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第12回:Phase One アップグレード 体験記

解説::湯浅立志/フォトグラファー http://homepage3.nifty.com/y2/
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個人的なことですが、2014年3月にデジタルバックを買い替えました。今回はこの購入体験記を紹介していきます。

◀フェーズワンのデジタルバックの最高峰、IQ2 デジタルバック「IQ280」。現時点で最大の解像度、8000万画素センサーを搭載。広大なダイナミックレンジ、高画質を誇る。(クリックで拡大)



●P45+から新しいデジタルバックに

2014年4月1日に消費税が5%から8%に上がると言うことで、いろいろな商品が駆け込み需要で売れていました。高額商品であればあるほど、その差額も大きくなるので、家や自動車から始まり、日頃、買おうか迷っていたようなカメラ、レンズにまで、そのムーブメントは及んでいました。最終的にはトイレットペーパーまで買いだめしていたという報道には笑ってしまいましたが、購買欲をそそる波であったと言うことは疑いのないことでしょう。

かく言う僕も、そんな騒ぎを横目で見ていて、「バカだな〜」と冷ややかに思っていたのですが…。

あるとき、銀一さんに消耗品を買いに行った際に、DNPフォトルシオの方がちょうどいらして、その時の立ち話の中で、「やはり消費税前でデジタルバックも動いています。リースならリース期間中は5%のままですからね」と聞いてしまい、なるほど、デジタルバックは数百万円するものだから、そりゃ差額は大きいよな〜と、帰りの車の中で思ったものでした。

僕が使っているデジタルバックはPhase One P45+で、Phase Oneのデジタルバックとしては結構古い世代のものでした。写りは問題なく、僕の仕事にはちょうど良い画素数でしたが、このままPシリーズを使い続けるのか? と思うと、それで良いのかどうか、思うところはありました。

やはり、従来機種は、新しいIQシリーズに比べて、操作性が劣る点…これはバック単体でのスタンドアローンでの使用状態でのことですが、大きな液晶と、タッチパネル、単体でのライブビューが可能とか、新しいIQシリーズは、旧来のバックタイプとは異次元の使いやすさですから。

あと10年くらいは写真の仕事をしていくつもりなので、買い替えるならそろそろだろうな〜と、思っていたところです。

過去に、最初のPhase One、H25から始まり、P25+、P45+と、2〜3年程度で買い換えてきました。先にも書いたように、P45+にそれほどの不満もなかったので、買い換えに対して、意欲的と言うことはありませんでした。

そんな折、あるクライアントから、アーカイブの仕事を受けることになり、その際に言われたことが「画素数はあればあっただけありがたい」という言葉でした。確かにアーカイブの仕事は、その時代で可能な限り高精細な複製技術で記録していくものです。フィルムからデジタルになって、高画素が最も求められている業界はアーカイブの世界なのです。

僕が持っていたP45+でも分割撮影すればよいのですが、分割撮影は後処理の手間と時間が掛かります。一発で撮影できるのなら、その方がトータルで見て効率的なのは言うまでもありません。

アーカイブの仕事は僕にとって、メインではないのですが、広告の撮影でも、広めに撮っておいて、後でどういうトリミングをしても使えるように、という注文は普通です。それに耐えられるのはやはり高画素なデジタルバックだけなのです。

そんなこともあり、試しに、今持っているP45+を下取りに出して、新しいIQシリーズを買うと、いくらぐらいなのか? 見積もりをお願いすることにしました。

Phase Oneでは、自社のバックタイプユーザーに対して、「アップグレード」と称する、下取り交換システムがあります。

これは、比較的、差額が安く、新型に交換できるメリットがあります。Phase Oneは、下取りしたデジタルバックを自社工場に送り、内部を点検、交換、センサーの表面のIRフィルターを交換するなどして、ほぼ新品と変わらないくらいの状態にして、「整備済み品」として再販売するのです。

僕が最初に買ったPhase Oneはこの「整備済み品」でした。新品よりも安く買えるので、デジタルバック入門者にとって、その敷居を下げる役目になっています。

僕は過去に1回、このアップグレードを利用して、Phase Oneデジタルバックを買い替えてきました。


●最高峰、IQ280にアップグレード!

さて、銀一さんから、見積もりが帰ってきました。
これが想像以上に安い金額だったことにビックリ。

読者の皆さんは、「どうせ、コネがあって安くしてもらったんじゃね〜の」とお思いでしょう。確かに、普通の人よりはコネがあると思います。でも、だからといって、数百万のものが半額にはなりません。ほんのちょっとだけ、値引きという感じで、普通の人とほぼ同じくらいの値段でした。

いくつかのデジタルバックに対して、金額を提示していただいたのですが、IQ140ならすぐにでも買えるような金額でした。さすがにP45+からIQ140にはしませんが。目標はIQ160以上の機種。どうせ買い替えるのなら、今よりも画素数は欲しい。

そんなことで悩むこと1週間。まさに寝ても覚めても思うのは、このアップグレードのことでした。

先にも書いたように、あと10年くらいの現役生活の中で、思い残すことのないようにカメラマン人生を終わりたい、と思ったとき、今ある最高のものを使ってみたいと、そんな欲望がありました。

50も過ぎて、人間ドックに行けば再検査だし、それ以外もいろいろな不安を抱えています。いくらお金があっても、良いカメラがあっても、撮りに行く元気な身体がなければ、何も撮れなくなってしまいます。それを考えると、早いうちに良い機材を使って、いろいろなものを撮ってみたいと思うようになりました。これは2年間にカンボジア、アンコールワットに行ったときにそう感じたからです。アンコールワットは歩いて遺跡を回るしかありません。重いカメラを持って1日歩くのは、50歳の僕でもかなりきついものでした。中判デジタルは画質は最高ですが、カメラも大きく重く、三脚も必要になります。持てるうちに写真を撮っていかないと、それを味わうことなく、一生が終わってしまいます。

ミラーレス一眼で写真を撮るなんて、70過ぎてもいくらでもできますが、中判デジタルはそうはいかないでしょう。

そんなことを思っていて、最終的に購入希望としたのは、IQ280でした。

◀「IQ280」のセンサー面。
 (クリックで拡大)



現在ある中で、最高の画質であること。それを日頃から使って見たいと思いました。IQ180でもよかったのですが、どうせ買うなら新しいものにしようかと。でも、Wi-Fiが付いているだけでほぼ100万くらい高くなるんで、ここも相当悩みましたけど。

さて、アップグレードに戻ります。

アップグレードは常にあるわけではありません。一種の販促キャンペーンみたいなものなので、もし、アップグレードしたいときはメーカーやディーラーに情報があったら教えて欲しいと、連絡しておいた方がよいでしょう。

アップグレードを使わずに、手持ちのバックタイプを中古として売るという方法もあります。これも、過去に1度利用したことがあります。中古として売るので、程度は良い方が高く売れるのは当たり前です。写りに関係ない、外観なども考慮に入れられるので、傷も少ない方が良いでしょう。また、中判デジタルという性格上、一般的なカメラ店、量販店での買い取りは、難しいと個人的に思っています。やはり、写真機材のプロショップで、委託販売してもらう方が、結果的にはいいと思います。

アップグレードと個人での中古売買、どちらがいいか? 何とも言えませんが、忙しいプロならアップグレードの方が圧倒的にいいと思います。やはり個人での売買にはリスクと、手間が掛かりますから。多少高く売れたとしても、後々のクレームなど、面倒なこともあります。

アップグレードのメリットは、デジタルバックが可動していれば、外観の傷などは問いません。付属品も購入時のものが揃っていなくても大丈夫です。実際に今回、僕がP45+をアップブレードに出したときは、デジタルバック本体とそのセンサーカバーだけでした。

また、アップグレードのデジタルバックが来るまで、古いデジタルバックをそのまま使っていられます。シームレスに仕事ができるので、その点でもプロ向きでしょう。

注意点としてはアップグレードされるデジタルバックはクラシックパッケージと呼ばれるものと同等です。電池なども付属せず、最低限の商品構成のもので、保証も1年間です。

参考までに現在行われているアップグレードはこちらです。(2014/06/08)

ナショナルフォート
Leaf Credo特価キャンペーン&PHASE ONE IQ250特価アップグレード


●IQ280の箱を開けてみる

アップグレードしたIQ280が届いたときの画像をご紹介しましょう。


これが銀一さんから届いたアップグレード品です。UPSで配送されているようで、本国からDNPでチェック、そして銀一というルートみたいですね。

段ボールの中身はこんな感じ。

ビニールの中に入っていたのは日本国内での保証とサービスパックの案内。

そして、本体の箱。

開けるとこんな感じ。

アップル製品のようにきれいに収まっています。

僕が過去に買ったPhase Oneデジタルバックの中では、最も洗練されているパッケージではないかと思います。

最初に入っていたのはIQ280の取説。と言っても、英語でWi-Fiの説明などがある、簡単なものです。

箱から取り出すとこんな感じ。

黒い箱の中にはUSBメモリと、各種取説(英語版)。

布製のクリーナー、QPカード

パッケージの中にはもう1つ別の黒い箱もあって、その中にはマミヤ645DF+のファインダーグラスと、交換のためのピンセット

USB3.0ケーブルとFireWire800のケーブル
(ピンク色のマークは僕が塗ったもの

Phase Oneの各種製品ガイド、現像ソフト CaptureOneのディスク

CaptureOneに関しては、フルバージョンのシリアルは付いていません。DB版でデジタルバックと接続すれば使えるというものです。

手前が今回付いてきたUSBメモリ。奥のはP45+を買ったときのもの。時代によって、その容量が変わっているみたい。今回は4GBになった。

USBメモリの中身。

Phase Oneの各種製品のユーザーガイドが入っている。残念ながらすべて英語版。

アップグレードは無事に完了しました。

2014年4月以降、消費税が上がり、さらに、Phase Oneの各種製品の販売価格も値上がりになりました。これは日本円がユーロに対して弱くなったためです。

結果的に、僕がIQ280にアップグレードしたタイミングはよかったと言うことになります。なにせ、現在の価格はクラシックパッケージでも580万円(税別)です。数ヶ月前の増税前と比較すると、増税分と値上げ分でかなりの差があります。

ただ、増税後のこれからも、アップグレードは販売上、戦略的な価格設定をされると言うこともあり得るので、いつかは手持ちのPhase Oneを買い替えたいと思っている人は、気をつけて見ておいた方がよいでしょう。

今回は、やや個人的なものとなりましたが、特別編として、書いてみました。

次回以降、新しいIQシリーズのお話も書くつもりですのでお楽しみに。






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