●PCJ Interview
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●Company File
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
・File06 駒村商会
・File05 ジナー
・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
・File01 ライカ

●Overseas Photographers
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
・File07 Todd McLellan
・File06 Mona Kuhn
・File05 Diana Scheunemann
・File04 Albert Watson
・File03 Nick Meek
・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen
アドビ システムズといえばPhotoshop、Lightroomなど、フォトグラファーにはもっとも馴染み深いソフトメーカーだ。Photoshopは1990年の誕生以来、22年間成長を続け、今ではスチル写真だけではなく、ビデオまでの加工編集ができるようになった。またRAWデータの現像ソフト、Lightroomもバージョンアップを重ね、フォトグラファーの中で、その使い勝手や処理速度などが高い評価を受けている。今回はアドビ システムズの栃谷宗央氏にPhotoshopを中心にその経緯、現状、今後などを語っていただいた。

アドビ システムズ 株式会社
http://www.adobe.com/jp/

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アドビ システムズ 株式会社
マーケティング本部 クリエイティブソリューション 第1部
デジタルイメージング部 製品担当
グループリーダー
栃谷 宗央




●最初のバージョンから完成されていたPhotoshop

−−アドビ製品はフォトグラファーやデザイナーなど、世界中のクリエイターが利用していますが、その中で日本のマーケットの現状はいかがでしょうか。

栃谷:日本支社であるアドビ システムズ株式会社の売り上げは、2011年度で42億ドル、日本は北米地域、ヨーロッパ地域に次いで3番目に販売貢献度がある単独国で、実はこれはソフト、ハード問わず外資系IT企業ではかなり珍しいことです。これはIllustratorやInDesignなどの日本の環境や仕様に合わせて開発しないと訴求できない製品を販売しているからです。本社に対する技術開発の発言力においても日本は進んでいます。

−−2012年4月に発表された「アドビ システムズ、“クリエイティビティ”に関する世界的な意識調査を実施」において、日本は世界で最もクリエイティブな国にランクされていました。そういったことも数字に現れているわけですね。

栃谷:そうですね。日本が非常にクリエイティブな市場であるとともに、メーカーとしてもユーザーさんと接したこれまでの積み重ねが、その結果になっていると思います。

ただし、実は元々アドビは2人で創業して、ソフト自体はアドビの開発製品だけでなく、他社のソフトを買収して成長してきた経緯もあります。分かりやすいところではFlashのMacromedia社、最近ではWeb解析ツールのOmniture社です。アドビの製品で純正のものというのはPostScriptというプログラムエンジン、それとIllustratorなんです。フォトグラファーの方々にとってPhotoshopはある意味アドビよりも大きいブランドイメージと思いますが、Photoshop自体はアドビが開発したものではなく、ノール兄弟の2人が共同して作った製品です。兄のトーマス・ノールがエンジニアで、弟のジョン・ノールが営業・マーケティングの役割、そしてPhotoshopのプラグインも作っていました。1989年にPhotoshopが誕生し、アドビが実際に販売したのは1990年の2月です。

−−それ以前にアドビ以外からPhotoshopが発売された経緯はあったのでしょうか。

栃谷:完成版ではなかったのですが、一時スキャナーにバンドルした形で販売されていました。パッケージとしてはないですね。アドビ製品は起動時にスプラッシュスクリーン(起動画面)が出てきますが、最初のバージョン1.0では、そこにトーマス・ノール、ジョン・ノール、スティーブ・ガットマン、ラッセル・ブラウンの4人の名前を見ることができます。今でもトーマス・ノールがトップで出てきます。

最初のバージョンのPhotoshopは、パッケージの中にフロッピーディスク3枚しかなくて、1枚約1.4Mバイトでしたから3Mバイトくらいのプログラムでできていました。




▲Photoshopのバージョン1のパッケージ(クリックで拡大)



−−そもそも、Photoshopの開発のきっかけというのは何だったのでしょうか。

栃谷:トーマス・ノールが大学の博士号をとろうとしていた過程の中で作ったプログラムです。白黒のモニターで見やすい形で写真を加工できないかというところから、自分の研究過程の中でできたプログラムだったんです。デジタルカメラなどなかった当時はスキャナーで写真を取り込んで、その時に印刷にたえうるような絵に変えていくというのが目的でした。なので、Photoshopのバージョン1.0から皆さんが普段使っているツールのほぼすべてが入っています。当時でこれだけのツールがあるというのはすごいことだなと思いますね。また、現在のMacはCPUがインテルなので動きませんが、PowerBookでもちゃんと動いていたので、将来を見越した形で設計していたのかなという思いがありますね。なお、トーマスの趣味は写真でもあり、南極やイースター島にも撮影旅行をするほどです。そのトーマスの意見で入った機能、最近ですとCamera Rawは彼1人で開発をしていました。

−−最初のPhotoshopには、例えばどんな機能があったのですか。

栃谷:当時すごく珍しかったのは、自動選択でした。それにレベル補正、切り抜き、コピースタンプツールも入っていたので、この時点でほぼ完成されているアプリケーションだったと思います。ちなみにマーケティング・営業担当でもあったジョン・ノールがお客様のところで奥さんの写真を使ってコピー&ペーストなどの製品デモンストレーションをしていました。

−−主な機能に加え、バージョン1.0から基本のインターフェイスが変わっていないというのがすごいですね。

栃谷:そういった意味では本当にすごいです。これが革命的な1.0だったのですが、一般の方々に浸透していったのはレイヤーの機能がついた3.0からでした。ですからフォトグラファーの方も本格的に使い出したのは3.0以降の方が多いと思います。そして私の記憶ではPhotoshopのバージョン7くらいから、フォトグラファーをより意識した形の製品開発ができてきたと思います。

−−ちなみにWindows版はいつからですか。

栃谷:バージョン2.5からです。




▲唯一無二のグラフィックソフト「Adobe Photoshop CS6」(クリックで拡大)


▲3D画像も編集可能とした「Adobe Photoshop CS6 Extended」(クリックで拡大)


▲フォトグラファーのための写真編集ソフト「Adobe Photoshop Lightroom 4」(クリックで拡大)



●Photoshopの進化とワークフローの変化

−−現在のPhotoshopのラインナップと特徴をお話いただけますか。

栃谷:現在Photoshopの製品群は多岐にわたっていまして、プロフェッショナル向けのPhotoshop CS6が通し番号でバージョン13。そこから写真に特化した機能のみを、まとめて対応すべく生まれたのがPhotoshop Lightroom。現在バージョンは4番目です。そしてPhotoshopが高価で使いこなせないという一般の方々向けに、使いやすさや簡単さを重視したPhotoshop Erements。これは現在バージョンが10になっています。

−−最近ではタブレットやスマートフォンのアプリケーションもありますね。

栃谷:昨今、変化や進化が著しいのはやはりタブレットやスマートフォンといったデバイスです。それに対応したのが、iPadなどでもかなり使われているPhotoshop TouchというPhotoshopのコア機能を搭載したアプリケーションです。また、Revelという製品は今はMac専用ですが、iPad、iPhoneなどでもクラウド上にあがっている写真を一括管理、補正などができるというコンセプトの製品です。それと、スマートフォンでも扱えるPhotoshop Express。これは写真をWebブラウザ上でコントロールできる無償アプリケーションです。

−−Revelは基本的にはブラウズツールなのですか。

栃谷:閲覧だけでなく、プラスアルファとして簡単なトリミングなどの調整はできますし、元々の画像補正のエンジンはLightroomから来ているので、外観(ルック)という機能で補正作業もできるようになっています。

−−Photoshopファミリーは、プロからコンシューマーまで、幅広いプラットフォームを押さえていますね。

栃谷:趣味からハイアマチュアの方々、そしてプロの方々などすべてのフォトグラファーに対応しています。例えば、趣味でコンパクトデジカメを使う方にはPhotoshop Elementsをお使いいただき、昨今ですとミラーレスやデジタル一眼のユーザーも増えてきているので、その層にはLightroomをお勧めしています。プロの世界であれば、PhotoshopとLightroomを一緒に使ってください、というソリューションを提供しています。

−−ユーザーの境界線はRAWデータの扱いですか。

栃谷:RAWデータについてはアドビの場合はPhotoshop 7の途中からRAWのプラグインとして販売していました。なので、RAWについてはPhotoshop、Lightroom、Elementsすべてに対応しています。

ただし、Elementsに関してはRAWの基本的な補正しかできません。もともとElementsはPhotosho LE(Light Edition)から発展した、いわゆるPhotoshopの機能限定版として提供しています。PhotoshopとLightroomではRAWデータの扱いは両方同じことができます。どこまでRAW画像を自分の思い描いた作品に仕上げるかのこだわりが、ユーザーの境界線であるということは言えると思います。

−−いろいろなデジカメのネイティブなRAWデータに対応するのは大変だと思います。

栃谷:そうですね。もともとアドビがRAWを取り扱い始めたのは2003年だったので、そのときに行っていたRAWデータの対応は19機種くらい、現在は数百種とあります。弊社の開発の内部サイクルというのは、Photoshopをベースにすると、だいたい1年半から2年周期なので、その間にさまざまなデジタルカメラが出てきますよね。そのRAWデータについてはプラグインをアップデートすることによって新しい機種に対応しています。

−−本体そのものではなく、プラグインのバージョンアップということですね。

栃谷:そうです。カメラメーカーさんと連携しながら情報を提供していただけるメーカーさんに対してはネイティブ通りの形で、撮影されたRAWデータのままPhotoshopの中で同じような形で開けます。最近ではライカさんが1つの具体例ですね。なお、ライカさんのハイエンド製品については、Lightroomがバンドルされています。

−−BridgeがPhotoshopにバンドルされるようになったのはCSになってからですか。

栃谷:もともとBridgeという単体のアプリケーションはPhotoshop CS2から同梱されています。ただし、フォトグラファー向けに本格的な製品を提供をはじめたのはPhotoshop 7ですが、その中にファイルブラウザというBridgeの原型的な機能が入っていたんです。そこからですね。

−−7が2002年頃リリースですから、その後デジタルカメラが出版物に使われるようになってきて、どんどん実用化が進みました。デジタルフォトがそのまま印刷物にできる時代になって、そういった時代背景とPhotoshopのCSのバージョンアップの連動性はあったのでしょうか。

栃谷:ファイルブラウザの時代は、まだスキャンされた画像データを意識していました。デジタルカメラと大きく違うのは、デジタルカメラは何枚もメモリの許す限り撮れることですね。そういった大量の画像データをちゃんと閲覧できることがBridgeの役割です。

Bridgeは、バージョンが進化するごとに複数の写真を取り扱うことに関してより目配りが効いてきていると思います。それと、複数のファイルフォーマットを扱えるようにしたことによって、独立したアプリケーションになりました。従来のファイルブラウザはPhotoshopの中から開いていましたが、BridgeはPhotoshopの外側で機能する点が今までとは違うアプローチですね。

−−Bridgeは使い始めると手放せないですよね。Bridgeからいろんなところに行く流れになりますからね。

栃谷:クリエイターやフォトグラファーの方は、コンピュータに座って、まずBridgeを起動してから仕事に入るみたいなことを言っていましたね。

−−デジタルカメラ自体が35万画素くらいからスタートして、今は4,000万画素や8,000万画素まであります。ファイル容量が大きくなったデータに対してブラウザ機能というのはかなり対応するのが大変だったと思います。

栃谷:大変ですね。その部分で一番大きいのは64ビット化です。Photoshopは昔からメモリ食いだと言われていましたが、テクノロジー的にメモリの制限がOSにあったんです。それを解消したのがPhotoshop CS4くらいからです。RAWデータを取り扱うようになって扱うファイル容量が増えたのと、写真点数が膨大になったというのがフォトグラファーのワークフローの大きな変化だと思います。64ビット化の恩恵で、制限なくメモリが使用でき、マシンのパフォーマンスが飛躍的に向上して、ユーザーがストレスなく閲覧できる環境が整ったと思います。


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