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150年以上の歴史を誇るドイツのライカ。究極のクオリティを追求したライカのカメラは他社のカメラとは一線を画し、多くのフォトグラファーやカメラファンを魅了してきた。伝統の直系である「ライカM9」と新開発の中判カメラ「ライカS2」を中心に、ライカの歴史、コンセプトを交えながらライカカメラジャパンの米山和久氏と大上富浩氏に話を聞いた。

http://jp.leica-camera.com/home/

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▲話を聞いたライカカメラジャパン株式会社企画部マネージャーの米山和久氏

▲同じく営業部Sシステム担当エキスパートの大上富浩氏

▲ライカMシリーズは、歴史が磨いた気品のあるボディを持つ。写真は「ライカM9」(クリックで拡大)



●ライカの足跡

−−ライカの歴史はもう語りつくされていると思いますが、改めて、駆け足で振り返っていただけますか。

米山:1849年にカール・ケルナーが光学研究所を作って、その後にライカの名前の由来となったエルンスト・ライツが事業を立ち上げました。そして、彼の死後を引き継いだエルンスト・ライツ2世が「ライツのカメラ」を意味する「ライカ」と名付けた「ライカ㈵」が1925年に登場します。どの時点をもってライカの創立と言えばよいのかは難しいのですが、我々が重要視しているのがこのいわゆるライカの量産機がスタートした年ですね。もちろん、ライカ㈵の元となった「ウル・ライカ」と呼ばれるカメラのプロトタイプを1913年から1914年にかけてオスカー・バルナックが作ったことも忘れてはいけないですね。

−−1849年といえば日本はまだ江戸時代、1913年から1925年はほぼ大正時代の始まりから終わり頃ですね。写真機は幕末には日本に入ってきていましたし、大正時代といえば無声映画の頃でしょうか。ライカは映像を撮るための動画カメラは作らなかったのですか。

米山:「ウル・ライカ」が生まれて以来、ライカキネという8mmを一時期やっていましたが、それほど市場には出ていませんでした。ただ、オスカー・バルナックはムービーフィルムの露出計として「ウル・ライカ」を作ったとも言われているように、動画カメラとの関連はとても深いです。パチッと撮って、さっと現像して露出の具合をチェックするために作られたとも言われていますし、実際にムービーのフィルムの2コマを1コマとして使用して24×36mmにしたことは大きなことでした。

−−その「ウル・ライカ」が現在の35mmフィルムカメラのベースなんですね。

米山:「ライカフォーマット=フルサイズ」と言われているほどですし、35mmは一番基本的なサイズですからね。

−−ライカが小型カメラを生んだことで写真の世界はさらに発展を遂げました。

米山:ライカの小型カメラが果たした功績で最も大きいのは報道写真のスタートに貢献したことかもしれません。それ以前の大型カメラでは撮影時の移動が不便なうえに三脚が不可欠でした。それがライカの登場でスナップ撮影が可能になり、いわゆるジャーナリズムの写真が誕生したわけです。しかも、単なる小型化だけではなく、きちんと解像度が出るレンズとのコンビネーションによってプリントも問題なくできるようになりました。

−−実際、マグナム・フォトの写真家はライカを使っている方が多いと聞いています。

米山:ええ、多いですね。なぜ報道写真のカメラとして成り立つかというと、フィルムを確実に守ってくれるという信頼性があるからでしょう。例えばロバート・キャパに代表されるように戦場にも持っていけるカメラなのですよね。完璧な鉄筒でフィルムカートリッジもフィルム側のスプールも確実に保護して、何としてもフィルムを守り抜く構造になっています。

カメラ自体がタフであることに加えて、解像力がしっかりしていること、一眼レフに比べて小型でありハンドリングが良いことも報道カメラとして受け入れられた点だと思います。また、撮影時の音が小さいので、相手にストレスを与えないと言ってくださる方もいますね。


●ライカM3以降

−−小型カメラで一世を風靡したライカですが、50年代にも画期的なモデルが登場し、Mシステムとして現在まで続くことになります。

米山:1954年に出たライカM3というバヨネットタイプのカメラですね。それまでは各社がこぞってライカに追いつけ、追い越せといろいろなカメラを作ってきましたが、ライカM3はファインダーの切り替え方式や2回巻き上げ方式など構造がとても複雑だったので、他社メーカー、特に日本のメーカーがライカM3以降の開発対象を一眼レフに切り替えたという話もあります。

−−ライカM3があって日本の一眼レフカメラは発展したわけですね。

米山:実際、現在のライカM9になってもほとんど構造自体は変わっていないことからもライカM3の完成度の高さが伺えます。ドイツの製品はエルゴノミクス、つまり人間工学に基づいて作られていますが、それほどライカM3は人間工学的に優れたものだったということです。ちなみにライカにはデザイナーがいないのです。



▲1954年に発売されたライカM3(クリックで拡大)



−−では、どのようにデザインしているのでしょうか。

米山:もちろん外部のデザイナーを使うことはありますが、内部にはいませんね。ではなぜライカM3ができたのかと言うと、先ほど触れた人間工学を追求していったからだと聞いています。つまり、フィルムを巻き上げて、撮って、レンズを調整するという方法論をエルゴノミクスの観点から突き詰めていくとこの形に辿り着いたと。

−−機能、技術を突き詰めた結果の形状がデザインとしての必然性を生んでいるわけですね。

米山:そうですね。ただ、ライカM3があまりにも画期的なデビューだったので評価も高いのですが、もちろんそこから進化はしています。例えばメーターが付いたり、デジタル化したり、ライカM8ではフルサイズより一回り小さなセンサーでしたが、ライカM9ではフルサイズになりました。我々は「ライカフォーマット」と呼んでいますがフルサイズになったことで「やっとライカ判になった」「ライカらしくなった」というお話をいただいています。

−−話は少し戻りますが60年代以降、一眼レフが普及してコマーシャルの世界が発展するなど、カメラの世界はさらに展開していきました。ライカは一眼レフより、やはりレンジファインダーのイメージが強いですね。

米山:ライカの一眼レフは1965年のライカフレックスIの登場でスタートしました。その後、ライカフレックスSL、SL2と続き、1976年のライカR3からRシステムが始まりました。残念ながら2002年に出したライカR9で一眼レフの製造は終わってしまいましたが、ライカR8とライカR9でユニークなのはデジタルバック「デジタルモジュールR」を使用することで、Rシステムとしてデジタル撮影ができたことです。高額だったこともありそれほど市場には流通しませんでしたが、日本ではとても人気があって生産中止になった今でも中古市場で探している方がいるようです。

−−それはやはりレンズへの評価でしょうか。

米山:これはライカに限らないことですが、「ドイツのレンズは違う」とはよく皆さん言われます。ドイツのカメラメーカー大手4社、シュナイダー、ローデンシュトック、ツァイス、ライカは非常に値段が高いですよね(笑)。

なぜ高いのかと言うと、やはり検査方法が違うからなのです。日本の場合、例えばピントの検査にしてもピントの中心をチェックするだけの簡易的な検査がほとんどでした。でもドイツの場合はDIN(ドイツ工業規格)に準拠していますから、解像度がどれくらい出るかを表すMTF曲線(Modulation Transfer Function)という指標を用いた厳格な検査を用います。最近でこそ日本のメーカーもMTFを導入していますが、ドイツの場合は昔から解像度を優先してきたという背景がありますね。

そして、このMTF曲線を良くするためには蛍石や低分散(ED/LD)レンズを使う必要がありますし、逆に使わないとそれだけの良いMTF曲線も出せません。結果、クオリティの高いマテリアルや高度な技術が必要になりますし、値段も高くならざるを得ないわけです。ただ、どちらのレンズが良い悪いということではなく、お客様のご要望に沿ったものを選んでいただければと思っています。

−−2000年以降はデジタル化が進み、どのメーカーもフィルムカメラからデジタルカメラへの転換を余儀なくされてきました。ライカのデジタル化への取り組みはいかがでしたか。

米山:ライカの本格的なデジタルカメラの第1号機は2006年に登場したライカM8ですね。ライカの場合、デジタルカメラに対する考え方がほかのメーカーとはまったく違いますし、その背景もユニークだったと思います。

当時、フィルムカメラのライカM7とライカMPの後続機となるライカM8の開発にあたって市場のニーズを検討したところ、市場ではデジタルへのご要望が高まっているように感じました。それで、「では、ライカM8はデジタルでいこう」となったわけです。つまり、先にデジタルレンズの開発を始めてからデジタルのシステムにシフトしたわけではありません。1から新しいデジタルレンズを作ったわけでもないですし、今までのレンズでそのまま無理なく使えたわけです。

−−つまり市場の需要に応じた結果、ライカM8はデジタルになったということですか。

米山:はい。ですからライカM8が出たときにも、「ライカM9はその限りではありません」と言って、その時点でフィルムへの要望があればライカM9はフィルムになるかもしれないと匂わせていました。

−−デジタル至上主義というわけではなかった。

米山:ライカM8が出たからといってライカM7やライカMPを廃盤にするわけでもないですし、今でも現行販売しています。レンズについても同じで、昔のレンズには昔のレンズなりの良い描写がありますし、モノクロにもモノクロなりの味があるので、それはそのまま楽しんでくださいというスタンスです。もちろんレンズの互換性も維持しています。

−−昔のレンズもそのまま使えるわけですね。

米山:はい。例えば最近のデジタル機種については6ビットコードを付けるとより有利になるなどの改造を受け付けていますがそれは一部の話で、スクリューマウントに遡ってもアダプタによって互換性が取れるようになっています。ですから、それこそ1920年代のレンズでも撮影はできるということですね。




▲APS-C CMOSセンサー(1,220万画素)搭載のハイエンドコンパクトデジタルカメラ「ライカX1」。f=24mm(35mm換算36mm相当)/F2.8/重量286g(バッテリー含まず)。ライカらしい精緻さとタフさを感じさせるボディ(クリックで拡大)



●コンパクトカメラの展開

−−では話を現在に移して、まずコンパクトカメラの展開についてお伺いします。ユーザー層については、Mシステムはプロやマニア、ハイアマチュアの方で、コンパクトカメラはコンシューマーだと思いますがライカX1の位置づけはいかがでしょうか。

米山:ライカX1はAPS-C CMOSセンサー搭載の高性能タイプで直営店の店頭価格は21万円です。APS-Cにもかかわらずコンパクトで単焦点、レンズもセンサー専用に設計しているので、サブカメラ、もしくは作品も撮れるカメラとしてお勧めしています。そうなると、もはやコンパクトのカテゴリーではないなという感じですよね。ハイアマチュアの方はもちろん、ライカのファンの方、あるいはMシステムは値段的に厳しいという方がターゲットで、プロの方にも売れています。

−−なるほど。コンパクトカメラと言ってもライカX1のユーザー層は幅広いですね。

米山:はい。ライカX1の下は10万円弱のライカV-LUX 2とD-LUX 5ですね。この2機はまったく異なるタイプのカメラで、V-LUX 2はフルハイビジョンが撮れる1,410万画素のカメラで、35mm判換算で600mm相当の焦点距離をカバーしています。フルハイビジョンに対応しているうえにフリーアングル液晶モニターを搭載しているので、まさにオールラウンドのカメラです。

逆に、ライカD-LUX 5は単発の画像を撮影するのに適しています。スチール画像専用に解放F値F2.0のレンズを搭載、レンズが大きくズーム比も無理をしていないという特徴がコンパクトながら描写が良いということで非常に人気です。また、有効解像度1,010万画素とはいえこちらの方がセンサーは大きいのでノイズも少ないですし、サブカメラとしてもお勧めしています。

−−ライカV-LUX 2とD-LUX 5より手頃なタイプもありますね。

米山:ライカV-LUX 20 という約7万円のモデルと、ライカC-LUX 3という6、7万円のモデルですね。こちらは女性やご旅行をされる方にお勧めの手頃な価格帯のコンパクトになります。



▲光学24倍のズームレンズを搭載した「ライカV-LUX 2」。35mm換算で25〜600mm相当の焦点距離をカバーするコンパクトデジタルカメラ。1,410万画素MOSセンサー搭載で、多用途に使えるコンシューマー向け製品(クリックで拡大)





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