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自動画質向上RAW現像ソフトウェア


DxO Optics Pro 6

DxO Optics Proは、カメラおよびレンズの豊富な分析データに基づき高精度の画質補正を行うソフトウェアだ。光学的な歪み(ディストーション)、色収差、レンズブラー、ノイズ低減、ハイライト補正、ホワイトバランス補正、ライティング補正、色調補正、水平垂直補正など、多岐にわたる補正が簡単に行える。大量の画像補正のバッチ処理も可能。


価格(MacおよびWindows版):
エリート版: 33,600円(税込)
スタンダード版:16,800円(税込)

DxO Labs
http://www.dxo.com/jp/photo/dxo_optics_pro

日本国内販売代理店 株式会社ソフトウェア・トゥー
http://www.swtoo.com/

文:坂本憲和
1966年生まれ。25歳になって突然カメラマンを目指す。アシスタントとしての働き口を探すがどこも雇ってくれず意地になって苦学する。その後、アプリエ・フォトワークスを設立。現在も商業カメラマンとして懸命に働く。


「DxO Optics Pro」エリート版のパッケージ。DxOには銀塩フィルムの色と粒状感をシミュレートするソフトウェア「DxO FilmPack v2」もある(税込12,980円)。コダクローム、Velviaなど50種類を超えるフィルムの色と粒状感を解析し、デジタルカメラの撮影データにフィルムの味わいを再現する。

■ジオメトリ補正が魅力のソフト

「DxO Optics Pro」(以下、DxO)を買うか買うまいか長い間迷っていて、結局うちの仕事場に導入したのは2010年になってからだった。購入するまでは体験版を試用していた。約150MBの体験版のダウンロードには何度か失敗したが、それもこれもこの奇妙な絵に魅入られると、どうでもいいことになってしまう。それほど、DxOが出力する絵は風変わりで、Lightroomの絵に慣れた目には新鮮だ。

まずは全体の色調。プロジェクトに読み込んだ画像を初めて見ると「あれ?」と思わされる。コントラストもサーチュレーションも高く、なんだかガキガキの絵が表示される。色調が抑え気味のキヤノンのEOS-1DシリーズのRAWファイルもはじめから華やかだ。ペンタックスのK20Dだと危険なぐらい派手になり、ハラハラする。

プレビューされている画像にポインタを持っていき、ワンクリックするとプリセット補正がかかる前のオリジナル画像が表示され、ディストーションの補正具合が確認できる。ディストーションが気になって眠れないタイプのカメラマンは、このあたりでDxOの信者になるはずだが、本当の魅力はさらにその奥にある。

画像のさまざまな歪みを補正する「ジオメトリ補正」によって、上下方向、左右、回転、さらには縦横比まで触ることができる。Lightroom 3になってこれと似たことができるようにはなったものの、最後に挙げた縦横比を補正するパラメータは未だ実装されていない。上下左右のアオリを使った時に多少でも縦横の比を補正すれば記憶にあるパースペクティブに近づけられる。そしてなぜかこのジオメトリ補正の操作だけは動きが速い(その他は遅い)。とまあ、ざっとこのような感じのソフトだ。

とにかくDxOは、長所、短所がはっきりしているので、どんな仕事にでも便利に使えるというわけではない。なので、長所と短所に分けてもう少し説明しよう。




▲DxOのインターフェイス。ヘルプを見なくても主な基本操作は可能だ(クリックで拡大)



▲DxOの特徴となっているジオメトリ補正。ディストーションやキーストーンを修正することができる(クリックで拡大)


■レスポンスと現像時間は重ため

私の場合、先に知りたいのはメリットよりデメリットなので、先に短所から紹介していく。一番最初に書くべきは動作が鈍いということだろう。Windows環境だともう少し速いのかも知れないが、うちのMac環境(Core2 Quad 2.33GHz、8GBメモリ)ではすこぶる遅い。キヤノンのEOS 5DやEOS-1D型機のファイルでもプロジェクト画面から設定画面に移って最初の画面が表示されるまでに5~10秒ほどかかる。

ちなみに、この記事を書くにあたって友人所有のMacPro(Quad 2.8GHz×2、14GBメモリ)で試したところ、キヤノンのEOS-1D Mark IIのファイルで、表示に5~6秒、現像に約1分という結果が出た。このあたりでせっかちな人は待てないと思うが、さらにそこから画像を拡大するとまた同じぐらいかかる。しかもシャープネスを確認するには75%以上に拡大しないと設定が反映されないので仕方なく拡大するのだが、ワンクリックで100%表示にするなどの機能はない。とにかく重い動作のためにセレクト作業をするのには大変苦労する。もう少し正直に言うと無理だと思う。

次に現像時間の問題。これは、どのRAWファイルでも1分はかかる。しかし、不思議なのは複数ファイルを同時に処理するとちょっと速くなるというところで、まとめ買いすると安くなるディスカウントストアみたいなものだろうか。というわけで「特急で納品、お願いね」みたいな仕事には向かない。もし、特急の仕事をこのソフトで行おうと思うならば睡眠時間がなくなってしまう。なので、さまざまな調整ができるようになっているが明るさやコントラスト、色の調整は別のソフトで行う方が早い。

さらにプレビューが粗いので、最後まで絵を追い込むのは難しいだろうと思う。各スライダーの動きもフィーリングがつかみにくい。大きく動くかと思いきや、全然変わらなかったりとまちまちで、それを覚えるよりは慣れたソフトを使う方が安心できる。私の場合はLightroomで行っている。そのLightroomとの連携が売りの1つになってるが、Lightroomのバージョン3との連携はできなくなっている。ベンダーに確認したところ、リリースされたばかりの6.5からそれもできるようになるらしい。

その他、細かいバグがあるが作業には関係ないのでここでは差し控える。と、こう書くと「なんじゃ、そりゃ」というふうになるかもしれないが、長所も多数ある。

■魅力的な絵と強力なディストーション補正

長所ははじめに紹介した通り、出力された絵は独特で他では見たことがないということだ。フィルムに近いという人もいるが私の目にはそれともまた違うように感じる。シャープやフリンジを確認するために100%表示するとよく分かるが、エッジの処理が普通とはずいぶん違う。見る人によっていろいろな感想があるとは思うが、一定のところでトーンを捨てて線表現にシフトしているような不思議な絵だ。

インクジェットプリンタなどでプリントしてみるとさらに良さが分かる。魅力的だ。そして、自動の「ヴィネット/ディストーション補正」はDxOで対応しているレンズのみではあるが、とても美しい補正を簡単に実現する。例えば「シグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM」などはもともとディストーションが少ないが、このソフトを使うことによってさらに真っ直ぐな絵になる。空間撮影には代替えのレンズが思いつかないほどだ。

またキヤノンの「EF 24-105mm F4L IS USM」はヴィネット/ディストーションの激しいレンズだが、DxOにしてから安心して使えるようになった。ペンタックスのキットレンズである「DA18-55mmF3.5-5.6AL」はI型、II型ともに対応していて、キットレンズとは思えない素晴らしい写真が得られる。またレンズブラー補正や倍率色収差補正もよく効いていて、広角側の焦点域でよく起こる周辺の色収差や流れが軽減されている。ちょっとした魔法のようだ。ペンタックスのレンズの場合、今後「16-45mm」や「DA17-70mmF4AL[IF]SDM」などにも対応するらしく、とても楽しみにしている。

現像処理の面でも良いことがある。それはさまざまな設定を反映させたままDNGファイルに書き出すことができるということで、今まではTIFFやPSDに出力してその後Photoshopなどで加工していた。それがLightroomとの連携で一応RAWの状態でできるようになっている(もちろんパスを引いたりレイヤーで重ねたりはPhotoshopの仕事だが)。TIFF、PSDとDNGがどれぐらい違うのかは詳しく検証してみないといけないが、汎用RAWフォーマットと言うぐらいだから、その後編集を加えても劣化の具合が違うはずだ。余談だが、Capture OneでもDNG出力はできるが、CaptureOneで編集した設定は反映されないことになっている。

■現像処理の一部分にDxOを使う

長所短所について思いつくまま紹介してきたが、書いていて気付いたことがある。ようするにこのソフトは、フィルタやプラグインのように使うと便利だが、管理やセレクト作業には向いていないということだ。

そういえば自分でもそのように使っている。恥ずかしながら私のワークフローを紹介すると、キヤノンで撮影の場合、まずDigital Photo Professional(DPP)のクイック・チェックツールでさくっとセレクトして、その選んだファイルを選択し、別のフォルダに移動させる。そのフォルダをDxOで読み込んで、とりあえず設定画面である程度補正して(ジオメトリ以外はあまりいじらない)DNGファイルとしてまた別フォルダに書き出す。今度はそれをLightroomに読み込んで、色の調整や明るさの調整をする。そして最後にそこから汎用ファイルに書き出す。なんとも、もったいぶったやり方で仕事仲間からは冷たい目で見られることもあるが、このやり方じゃないと仕上がらない不思議な絵があると信じている。

ざっと、こんなところだと思うが、実際には使ってみないと分からないことも多いはずなので、興味のある方にはまず体験版の試用をお勧めする。また、バージョン6からはレンズ補正データが入っていない写真ファイルにアクセスした場合、自動でサーバから落とす仕様に変更されているので便利になった。




▲ディストーションが分かりやすいように建物を撮影した。カメラはキヤノンのEOS 5D Mark II。レンズはEF 24-105mm F4。感度ISO400で収差が出やすいように開放で撮影した画像(うちの事務所の向かいのビル)。(クリックで拡大)



▲補正データで自動補正している。アンシャープなどのシャープニングはしていない(クリックで拡大)





▲補正前後を比べてみるとヴィネットと色収差、画像の流れが改善されている。照明器具のハイライト周りに出ているフリンジは綺麗に取り除かれている。電線のエッジはぼやけた感じがなくなりすっきりと見える(クリックで拡大)



▲拡大率が違って見えるのはディストーション補正の際に切り抜かれているため。作例は同じ画像の全画面。ディストーションの補正は強力。ヴィネットは適度に効いている(クリックで拡大)


■ほぼ自動でやってくれる手放せないソフト

「レンズの味」とか言って妙なことにこだわるよりは、全部すっきりさせて晴れ晴れと真っ直ぐくっきりな写真のを撮る方が性に合ってるので、どうしてもこのソフトは手放せなくなっている。後もう少し描画が速くなってほしいとか、プロジェクトの管理などを行いやすくしてほしいなど、いろいろ要望はあるものの、これだけ盛りだくさんの補正をほぼ自動でやってくれることにはとても感謝している。しかもカメラメーカーが製造中止したレンズの補正データを今更出してくるのも企業の姿勢として格好いい。もう2つぐらいバージョンが進み、さらに使いやすくなってユーザーが増えればいいなと、仕事の現場からこっそり期待している。



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