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プロカメラマンから見たコンパクトデジカメ


Canon PowerShot G1 X Mark II



文:湯浅立志




キヤノンから2014年3月に発売された「PowerShot G1 X Mark II(以下G1 X Mark II)」をお借りすることが出来たので、プロカメラマンから見たコンパクトデジカメと言う視点でご紹介していきます。
まず特徴から。
・G1 X Mark IIは、2012年3月発売の「PowerShot G1 X」の後継機
・1.5型のCMOSセンサーを搭載
・新開発、大口径F2.0-F3.9レンズ
・光学5倍ズーム(24mm-120mm)
・円形で美しいボケ味が楽しめる「9枚羽根絞り」
・ワイド端5cm〜テレ端40cmのマクロ撮影
・31点AF枠
・DIGIC 6 搭載



◀G1 X Mark IIにオプションのデジタルビューファインダー EVF-DC1を取り付けたところ。

本体だけでも、かなり男っぽい印象のカメラだが、オプションのファインダーを付けると、いっそうメカっぽさを出してくれる。


◀レンズは望遠側120ミリまでと最近のコンパクトデジカメと比較すると、物足りなさを感じるが、一般的なスナップ、風景ならこれで十分。



◀アングルファインダーはこのように角度を変えることができる。もちろん、途中の角度でも使用可能。

日中でドピーカンの撮影では重宝する電子ビューファインダーだが、液晶表示からの切り替えが遅い。ファインダー部にセンサーがあり、そこが暗くなるとアングルファインダーに映像を切り換える方式だが、覗いてからアングルファインダーに画像が写るまでにワンテンポかかる感じ。とてもスムーズとは言えない。

このワンテンポ待たされる感じが気になって、途中から外して撮影するようになってしまった。

EVFの出来としてはいいと思うだけに、残念。


◀背面液晶はこのG1 X Mark IIから横にスイングしての液晶ではなくなった。チルトタイプと言うべきか、最近のコンパクトデジカメでは最も多いタイプになった。

レンズ光軸と液晶面が同一線上になったので、ターゲットを追いやすいと言うことらしい。使ってみると、キヤノンの他の機種より、確かに見ている方向と、カメラの方向が一致しているので、動かしやすい感はある。


◀液晶はこのようにひっくり返してレンズ側に向けることもできる。これ、なんのため?と思ったオジサマも多いだろう。いわゆる自分撮りの時に便利というわけだ。昨今、セルフィーと言って、ハリウッドセレブの間でも流行っているし。

男っぽいG1 X Mark IIでも付けちゃいました、と言うところが、このカメラの性格を表しているのかもしれない。


◀ボディの仕上げは極めて高質。実売7万円以上のことはある。



◀モードダイヤルのこの質感とか、オトナが使っても安っぽさを感じさせない重要なポイント。



◀背面のボタン、ダイヤルの配置はキヤノン的。僕はメインのカメラがキヤノンなので、ほとんど迷うことなく使えた。


◀スイッチオフの時はレンズバリアがシャッターを閉めている。
F2.0の大口径レンズなので、レンズバリアも大きめだ。

僕は個人的にこのレンズバリア式が好きではない。過去に、同様のカメラを持ち歩いていて、このレンズバリアのシャッターを壊してしまったことがあった。普通のレンズキャップとは違い、強度は低い。この部分に突起などが当たれば、それでレンズバリアは壊れてしまう。

持ち歩けることが信条のコンパクトデジカメだから、頑丈なケースなどに入れて使うというのは本末転倒。気軽にバッグに放り込んで使いたい。そういう人にはオススメできない。


◀このレンズ周りの質感、素晴らしい。レンズを繰り出してもがたつきなどはなく、このボディの中で、良く作ってあると感心する。


◀レンズ鏡筒にはダブルのリングがあり、それぞれ回すことにより、カメラのコントロールができる。例えば、ピントをマニュアルにするときは、レンズ前側のリングでピント調整する。後ろ側のリングは露出補正などの時に使える。


◀僕はスナップなど、カメラを持ち歩くときはblackrapidのストラップを使っている。小型のデジカメでは仕方ないが、このように、 blackrapidのネジを付けたままでは、電池フタを開けることができない。カード交換、電池交換の際に、いちいちネジを外すのは面倒だった。


◀向かって左がG1 X Mark IIの電池、チャージャー。右側はEOS70Dなどの電池、チャージャーだ。

小さくなっているのはよいが、このクラスのハイエンドコンパクトデジカメは、35タイプのデジカメユーザーが多いはず。旅行などで、 EOSとサブでこのG1 X Mark IIを持っていくというシーンは多そうだ。カメラごとにチャージャーが違うのは、そんな時に面倒くさいと思う一瞬だろう。

なんのためにこのクラスのハイエンドコンパクトデジカメを買うのか?
70Dあたりと同じ電池、チャージャーだったらどんなに便利だろうか?


◀大きさ比較。左からEOS70D、G1 X Mark II、G9

70Dにはアルカスイスのブラケットが着いているので、その分大きく見える。

G9の時代からすれば、かなり大きく、重くなってしまった。それでも一眼よりは小さいが、サブと考えると、このあたりが限界かもしれない。



G1 X Mark IIによる作例

作例はすべてG1 X Mark IIのJPEG(ラージ)で撮影したままで無加工のものです。掲載に際しオリジナルを縮小しています。

ホワイトバランスの設定はすべて太陽光です。

◀起動が速い。「あ、いい!」と思ってスイッチオン、すぐにシャッターを押せるのは、スナップカメラとして絶対条件。

◀光学5倍ズーム(24mm〜120mm)は持ち歩き用のカメラとして必要十分は領域をカバーしている。


◀目黒川に散った花びら。花びらの1枚1枚まで、そして、水のぬめり感の描写、手ぶれも押さえられて、良く写し取っています。


◀逆光時に少し弱い気がします。これはフードを付けていないので、ある意味仕方ないこと。携帯性を犠牲にするか、フードを付けてもっとシャープに撮るか?悩ましいところ。


◀液晶面でピントの合わせたいところをタッチするだけで、そこにピントが合う。このように前に花があっても、後の花に合わせることは用意だ。


◀画面いっぱいの花でも、真ん中にピントが合っていたのでは面白みもない。

液晶面をタッチして、一番手前の花にピントを合わせた。

花粉まで分かる。




◀同じ位置から広角側と望遠側で撮ったもの。

だいたいこのくらいが撮れれば普通は不満がないはずだ。

レンズも十分にシャープ。ただし絞ればだが。



◀望遠側120ミリで。開放で撮っているが、このくらいの遠景では意外に後がぼけない。ただ、被写界深度はさすがに大型1.5型のCMOSセンサーなので、拡大してみると、浅いことに驚くと思う。


◀クリエイティブショットモードが面白い。

左はオリジナルの撮影画像。そこから5種類のエフェクトを掛けた画像を自動で作ってくれる。

すごいな〜と思ったのは縦位置で撮っているにもかかわらず、横位置にトリミングしたカットも入れてくる。よく見ると、縦位置のカットも微妙にトリミングが違っている。

プロカメラマンから見ればオモチャのようで笑ってしまうが、iPhoneのカメラアプリでもそうだが、エフェクトの種類がありすぎて、それを変えているだけでも分からなくなってしまうと言うことがある。


◀このクリエイティブショットなら、自動で5パターン作ってくれる中から、自分の好きな感じで選べばよい。

フレーミングすらカメラがやってしまうという時代に、オールドカメラマンはただただ目眩がするだけだ。




◀35タイプのデジタル一眼を常に持ち歩くのは、誰しもができることではない。でも、常に写真は撮れるようにしておきたい。しかも、高画質で。

このジレンマは誰もが抱えている問題だろう。

結果、何台もカメラを買ってしまう…。

G1 X Mark IIはそのジレンマを高いレベルで解決する1つの方法だ。コンパクトデジカメにしては大きい、重いが、ほとんどのシーンでほぼなんでも撮れる。しかも、高画質で。非常に守備範囲が広いカメラだ。

街を歩いていて、撮りたい衝動に答えられるカメラ、そんな1台だと思う。


◀花を撮るのが好きで、歩いていて、道ばたに咲いている花をよく撮る。

G1 X Mark IIでも花は撮れるが、あまり得意とは言えないだろう。

なにせ望遠側120ミリで寄れない。40センチの最短撮影距離になってしまうのだ。

それと、開放での描写が甘い。これは悪いことばかりではなく、このようにソフトな描写が、なんのフィルター操作もなく撮れる。しかも、拡大してみるとおしべまでピッタリ見せるところなど、面白いレンズだと思う。


望遠側120ミリで寄れないのが気になるのは、広角側では思いっきり寄れてしまうからだ。

なんと広角側では最短撮影距離5センチ。レンズ先端からほんの数センチにピントが合う。

この写真のように花の中にレンズを入れるようにして撮ることが出来る。


◀今回の撮影はすべてRAW+JPEGで撮影している。掲載は撮ったままのJPEGデータにしている。

RAWデータをLightroomに読み込ませて、表示させてみると、かなり甘い。最初、「コンパクトデジカメってこんなだっけ?」とすこぶる印象が悪かったのだが、JPEGを開いてみると、まったく違うくらいにシャープだ。

キヤノンの純正現像ソフト、DPPで開いてみれば同じようにシャープになる。

Adobe系の現像ソフトではデフォルトでシャープネスが掛からないので、RAWで撮っている人は気をつけよう。


◀同じファイルをPhotoshopでJPEGを開いたところ(左)と、LightRoomでRAWをデフォルトで開いたところ(右)


LightRoomでも、このようにレンズプロファイルと、シャープネスを掛けることで、JPEGと同じレベルくらいに見える。

ただ、レンズプロファイルはG1 X のものなので、完全とは言えない。


◀G1 X Mark IIはスタジオでも使える。

簡単な物撮りなら、十分な画質だ。マニュアルもあるから大型ストロボも使えるし、RAW記録で後処理したい人にも向いている。


◀ただ、マニュアルモード時の背面液晶では、露出シミレーションをしてしまうので、真っ暗になる。

ピントを合わせる動作に入ると、自動的に明るくするのだが。設定で変えられるかと思って探したが、見つからなかった。

マニュアルモード時のプレビュー問題はいろいろな考えがあるので、変更出来るようにして頂くのが望ましいと思う。


◀上のセットで撮影したカット。このくらいの物撮りは難なくこなせる。


◀最近の傾向として、Wi-Fiでスマホと連動という機能、このカメラにも当然付いている。

キヤノンの一眼にも同じような機能があるが、EOS系が使うアプリと、コンパクトデジカメが使うアプリは違うので注意が必要だ。

EOSはEOSRemoteというアプリで、G1xmkⅡはCameraWindowというアプリになる。

◀G1xmkⅡのボディにスマホ連動のスイッチが単独で付いている点も、今の時代がいかにスマホ中心になっているか、その象徴のようだ。

一度設定すれば、このボタンを押し、あとはスマホ側でWi-Fiにつないで、アプリを起動するという流れになる。


◀iPhoneでの画面。

◀もちろんiPadでも使える。

左はリモート撮影をする時の画面になるが、いちいちこのアラートが出てくる。アマチュア用なので、注意喚起のアラートは仕方ないと思うが…実際に、G1xmkⅡをテーブルの上に置いて、このリモート撮影をすると、いきなりレンズが出てくるので、それによってカメラが転落したり、お茶をこぼしたりという事故が起きるのだろう。


◀撮影時の画面。タッチフォーカスはできないがズームはできる。

なお、この時にカメラ側の液晶には何も写らない。できればカメラ側にもライブビュー画像が写ってくれれば使いやすいと思う。


◀ 撮影後の確認など、使い勝手はEOSRemoteと同じだ。


◀カメラ内の撮影データも見ることができる。


◀選択して保存すると、iPhone、iPad内のカメラロールに画像が保存される。

Facebookなどには一度カメラロールに保存してからの投稿になる。


◀もう1つ面白い機能として、iPhoneなどのGPSを使い、GPSログを記録して、そのデータを撮影画像に追加するという機能がある。

このG1xmkⅡ自体にはGPS機能が付いていないが、その機能をiPhoneにやらせようという仕組みだ。コンパクトデジカメでも、一眼のデジカメでもGPS機能が付いているカメラがあるが、実際に使うと、それほど高精度とは言えない。それに個々のカメラにGPS機能を付けるよりも、手持ちのスマホにその機能は付いているわけで、だったらその機能はスマホにやらせようという発想だ。

アプリを起動させて、位置情報のログボタンを押して開始させれば、移動中のGPSログを記録していってくれる。


◀撮影終了後、スマホをWi-Fiでカメラにつないで、内蔵のカードに記録された画像に位置情報を付けていく。

位置情報は時間で管理されているので、カメラ内の撮影データの時間と照らし合わせて、その時間に記録されたGPSデータを画像に追加していくという仕組みだ。


◀撮影枚数にも寄るが、位置情報を付けていくのに少し時間が掛かる。このあたりが実際に使うと面倒と感じる部分だろう。



総論として、今時のカメラとして非常に良くできているカメラだ。が、立ち位置として結構難しいと思う。

マイクロフォーサーズと同等の大型センサーなので、コンパクトデジカメとしてはかなり良い画質だと思う。黒い質感と重厚な仕上げの外観もすばらしい。そう言った男っぽい見かけなのに、セルフィーしやすい液晶だとか、クリエイティブショットモードみたいな女子ウケしそうな機能が付いていたりのちぐはぐ感を感じる。

同じようなクラスのハイエンドコンパクトデジカメとは違い、その二面性がこのカメラの面白さなのだろう。

ボケもきれいだし、ほとんどなんでも無難に撮れる。が、今ひとつ物足りない、と感じるマニア層も多そうだ。そういう人たち向けではなく、気楽でオールマイティなセカンドカメラという使い方が合っているように思う。



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