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第1回 ミラーレス一眼 「ニコン1 V1」

このコーナーでは、コンパクトデジタルカメラからハイエンドカメラ、撮影用品、各種ソフトウェアまで、仕事や作品制作、趣味を問わず、プロカメラマンが使ってみたくなる話題のツールを毎回取り上げていく。

○ニコン 1 V1 基本スペック
・有効画素数 10.1メガピクセル
・撮像素子 13.2x8.8mm COMSセンサー
・ISO感度 100~3200(Hi1/6400相当)
・0.47型TFT液晶ファインダー(144万ドット)
・RAW(12ビット)+JPEG/同時記録可能
・内蔵フラッシュ無し
・ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)
・ホワイトバランス オート、電球、蛍光灯、晴天、フラッシュ、曇天、晴天日陰、プリセットマニュアル
・HD動画 1920x1080(60i)、1980x1080(30p)、1280x720(60p)
・その他詳しくは ニコンV1製品ページ

文:津島隆雄
1971年青森県生まれ。学校写真カメラマン、コマーシャルスタジオのアシスタントを経て1999年よりフリー。 物撮りから人物などさまざまな写真業務全般、画像処理全般を手がける。



○V1のインプレッション

ニコン1 V1のボディは、大きめのコンパクトデジタルカメラや平均的なミラーレス一眼と同じぐらいのサイズだ。重さもほぼ同じ。質感は落ちついたスチール仕上げで高級感がある。デザインは人それぞれの好みにもよるが、手に取ってみると、なるほどニコンらしいしっかりとした作りを感じられる。

AFは速く、背面の液晶ディスプレイは視認性がよく気持ちいい。シャッター音は電子的で、もう少しメカニック感が欲しい気がする。普段はキヤノンユーザーの筆者だが、操作系は分かりやすく、迷うことなくすんなり使用できる。

V1の特徴である電子ファインダーは、若干派手な色味だが、視認性がよい。のぞこうとするとセンサーが働き、自動的に液晶ディスプレイから電子ファインダーに切り替わる。いちいちボタンで切り替える必要がなく便利だが、センサーに手が触れたり、何かで隠したりすると、ファインダーに切り替わるため、たまに煩わしく なることもある。また、固定式なので、ウエストレベルや、ローアングルといったときにファインダーの自由度がないのは残念。しかしファインダーがあるとホールディングが良くなり、手ブレが少なくなるので通常は液晶ディスプレイで撮影し、暗い場所などではファインダーを使用できるのはありがたい。

同時発表のJ1はファインダーがなく、フラッシュ内蔵。V1は専用端子で専用フラッシュが用意されてい るものの、ファインダーのためにフラッシュが内蔵できなかったのかもしれないが、 フラッシュが外付けなのは中途半端な気がする。この専用端子には動画用のマイクが用意されているため、動画 ユーザーを意識して設計されているのだろう。

○新サイズのCMOSセンサーを搭載

◀V1のセンサーは一般コンパクトよりも大きいが、先行するマイクロフォーサーズやAPS-Cと比較すると小さい。撮影画角はレンズ焦点距離の2.7倍に相当する。35ミリ換算の50ミリ(いわゆる標準レンズ)は、V1では18ミリになる。この計算が意外とめんどくさい。


●新聞紙による画質チェック
センサーが小さいので気になるのは画質。今回は専用の「NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6」でテストしてみた。テストは普通の新聞紙の見開きを、30mm(35ミリ換算80mm相当)で撮影した。


◀・ホワイトバランス(以下WB)オートで撮影(スタジオは蛍光灯)。
・ISO 100
・ピントはセンターでAF
・マニュアルモード露出補正なし
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定)(クリックで拡大)


○30mm(80mm相当)による絞りによる画質変化(新聞紙センター部分)
カメラは絞ると解像度が低下する。V1も同じように絞ると画質が低下する。f5.6、f8辺りが良く、f11から 画質の低下が見られる。絞って使うのはあまり良くない(よっぽどのことがない限りこのカメラで絞ることはな いと思うが)。しかし、デジタルカメラ全体の問題で、一眼レフ等、仕事で撮影しているとどうしても絞らざるを得ない時があり、悩ましい問題でもある。10mm(27mm相当)、18mm(50mm相当)でも似たような結果で、開放から1絞り絞ったぐらいで良好な画像が得られる。


◀Photoshop等による画像処理なし(等倍切り出し。画像保存は画質最高/低圧縮)(クリックで拡大)



○f8での周辺部の画質
中央と比較すると四隅は甘いが、良く描写していると思われる。

◀(クリックで拡大)



●物撮りによるさまざまなチェック

次にV1でモノの撮影を行った。撮影はよくある物撮りセット。白デコラに天トレトップライト。左トレペ越しライト。右は白おこしセッ ト。V1はシンクロ端子がないのでモデリングライト(150Wハロゲン)で撮影した。はじめにぬいぐるみを撮る。

◀30mm(80mm相当)
・f8.0
・ISO 100
・WB オート
・AFは鼻の近辺
・マニュアルモード
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定) (クリックで拡大)


実際のモノの撮影はかなり良い画質だと思われる。ぬいぐるみの毛の解像感も、質感描写も十分に表現できている。これなら編集者やデザイナーによるちょっとした撮影やカンプ、ラフは十分だ。Web利用だけならこれでもいい かもしれないと思える画質である。しかし作例を見ると、WBがオートでモデリングライトは電球より色温度が低いためか 色かぶりがある。

○WBを電球にして撮影

◀・30mm(80mm相当)
・f8.0
・ISO 100
・WB 電球
・AFは鼻の近辺
・マニュアルモード
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定) (クリックで拡大)



そこでWBを電球に変えて撮影したが、ほぼ変わらず、むしろ色かぶりは電球の方が残っている感じがする。WBはオートの方がよさそうだ。

実際こV1でこのような撮影をすることはほぼないと思うが、レストラン、ホテル、イベント会場などの電球環境で、スナップやブログ用、メモ撮りした場合、今回ぐらい色温度が低い場合は色かぶりが残ってしまうかもしれない(完全に取るとそれはまた、味気なかったり、雰囲気がなかったりすることもあるが)。

○白紙を使用してプリセットマニュアルで撮影

◀・30mm(80mm相当)
・ISO 100
・f8.0
・AFは鼻の近辺
・WB プリセットマニュアル
・マニュアルモード
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定)(クリックで拡大)



白紙を使用してのプリセットマニュアルにしてみたら、良い結果になった。プリセットマニュアルは何パ ターンか記憶することはできないようだ。ライトが変わったり、出力が変わったりしたらその都度、設定が必要である。

○金属を撮る

◀・30mm(80mm相当)
・ISO 100
・f8.0
・AFは二眼レフ撮影レンズ近辺
・WB プリセットマニュアル
・マニュアルモード
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定) (クリックで拡大)



次に金属の写り具合を見るためカメラを撮影した。若干カメラの露出では暗いが、金属質の表現と画質もWeb利用やちょっとした撮影なら十分ではないだろうか。黒つぶれも白とびもなく、バランスの良い画像だ。


○感度による画質変化

◀センサーが小さいのでかなり厳しいかと思われたが、ISO100から1600までは十分な画質だと思われる。(クリックで拡大)



デジタルカメラの時代になって、暗い場所で簡単に撮影ができるようになったのはすごいことだと思う。フィルム時代は増感したり(限度がある)、ストロボを焚いたり(雰囲気が変わってしまう)と大変だったのだが、V1は高感度が良く、表現の幅が広がるだろう。


○ボケと深度

◀・18mm(50mm相当)
・ISO 100
・f5.6
・AFは500円玉近辺
・WB プリセットマニュアル
・マニュアルモード
・JPEG/3872x2592pxel/FINE/カメラ設定はデフォルト(初めて電源を入れたままの設定) (クリックで拡大)



◀(クリックで拡大)



作例を見ると、絞ることにより、ピントが奥まで合っていくのが分かる。f16で40cm近辺までピントが合っている。こ れをフルサイズや中判でやろうとするとなかなかできずに苦労する。仕事では最近はピントをずらして数枚撮影し合成している。絞ると画質の低下があるが、Webなどの利用では問題ないレベル。ボケは素直で綺麗な感じがする。

実際の仕事の撮影でこのカメラを使用することはないと思うが、また、使用しようとしても、シンクロ端子を持たないためストロボとの組み合わせが行えないが、画像の使用目的がWebやラフ、カンプなどであれば仕事でも十分実用に耐える。以下の写真はモデリングライトで撮影している

◀30mm(80mm相当)
・f5.6
・ISO 100
・WBプリセットマニュアル
・モデリングライト4灯
(クリックで拡大)




○さまざまな作例

◀・ISO 200
・WB オート
・NIKKOR 10mm f2.8(27mm相当)
・1/80 f2.8
(クリックで拡大)



お散歩カメラとして持ち歩き、さまざまな被写体を撮ってみた。まず室内。柔らかな描写とバランスの良いオートWBで雰囲気がよく出ている。


◀ISO 100
・WB オート
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(17.5mm/47mm相当)
・1/60 f4.5
(クリックで拡大)



素直で柔らかいボケが美しい。


◀・ISO 400
・WB オート
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(30mm/80mm相当)
・1/40 f5.6
(クリックで拡大)



表現が難しいシーンだが、ハイライト、シャドーとバランスよく表現できている。すべてオートの設定でここまで撮影ができる。


◀ISO 400
・WB オート
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(30mm/80mm相当)
・1/50 f5.6
(クリックで拡大)



繊細な描写で美しく表現出来ている。すべてオートの設定でここまで撮影ができる。


◀ISO 100
・WB オート
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(30mm/80mm相当)
・1/500 f5.6
(クリックで拡大)



外での撮影も、色のりがよく花びらの描写も綺麗に描写している。


◀ISO 800
・WB 電球
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(10mm/27mm相当)
・1/20 f3.5
(クリックで拡大)



暗い場所での描写も十分。


◀・ISO 3200
・WB オート
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(30mm/80mm相当)
・1/13 f5.6
(クリックで拡大)



実際は相当暗い場所。ISO3200なので、画像は崩れているが十分。むしろ良く撮れている。


◀・ISO 1000
・WB オート
・ NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(10mm/27mm相当)
・ 1/15 f3.5
(クリックで拡大)




◀・ISO 800
・WB 電球
・NIKKOR VR 10-30mmf3.5-5.6(10mm/27mm相当)
・1/15 f3.5
(クリックで拡大)



暗い場所でここまで撮影出来るのはすばらしい。


○V1の動画機能の作例

◀HD動画 1920x1080 60i (MOVファイル/約82Mバイト)
Quick Timeムービー。再生にはハイスペックなPC推奨。
(クリックでスタート)

◀ハイスピード動画 640 × 240 (MOVファイル/約13Mバイト)
(クリックでスタート)

◀ハイスピード動画 640 × 240 (MOVファイル/約15Mバイト)
(クリックでスタート)



今回テストをしてみて、このカメラはバランスが良く、しっかり作られたカメラであることを実感した。1インチセンサーの画質は綺麗で、Web前提の撮影では十分。感度も100~1600ぐらいまでなら十分使えそうで、いままで撮れなかった暗い場所などでの撮影も可能。いっそう表現に幅が出てきそうである。

トーンはハイライトからシャドーまで綺麗に再現できている。本体は1眼レフに比べると小さくて軽いので、持ち歩きにもさほど苦にはならないだろう。ほとんどオートでバランスが良い撮影が行え、さらに一歩突っ込んだ撮影も可能だ。だからこそ思うのだが、ホットシューが専用端子でシンクロ端子を持たないことにより、せっかく良くできたミラーレス一眼カメラなのに、コンパクトデジタルのような使用に限定されるのは、もったいない印象を持った。


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