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デジタルカメラバック



Aptus II 10R




価格:4,400,000円
Phase One(以下フェーズワン)
http://www.phaseone-japan.co.jp/
日本総代理店:DNPフォトルシオ


文:大和田良
1978年、仙台市生まれ。東京工芸大学大学院メディアアート専攻修了。2005年スイスエリゼ美術館による「reGeneration 50 photographersof tomorrow」に選出され以降国内外で作品を多数発表。2007年 に写真集『prism』(青幻舎)を刊行。2010年、 7月18日にはフォトエッセイ『ノーツ・オン・フォトグラフィ』を刊行予定。



■僕がリーフのAptusを選ぶまで

リーフのAptus II 10Rの話に入る前に、僕が使っているカメラのボディとレンズの紹介からしよう。

ボディとレンズは、ハッセルブラッド500C/MとDistagon CF 60mm F3.5。僕がカメラに高揚感を感じるのは、4×5などの大判カメラやペンタックス67、ハッセルブラッドなどで、その中でもハッセルブラッドは最も高く感じる。カメラとしてのハッセルの魅力は大きく、ウエストレベルファインダーで撮っている感じが一番しっくりくる。

ハッセルブラッドは写されるモデル側も「なんか、すごいカメラそう」というふうに感じてくれる場合が多い。それは結構重要で、使い捨てカメラのようなもので撮られている感覚と一眼レフカメラの感覚、ハッセルブラッドで撮られている感覚では、撮られる側としても違うはずだ。

そんなハッセルブラッドをさらに活かすために、迷いに迷って2007年12月にリーフの2,200万画素のデジタルカメラバック「Aptus 22」を購入した。このAptus 22を選ぶにあたっては、購入前にさまざまなメーカーのカメラバックを借りて実際に試写してみた。

フェーズワンは、シャープすぎる感じがした。シャープネスをかけない処理をしてもシャープがかかっているように見える。デジタルカメラはシャープさが特徴なので、それはそれでいいのだが、僕はフィルムっぽい写りを求めたかった。そんな感覚に近い、自然なシャープネスを実現して一番素直でナチュラルな感じだったのがリーフだった。

おそらく、20代前半の若いカメラマンで一度もフィルムに触ったことのない人がプロになったときには、たぶんフェーズワンのほうが自然な写真に見えると言われるようになっていると思う。しかし、僕はリーフのほうが自然な写真に見える。別の表現をするならば、リーフは「ネガで撮る」、フェーズワンは「ポジで撮る」という感覚に近い感じだろう。また、実際にハッセルブラッド500C/Mとリーフを組み合わせて使うと、レンズがデジタル用になっていないために、どんなに当時「いい」と言われていたレンズでさえも周辺は流れてしまう。しかも、マニュアルフォーカスなので、絞り開放でピントを合わせる自信はゼロ。F5.6で50%ぐらい。F8で80%ぐらいの確率で合わせられるという感じだ。

そういうところも含めて僕は「よし」とするところがある。そこがアナログとデジタルのいい中間点のような妥協点。むしろ、その甘さが気に入っているのだ。

■優れた回転機構

Aptus 22を使っている僕がAptus II 10Rを使用してみて、最もいいと思ったところはセンサーの回転機構だ。

作品撮りだと圧倒的に横位置が多いが、仕事だと雑誌の判型が縦型なので縦位置のほうが多く、横位置はわずかだ。最近、雑誌の見開き撮影を行ったときの話だが、それは縦と横を使い分けて撮影をしなければならなかった。ウエストレベルファインダーを使ったハッセルブラッド500C/MとCCDは、長方形のAptusシリーズで縦位置、横位置を変更するには、カメラバックを一度外して回転させて再度セットする。しかし、この作業は手間がかかるし、外した際にIRフィルターの前面にホコリが付着する可能性もでてくる。なによりも、カメラバックを落下させてしまう不安がある。

しかし、Aptus II 10Rならば、マウントアダプタ付近にあるダイアルを90°回転させることによって、デジタルバックをカメラボディから取り外すことなく構図を変えることができる。外すことによる事故の不安から解放されるし、縦と横の切り換え操作が楽だ。これは画期的に優れた機能だ。

CCDの縦横の比率については、ほとんどのデジタルカメラバックは4:3だが、Aptus II 10RのCCDの縦横の比率は3:2より若干横長。この縦横比には2つの意味があり、作品撮りだと好感が持てるが、仕事だと多少の煩わしさが残る。

雑誌の仕事が前提ならば、どうしてもトリミングをしなければいけないし、縦位置だと使いにくさがある。Leaf Capture 11には連結撮影時にAptus II 10とAptus II 10R専用の機能として、Full size (6,000×9,334ピクセル)、3×4 (6,000× 8,000ピクセル)、1×1 (6,000×6,000ピクセル)など画角にRAWファイルをクリッピングしてキャプチャする機能が搭載されているが、僕の場合はCFに記録して使うことが中心なので、この機能を使うことができない。仕事だとある程度の割り切りが必要だろう。
しかし、作品撮りとして使うならば、この画角は現代的に見えるし、構図としても美しいと思った。ライカ判以上に細長いプロポーションは、僕にとっては使いやすい画角だと思う。

5,600万画素という解像度については、仕事で使うならば2,200万画素で十分だと思っている。2,200万画素であればかなりの大きさまで印刷できる。それ以上の解像度が必要になったことはないといっていいほどだ。まれに一番解像力のいい部分だけをトリミングをして使いたいという場合があり、そういうときには4,000万画素などの解像度があれば便利かなと思う。

一方、作品撮りであれば、5,600万画素ほどもあるのは嬉しい。小さい画素数を大きくするのは難しいが、大きい画素数を小さくすることはできる。その意味で、画素数が大きいというのは何かと対応できて便利だ。

ただし、今回の試用で60枚ぐらい撮影して、全部16ビットのTIFFで現像をすると20GBぐらいのファイル容量になった。これは、ハンドリングが大変だ。僕は前からRAWでも撮影画素数が選択できる機能があると便利だと思っているので、リーフにもセンサーサイズはそのままで解像度だけを落とせるフェーズワンの「Sensor+」みたいな機能が採用されればいいのにと思っている。

画質に関しては、RGBのチャンネルごとで見ると階調表現がよくなっているのが分かる。僕が持っているAptus 22は、「R」チャンネルと「G」チャンネルはすごく優れた再現力を持っているが、「B」チャンネルだけ階調の幅も狭くてすごくノイジーな感じがしていた。それが、Aptus II 10Rだと「B」チャンネルのヒストグラムからして、改善されていることが分かった。




▲機種 : ハッセルブラッド500C/M / Aptus II 10R / Distagon CF 60mm F3.5 / Leaf Capture 11.3.1 ISO感度 : 80(クリックで拡大。ファイル容量:約17.7MB)



▲機種 : ハッセルブラッド500C/M / Aptus II 10R / Distagon CF 60mm F3.5 / Leaf Capture 11.3.1 ISO感度 : 80(クリックで拡大。ファイル容量:約25.6MB)


■低い感度にも対応してほしい

最後にAptus II 10Rへの要望として、僕が使っているAptus 22の最低感度はISO25で、Aptus II 10Rの最低感度はISO80。僕は晴れている日でもスローシャッターを使いたいときがあるが、そういった感度のコントロールの幅が広くなる意味でも、ISO25は残してほしかった。ちなみに、僕はほぼISO25で撮影をしていて、人を撮る場合でシャッタースピードが厳しいと判断したときはISO50に設定している。ISO25かISO50しか使わないと言い切ってもいい。そういう意味では、Aptus II 10RにもISO25やISO50に対応してほしかった。

ISO80からでは晴れている際に浅い被写界深度で撮りたいのに対応できなくなる。できればレンズの前に余計なフィルターを付けて撮りたくはないものだ。



▲機種 : ハッセルブラッド500C/M / Aptus II 10R / Distagon CF 60mm F3.5 / Leaf Capture 11.3.1 ISO感度 : 80(クリックで拡大。ファイル容量:約25.6MB)



▲機種 : ハッセルブラッド500C/M / Aptus II 10R / Distagon CF 60mm F3.5 / Leaf Capture 11.3.1 ISO感度 : 80(クリックで拡大。ファイル容量:約45.1MB)

■回転機構を用いた作例

回転機構を生かせば、以下の作例のように、縦位置、横位置を簡単に切り換えて撮影することが可能だ。



▲横位置の撮影(クリックで拡大)



▲縦位置の撮影(クリックで拡大)

※各写真の等倍画像は露出や色を調整する前のものです。



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