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第15回:PHASE ONE IQ2シリーズの長時間露光について

解説::湯浅立志/フォトグラファー http://homepage3.nifty.com/y2/
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今回は中判デジタルの長時間露光について解説いたします。

フィルムからデジタルになって、楽になった撮影の1つに長時間露光撮影があります。フィルムの時代だったらスポットメーターなどで露出を計り、絞りとシャッタースピードを決めて、そこからフィルムメーカーから提供されている相反則不軌の表から、実際の露光時間を算出していたものです。デジタルになってからはそこまで神経質に露出を計算しなくても、とりあえず「撮ってみる」、そして、その結果をすぐに確認して、次の行動に移ることができます。

この楽になった長時間露光ではありますが、実はまだまだ簡単な撮影とは言えません。やってみれば分かりますが、デジタル写真ならではノイズリダクションの時間が掛かるからです。ノイズリダクションとは、デジタル特有の長時間露光時のノイズ発生をキャンセルするために、撮影後に撮影時間と同じだけのノイズキャンセルするための情報を得るための露光時間が必要になります。つまり、1分の長時間露光の後には1分のノイズキャンセル機能のための時間が掛かります(機種によっては掛からない機種もあります)。

この長時間露光を中判デジタルで使うとどうなるか? 今回はその実際を交えて解説していきます。


現在発売されている中判デジタルでもっとも長時間露光ができるデジタルバックがこのIQ260です。最長で1時間までの長時間露光が可能です。同じPhase OneデジタルバックのラインナップではIQ250とIQ160が同様に1時間までの長時間露光が可能です。

Phase Oneデジタルバックでも上記以外の機種では最長露光時間は1分〜2分となっています。他社のデジタルバックでもおおむね1〜2分が最長露光時間です。

今回はこのIQ260を例にとって解説していきます。

IQ260には長時間露光モードという機能があります。通常はこの機能はオフで使用しています。


長時間露光をする時にこのメニューをタップしてスイッチをオンにします。


長時間露光モードをオンにすると、右のように感度が変わります。

通常はIQ260の感度はISO50~800ですが、長時間露光モードにするとISO140~800となります。見分けやすいように感度数字の右に「Long Exp.」と表示されます。



長時間露光モードをオンでも、sensor+機能が使えます。

sensor+機能オンでISO200〜3200となります。


長時間露光モードオンになっていると、右のように通常表示の際、感度の右に「L」が追加されて、長時間露光モードになっていると言うことを知らせてくれます。


この長時間露光モード、撮影の時に忘れて長時間露光のシャッターを切ってしまうことは、良くあることです。フォトグラファーは目の前の被写体のことで頭がいっぱいでしょう。カメラの設定を忘れることは良くあります。

通常のまま、長時間露光をしていると、10秒以上になると自動的に左のようなアラートが表示されます。ここで気がついて、長時間露光モードに変更すれば間違いも取り戻せます。


右はノイズリダクションをしているところです。下のメニューバーに月のマークが出ています。この時にもアラートが表示されます。

もちろん、無視してこのまま続行しても支障がありません。


実際に長時間露光モードをオンとオフではどのくらい違うのか? テストしてみましょう。

右は筆者の撮影スタジオで照明をすべて消して1時間の長時間露光をした結果です。撮影スタジオですから、外光が入らないようになっています、が、完全な暗室ではないので、カーテンから漏れてきた光などがあります。この状態は人間の目で見て、真っ暗で何も見えない状況です。

画面を見ると分かりますが、画像の全体がカラーノイズだらけになっています。これでもCaptureOne8でノイズを消しているのですが、とても間に合いません。


IQ260の長時間露光モードをオンにして同じように1時間、シャッターを開けたままにしたのが左の画像です。この写真を見て1時間の露光を掛けたと分かる人はいないでしょう。まったく普通の画像になります。


100%拡大した画像が右です。

これが長時間露光モードがオフ。


これが長時間露光モードがオンです。


露出とホワイトバランスを取ります。若干暗いので、露光量で上げれば、普通の商品撮影にしか見えません。


ただ、100%拡大してみると、ローレットなど、輝度差があって、直線部分のところに、カラーノイズが入っている部分が確認できます。カラーノイズが消しきれなかった部分でしょう。完璧とは言えませんが、長時間露光モードがオフの状態から見れば、普通の画像でしょう。

素晴らしい結果を得られた長時間露光モードですが、欠点があります。このテストを行っているときのバッテリーです。撮影で1時間露光、そして、ノイズリダクションでさらに1時間と、2時間フルにデジタルバックを駆動させています。最初のテストでへたったバッテリーを使っていたら、途中で電池切れになってしまい、再度新品に近い電池でテストしました。それでも、露光と、ノイズリダクション含めて2時間で電池が切れてしまいます。つまり、1 カット撮るのに電池が1個なくなると言うことです。

今回はテストで屋内のスタジオという環境でしたが、冬の屋外での撮影で長時間露光をするというシーンもあるでしょう。撮影の時はくれぐれも大量の電池を用意して望んでください。


次に長時間露光モードを実際に使ってみました。

左はISO50,30sec,F16.0(通常モード)

右はISO140,3sec,F8.0(長時間露光モード オン)

エッフェル塔を撮っていて、IQ260から「長時間露光モードを検討して下さい」とアラートが出たので、長時間露光モードにして撮影したのが右のカットでした。

この場合、ノイズや画質と言うよりもシャッタースピードをできるだけ遅くして、光の軌跡を写したいという意図が合ったので、結果的には長時間露光モードをオフにした通常モードでの撮影がメインとなりました。


興味深いのはC1のノイズ除去機能です。

右はISO140,3sec,F8.0(長時間露光モード オン)で撮られた写真です。


これはISO50,30sec,F16.0 (通常モード)

比べてみると、ピクセルのスライダーが大幅に違っています。


ピクセルのスライダーを両方とも0にするとこのようにノイズが現れてきます。

左が通常モード、右が長時間露光モードオンです。

左を見ると、以上ピクセルがいくつか光っているのが分かると思います。

長時間露光モードではそれらがほとんどありません。

もちろん、C1のノイズ除去、ピクセルのスライダーで消すことが可能なのですが、このピクセルのスライダー、やり過ぎると他の部分に悪影響が出てきます。1ピクセルを消すような機能なので、当然ながらディテールがなくなる部分が出てくると言うことになります。



このように、長時間露光モードは最高の品質の画像を得たいと言うときには使った方が良いでしょう。ただ、今回のように、長時間シャッターを開けることによって、光の軌跡を写したいという場合、感度が上がってしまうのは、使いにくい。当然、NDフィルターを入れるなどすれば良いのですが、余計なフィルターは入れたくないと思うフォトグラファーも多いでしょう。

実用として、1分程度までの露光なら、個人的には通常モードでいくと思います。それ以上の長時間露光なら間違いなく長時間露光モードを使った方が結果が良いでしょう。

IQ260(IQ250、160、150)は、数十分というような長時間露光するなら唯一無二と言っても良い機種です。これでなければ写し取れないシーンがあるでしょう。すべての人に必要な機能ではありませんが、可能性を与えてくれるカメラです。夜景を撮る時にこの解説を思い出していただければうれしいです。

さて、今回でこの解説も最終回となりました。

長い間、お読みいただきありがとうございました。





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