●PCJ Interview
・File12 飯田かずな
・File11 河合俊哉
・File10 酒匂オサム
・File09 P.M.Ken

・File08 高木こずえ
・File07 太田拓実
・File06 鈴木心
・File05 青山裕企
・File04 小山泰介
・File03 奥本昭久
・File02 常盤響
・File01 辻佐織

●Company File
・File08 アドビ システムズ
・File07 富士フイルム
・File06 駒村商会
・File05 ジナー
・File04 ハッセルブラッド
・File03 シグマ
・File02 フェーズワン
・File01 ライカ

●Overseas Photographers
File09 Josh Madson
・File08 Michael Kenna
・File07 Todd McLellan
・File06 Mona Kuhn
・File05 Diana Scheunemann
・File04 Albert Watson
・File03 Nick Meek
・File02 Rankin
・File01 Ron van Dongen
マルチショットや卓越したレンズ性能をもって、大判カメラの世界をリードするスイス生まれのビューカメラ、ジナー。同社は1948年、カール・ハンス・コッホがスイスで創業。世界最高峰の大判カメラメーカーの1社として知られる。今回はジナーの日本の総代理店であるエイ・ステージのジナー事業部、阿曽義人氏と葛原慎氏に、日本市場におけるジナーの現状や今後の展望などを聞いた。

株式会社エイ・ステージ
http://a-stage.jp/

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▲話を聞いたエイ・ステージ、ジナー事業部部長の阿曽義人氏

▲同じくジナー事業部の葛原慎氏




●ジナーの大判カメラ「Sinar p3」シリーズ

−−現在、ジナーの日本総代理店はエイ・ステージですが、ジナーを扱うに至った経緯を振り返っていただけますか。

阿曽:弊社がジナーを扱い始めたのは、5年前の2006年9月からで、その前はストロボを扱っているプロフォトさんが約半年、それ以前は日本シーベルヘグナーさんが取り扱っていました。

当時、日本シーベルヘグナーが写真業界から撤退する動きがありまして、元々プロフォトを扱っていた部門と一緒に、ジナーも全部プロフォトの方に移管したのです。ただプロフォトはストロボをメインにビジネス展開されているので、ジナーの取り扱いに関してテイクに話をいただいた形です。

−−エイ・ステージはテイクと同じグループ系列ですよね。それもあってということですか。

阿曽:そうです。

−−2006年の頃はビューカメラが中心だったわけですよね。その後、大判と建築用カメラ、そしてすでに終了になりましたが中判のSinar Hy6シリーズと扱われてきました。

阿曽:そうですね。建築用カメラの「arTec」シリーズは最近リリースしたばかりのカメラですので、元々引き継いだときにあったのはSinar p2、p3、f2、f3系のビューカメラですね。

−−日本におけるp2、p3のユーザー層というのは、どういったカメラマンなのでしょうか。

阿曽:ユーザー層の8割はスタジオワークで商品撮りをなさっているカメラマンで、あとは一部の写真館です。アマチュアの方ですとp2よりもそれ以前の「Norma」が多いです。

−−すべてデジタルバック仕様ですか。


葛原:今はそうですね。ジナーは大判フィルムカメラのイメージが強いのですが、デジタルカメラに対応したのはずいぶん早く、1997年にはすでにデジタルカメラ用のモジュールを作ってカタログに載せていました。もちろん販売もしております。当初はエリアセンサーはリーフが先行しておりジナーはリーフのデジタルカメラバックを扱っていました。その後、ジナー独自でジナーバックを製造したのは今から12年ほど前、2000年頃でした。

−−約5年、ジナーを販売されていて、市場的にはいかがでしょうか。

阿曽:ジナーでないと撮れないというお客様がいらっしゃるので、根強く、手堅い市場といえると思います。

−−競合するカメラはどの辺りになるのでしょうか。ホースマンなどですか。


阿曽:ホースマンさんはそうでもないですね。最近はトヨフィールド、トヨビューのサカイマシンツールさんが手がけた「COLAVOLEX」の後継機などが近いかもしれません。

−−アオリを含めてきっちりと撮るためのカメラということでは、これ以上のハイエンドカメラはないわけですよね。

阿曽:ないですね。ジナーは「p」のシステムが一番最初に出たのが1970年で、それ以降コンセプトは変えずに現在まできていますが、いまだにアオったときの、ピント位置の変化しないシステム、ロックの必要ない機構、そして精度に関しては、一番優れていると思いますね。

−−スイスの金属加工技術は素晴らしい?


阿曽:工作技術という面ではそうです。





▲1946年にスイスで開発、発売されたジナーの初代機「ジナーノルマ(Sinar Norma )/ジナーS(Sinar S )」。65年前の製品だ



▲こちらは1960年発売の後継機



▲近年のSinar Norma




●建築カメラ「arTec」の投入

−−建築用カメラの「arTec」はいつ頃リリースしたのですか。

阿曽:これは2009年の発表です。弊社に一番最初に入ってきたのは2009年の年末頃ですね。現在に至る間にかなり改良されてきています。

−−「arTec」はどういったユーザーをターゲットにされているのでしょう。

阿曽:やはり建築撮影です。そしてアート方面では風景写真家がターゲットです。

−−建築撮影ということは、やはり広角が強いのですか。

阿曽:そうです。現在日本で一番の広角の23mmですね。前にちょっと比較してみたのですが、35mm換算でキヤノンの15mmよりもちょっと広いぐらいです。対角線でみたときに15mmくらいかなという計算だったのですが、比較するともう少し広かったです。

「arTec」の23mmレンズの良いところは、周辺光量落ちが気にならない点です。これまで他社さんに24mmレンズがあったのですが、センターフィルターをつけないと周辺光量落ちを防げませんでした。また、イメージサークルがほとんどぎりぎりだったので、動かせない状態でした。arTecの23mmですと、無限大で5mm程度のスライドができるようになっています。

−−歪みはいかがですか。

阿曽:歪みは、まったく大丈夫です。規定されたイメージサークルの中であれば、矩形のものや建物を撮ってもピシっと線は出ます。そのために非常に良いEDガラスと非球面を採用しています。arTecの良いところは、精度ですね。

−−arTecはコンパクトで持ち運びもしやすそうですね。

阿曽:そうですね。機械的には非常にシンプルですが、必要なアオリは備えています。いままでのワイド専用カメラはスイングなどあまりできなかったのですが、arTecはスイング機能を備えています

−−日本市場でのarTecの販売価格はどれくらいですか。

阿曽:23mmレンズをつけて、デジタルバックなしで約270万円です。そのうちレンズは130万円です。建築を主に撮影されているカメラマンで、このシリーズでレンズを一度に6本お求めになられた方もいらっしゃいます。

−−建築用カメラというジャンルでは、他に他社さんと競合することはあるのですか。

阿曽:国内では駒村さんが製造中止されたので、あとは海外メーカーですね。ただほとんど日本に入っていません



▲1984年に発売されたビューカメラ「p2」(クリックで拡大)

▲「p2」を小型化しデジタルバック装着に適したビューカメラ「p3」(クリックで拡大)

▲「p3」の背面にはキヤノンのデジタル一眼が取り付けられている(クリックで拡大)



●中判デジタルからビューカメラへ

−−ローライと共同開発されていた中判デジタルカメラのHy6が生産中止となったとのことですが、経緯をお聞かせください。

葛原:Hy6は実はジナーだけの製品ではなく、ローライとleafと3社で作った共同制作の製品でした。

阿曽:ラインホルト・ハイデッケというドイツの会社がありまして、これはシンガポールのローライとは別会社なのですが、そこが経営が立ちいかなくなり、それでジナーの商品が中止になった形です。そのラインホルト・ハイデッケも現在は二眼レフと小型のデジタルカメラなどを展開しているのですが、プロ市場向けではありませんので、中判デジタルの取り扱いは現在ありません

−−中判デジタル市場に関しては、フェーズワンが強いようですね。

阿曽:そうですね。中判カメラは厳しい市場ですね。ハッセルも他社のデジタルバックがつかないようなシステムで展開しています。

−−例えばキヤノン、ニコンなどのデジタル一眼でカバーできる市場はかなり大きいと思うのですが、一方でこういったビューカメラ、大判があって、その中間の中判デジタルの市場というのは複数メーカーが競うには小さいのでしょうか。

阿曽:そうですね。カメラマンさんからの要望が多岐に渡ることもあって、厳しいかもしれないです。現状、デジタル一眼の画素数もどんどん上がってきています

葛原:ジナーが中判で競わないのは、市場が小さいこともありますが、実はそれだけではなくて…。スピードを求めるのではなく撮影間隔がゆっくりでも、最高の作品を撮れる機材を提供するのがジナーのモットーなのです。例えば、画像をきれいにするためにジナーは白い点と黒い点をそれぞれきちんとキャリブレーションを行います。カラーもチャートのデータを読みこんで合わせることができるのですが、必然的に撮影間隔が長くなってしまいます。中判カメラ市場は速さを求めていますし、中判カメラメーカーもそれに合わせて市場を伸ばしてきていますので、ジナーは同じ土俵に立つよりも、あえて中判層を狙わず高画質を求めるビューカメラのユーザー層を狙うということで棲み分けを図っています。



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