの機種には珍しく、色温度によるWBの選択が2500Kから10000Kまで可能。細かく100K単位ではないが選択できるのはありがたい。


◀・85mm相当
・ISO100
・1/5  f7.1
・WB:プリセットマニュアル
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



プリセットは、前回作ったプリセットか新規に作成する。カード内部のデータから呼び出して設定することはできない。プリセットは常に新規に作成する。


○金属を撮る

◀・85mm相当
・ISO100
・1/155  f7.1
・WB:4800k
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
・外部ストロボ使用
(クリックで拡大)



白とびもシャドー潰れもなく、全体的にバランスの良い描写をしている。質感描写も十分。

○ISO感度の比較

◀ISO100~1600までは十分に使用できる。ISO3200でも大きくならないなら大丈夫だろう。ISO6400で画像サイズはMサイズ(約500万画素)、ISO12400でSサイズ(270万画素)になり、RAWは使用できなくなる。(クリックで拡大)



ISO感度もこのクラスでは珍しく細かく設定できる。ISO100の次は200だが、200からは1/3刻みでISO3200まで選択できる。また、感度オートは400、800、1600、3200までの4種類。

○ボケと被写界深度

◀・85mm相当
・ISO100
・WB:2550k
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)


◀素直で綺麗なボケをしている。深度はf11まで絞れば十分だが、画質は低下する。(クリックで拡大)


絞ることによる画質の低下の問題は、デジタルになってもついて回る。むしろ顕著に現れる問題かもしれない。


○ダイナミックレンジ

◀・85mm相当
・ISO100
・WB:プリセットマニュアル
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



◀ダイナミックレンジ100%に比べると200%、400%は白とびが押さえられているのが分かる。しかし200%の場合はISO200から、400%はISO400からしか使えない。
(クリックで拡大)


ダイナミックレンジを拡張することで画像は若干眠くなるが、撮影時にダイナミックレンジとフィルムシュミレーションをさまざまに組み合わせて撮影するのもまた、X10の楽しみかもしれない。

○フィルムシュミレーション

◀プロビア
(クリックで拡大)


◀ベルビア
(クリックで拡大)


◀アスティア
(クリックで拡大)


◀モノクロ
(クリックで拡大)


◀モノクロ Yeフィルター
(クリックで拡大)


◀モノクロ Rフィルター
(クリックで拡大)


◀モノクロ Gフィルター
(クリックで拡大)


◀セピア
(クリックで拡大)



ポジ3種類だけでなく、ネガカラー(NSやリアラ等)やモノクロも、フィルターだけでなく、モノクロのフィルムシュミレーション(NEOPAN ACROS、PRESTO)があっても楽しいかもしれない。


◀・50mm相当
・ISO100
・1/125 f7.1
・WB:カスタム
・フィルムシュミレーション:プロビア
・ダイナミックレンジ:100%
・外部ストロボ使用
(クリックで拡大)



コンパクトデジタルカメラとは思えない画質。このクラスでもしっかりとした作りで仕事でも十分使用できそうだ。メーカー自らコンパクト性を重視することでカメラの可能性を狭めている機種が多い中、X10はプロのニーズも意識したコンパクトカメラといえるだろう。


○X10によるさまざまな作例

◀・ISO 800
・1/600 f4
・フィルムシュミレーション:プロビア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



ダイナミックレンジ400%でシャドーが潰れず、柔らかなトーンで撮影できる。

◀・ISO 400
・1/60 f8
・フィルムシュミレーション:アスティア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



フィルムシミュレーションはアスティアを使用。ダイナミックレンジ400%でカーテンが白とびするのを押さえて撮影。シャドーも潰れることなく、落ち着いた雰囲気の写真を撮ることができた。フィルムシュミレーションで撮影前にある程度予測できるのは、フィルムのそのフィルムの特性を知っているからこそである。


◀・ISO 400
・1/42 f2.8
・フィルムシュミレーション:アスティア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



画面アスペクト比1:1で撮影。他に4:3、2:3、16:9が選択できる。ハッセルブラッドやローライフレックス等の6×6の世界を彷彿させる撮影ができるのは嬉しい。ボケ味は素直で柔らかく美しい。


◀・ISO 800
・1/30 f2.5
・フィルムシュミレーション:ベルビア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



このシーンでのISO800以上でベルビアのフィルムシュミレーションのトーンは、何となくレトロな感じがする。こういう絵が撮れるのは嬉しい。


◀・ISO 800
・1/5 f2.8
・フィルムシュミレーション:ベルビア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



手ぶれ補正の利き方も良好。

◀・ISO 100
・1/600 f2.8
・フィルムシュミレーション:プロビア
・WB:4800K
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



◀・ISO 100
・1/80 f2.8
・フィルムシュミレーション:プロビア
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



細かな毛の表現も十分。


◀・ISO 400
・1/58 f8
・フィルムシュミレーション:モノクロ Gフィルター
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



ダイナミックレンジを400%にすることによって、全体的に柔らかくやさしいトーンが得られる。

◀・ISO 400
・1/480 f3.6
・フィルムシュミレーション:モノクロ
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:100%
(クリックで拡大)



RAW処理のソフトは今回は未検証。アドビもアップル、DxOでも処理できず。よって今回はJPEGをアドビCameraRawでちょっと処理した。アドビやアップル、DxOで処理できるようになってもらいたい。2011年12月13日、Adobe CameraRaw、Lightroomで対応。


◀・ISO 400
・1/500 f5
・フィルムシュミレーション:モノクロ
・WB:オート
・ダイナミックレンジ:400%
(クリックで拡大)



せっかくのフィルムシュミレーションのモノクロなのでさらにDxOとFilmPackを使用してJPEGを処理。FilmPackではilford Delta400を使用。


○X10の動画機能の作例

◀ Quick Timeムービー(約75Mバイト)。再生にはハイスペックなPC推奨。
(クリックでスタート)

HD動画撮影機能はすでに今のコンパクトデジタルカメラにはデフォルトの機能となった感がある。X10の動画は1920×1080のフルHD。動画を多く撮影するとバッテリーが早く消耗する。動画を多く撮影する場合は予備のバッテリーがあったほうがいいだろう。




今回X10を使用してみて再確認したのは、写真を撮ると言うこと、カメラを使うということである。

通常のコンパクトデジタルカメラは自ずと使い方が適当になりがちだが、X10では両手でカメラを持ち、画角を決める。そして慣れ親しんだ35mm換算のレンズ表示は、瞬時に広角で行こうか? それとも望遠か? またはやっぱり標準だな、などと考える楽しみを与えてくれる。

トーンはどういこうか? ここはアスティアが似合うかな? ベルビアで派手にいこうか? いやいやモノクロでYeフィルターかな、などさまざまなことを考える。ワクワクしながらシャッターを切る。液晶に写った写真を見て思ったとおりの写真が撮れていると感動する。

写真を始めた頃の気持ち、ドキドキしながら現像所でポジをチェックした時の気持ち、ワクワクしながら暗室でプリントした記憶などをこのカメラは思い出させ、改めて考えさせてくれる。X10とはそんなカメラである。

今後参入が予定されているミラーレス一眼もこのような雰囲気を持ったカメラに仕上げてもらいたい。願わくば、センサーの大きさを確保して、是非とも仕事で使えるカメラにしてもらいたい。



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