・プロが愛用するコンパクトデジカメ

・私のレンズ、この1本





このコラムではプロカメラマンが愛用しているコンパクトデジカメについて、
その購入動機や気に入っている点などを、作例とともに語っていただく。




▲同じ筐体の「DP1x」と「DP2x」の2台を使っている。瞬時にどっちの焦点距離を使うか? 判別できるようにストラップの色を変えている。ストラップの色以外は設定などすべて同じにしてある。(クリックで拡大)

No.05


SIGMA DP1x & DP2x
撮像素子:20.7×13.8mm X3ダイレクトイメージセンサー(CMOS)、
有効画素数:約1406万画素(2,652×1,768×3層のFoveon X3)
レンズ:
DP1x:16.6mm F4(35mm換算28mm相当) 5群6枚
DP2x:24.2mm F2.8(35mm換算41mm相当) 6群7枚
発売日:
DP1x:2010年9月
DP2x:2011年5月




文:湯浅立志
1961年、群馬県生まれ。東京写真専門学校卒業後、広告写真スタジオの社員カメラマンとして15年勤務。独立後は雑誌、広告、Web媒体でモデル撮影から商品撮影まで幅広く活動。著書:Capture One 6 公式ガイドブック(PHASE ONE日本代理店DNPフォトルシオ刊)。連載:Capture One 徹底使いこなし術 Lightroom 実践力アップ講座。有限会社Y2 代表。(社)日本広告写真家協会会員。電塾 運営委員。 http://homepage3.nifty.com/y2/
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●使いこなしが難しいカメラ?

「クセのあるカメラ」「使いこなしが難しい」…そんな評価が定番なSIGMA DPシリーズを買ったのは数ヶ月前のことでした。

仕事ではキヤノン、ニコン、Phase Oneと定番的なカメラを使っているのですが、持ち歩き用のカメラは今までいろいろ買い換えてきました。キヤノンではIXY、Gシリーズ、S95、リコーではGR DIGITALとGXシリーズ…プロの誰もが良いと褒め称える単焦点コンパクト(GR DIGITAL III)も買ってはみたものの、1ヶ月で売ってしまうなど、迷いまくったコンパクト機の変遷でした。

そもそも、自分にとってコンパクトデジカメは何のためなのか? 携帯電話をiPhoneに換えてからはメモ用のカメラはiPhoneで十分ではないのか? 撮ったその場でメールも出せる、facebookにも、Twitterにも投稿できる。コンパクトデジカメで撮って、それを帰ってからPCに読み込み、SNSへアップロードなんて、よほどの写真じゃないとやる気にもならない。

そう、つまり、コンパクトデジカメに求めるものって、自分にとっては「よほどの写真」が撮れることなんじゃないか? と気が付きました。飲み会の写真なんてiPhoneで良いしょ!?

かといって、35ミリ一眼レフデジカメをいつも持ち歩くか? と言われると…去年ニコンD7000を買ったときは、小型で良く写るので毎日持ち歩きました。でも、それも続きません。流行りのミラーレスか…個人的に好きじゃないのでそれは却下。リコーのGR DIGITAL IVが出たので、また買ってみようか? と思って調べていたところ、SIGMAのDPシリーズが安くなっていることに気がつきました。発売後は7万円とかしてましたからね。その値段ならKissを買うよって当時は思ったものでした。Web上で評価や評判を探っていましたが、プロが絶賛のGR DIGITALが僕にはまったく合わなかったこともあり、他人の評価は当てにならない、買ってみるしかないな、と決断。

問題はDP1xとDP2xのどちらにするか? これはこのカメラを買おうと思う人のほとんどが悩むと思います。僕もそうでした。とりあえず、広角で風景なんか撮ってみたかったので、DP1xを買ってみました。

●購入後、オドロキの毎日

今時こんなカメラがあるのか? と言うのが第一印象。起動に始まり、AFスピードも遅い。露出の判断もよく分からない、内蔵ストロボも弱くて使い物にならない、キャップはなくなる、高感度も使い物にならない、RAW現像も純正ソフトが使いにくい…などなど。

でも、簡単に撮りたいならiPhoneで撮ればいいんです。あえてコンパクトデジカメを持つ意味、それってDP1xは満たしたのか? ってことですよね。使いにくい純正ソフト(SIGMA Photo Pro)は使わず、普段使い慣れているAdobe Lightroomで現像してみました。話は前後しますが、撮影はRAWです。仕事でもそうだし、だからRAW現像することに何のためらいもありません。今まで買って来たコンパクトデジカメのほとんどはRAW記録できるものだったのはそのためです。調整をLightroomでやってみると、その解像感に驚きました。こんなにコンパクトなのに35タイプのデジカメに匹敵するほどの解像感! これなら35タイプを持ち歩かなくても良いかも、しかも、独特の色が出る。そう、はまってしまったのでした。特に独特な色になるのは新鮮でした。フィルム時代からクロス現像をやったり、カラープリントも自分で焼いていたりしてたので、普通の色にならない方がむしろうれしい。何度も言うようですが、普通に撮りたいならiPhoneで撮れば? ってことです。

使いこなしが難しい、と言う評判も、プロカメラマンなら気にしなくて良い評価です。写真を撮る上で必要なことは何か? 構図を決めて、ピントを合わせて、露出を合わせて、シャッターを切る。この一連の動作の中、重要なカメラ操作は、ピント合わせ、露出補正のしやすさでしょう。AFは遅い、合焦も迷う、でも、そんな時はマニュアルピントにすればよい。ボタン1つでマニュアルになります。露出補正も十字キーからダイレクト操作。プロカメラマンならなんてことない動作です。僕にはむしろソニーのコンパクト機の方がメニュー構造が複雑で分からない。

内蔵ストロボもいりません。だって記念写真撮るカメラじゃないし。高感度もいりません。そんな夜中に何撮るの? キャップも、外部ファインダーも付け替えました。ストラップも2本吊りなんて面倒なだけ。手ぶれ補正も付いていません。でも、プロカメラマンなら、しっかりホールドして撮るでしょ? 露出も一発で決まりません。でも、プロカメラマンならバラスなり、ヒストグラムで判断できるでしょ?

プロなら普通に使えるカメラ

そうなんです。プロなら普通に使えるカメラなんです、DPシリーズは。

ここまではまってしまうと、単焦点に満足できなくなってきます。もう少し長いレンズだったら
そう思うシーンが多々ありました。
DP2xがあれば…そんな事が頭をよぎります。そんな折、ちょうど知り合いがDP2xを売りたいという話。もう、運命と思うしかないでしょ。早速買うことにしました。DPシリーズはハマル人はハマリますが、外れる人も多いカメラだと思います。そのせいか、中古市場でもDPシリーズの数が多いのです。欲しいと思ったらまず中古を探すと良いかもしれません。

これでDPが2台、焦点距離ちがいで持ってしまいました。知らない人からは「何で同じのが2台も?」と思われますが…DPシリーズを使うにはこの2台持ちが便利です。ほとんど同じ筐体だから操作感も同じ。その日の気分でどっちかを持って出ても良いし、2台ともバックに入れてもそんなに荷物になりません。どっちを買おうか? 迷っている人は両方買ってしまうことを勧めます。今は値下がりもしたので新品で2台買っても7万円台だし、中古ならもっと安いでしょう。新しいデジカメも魅力的ですが、自分に合っているのは何なのか? もう一度考えてみましょう。シグマのDPシリーズはそのことを考えさせてくれるカメラです。

Foveonについて

ご存じのようにこのDP系のカメラは他のデジタルカメラと違ってFoveonというシグマ独自の撮像素子を使っています。しかも、他のコンパクトデジカメと比較して大型のセンサーを入れ込んでいます。

DP系の特徴である圧倒的な解像感、シャープさはこのFoveonと大型センサーからくるものと推測しています。こればかりは他社は真似したくてもマネができない。その引き替えとして、独自の現像ソフトとサードパーティの現像ソフトとの仕上がりの差が大きいと思っています(僕が使っているのはAdobe系のアプリケーションです。Capture Oneが対応してくれればうれしいのですが)。

ただ、フィルムの時代にポジフィルムをネガ現していたり、カラープリントの自家処理をした写真家からすれば、純正現像と他社の現像液を使って仕上がりを変えられるのは、むしろメリットと思います。この辺りをどう考えるか? それがシグマのDP系にハマルか、ハマらないか? の分かれ目なような気がします。

さて、次に実際に使ってみてのインプレッションを少し書きましょう。

純正ソフト、SIGMA Photo Proとの現像比較



▲Lightroom3での現像。(クリックで拡大)



▲SIGMA Photo Proでの現像。(クリックで拡大)






現状、シグマのフォビオンセンサー(Foveon X3)のRAWに対応しているAdobe Photosho Lightroomでの現像が多い。難点は青色の再現の違いが大きい。それと、細部の描写は純正ソフトの方が高精細になります。これは大きくしたい、と言うときだけ純正ソフトで現像しています。



▲純正ソフトでも普通に現像すると画素数が減ります。もちろん、マトリクス配置の他社センサーと同等と考えるなら、ここで×2を選択します。(クリックで拡大)



▲Lightroomでの現像では自分なりのプリセットを作ってあるので、一発で自分好みになるようになっています。(クリックで拡大)





●「DP1x」による作例



▲葛西臨海公園にて。狙ったところにピントが来て、しかもシャープ。当たり前のことなんだけど、それができないコンパクトが多い。 (クリックで拡大)



▲品川にて。僕の毎日の通勤路だが、太陽の当たり方できれいな光になる。ダイレクト光を画面内に入れると、その光芒が好きだ。こういう写りをするレンズは少ない。 (クリックで拡大)


▲ナイアガラの滝にて。手持ちで撮っているが、細部までシャープだ。Lightroomでモノクロに変換、調整して現像している。(クリックで拡大)



●「DP2x」による作例



▲後楽園にて。紅葉のきれいな季節に寄った。DPの現像は昔のカラープリントを自分でやっていたときのことを思い出すようだ。色がどう出るか? それが楽しい。 (クリックで拡大)



▲ナイアガラオンザレイクにて。曇天で天気が悪い日が続いたが、そのしっとり感も写る気がする。 (クリックで拡大)


▲ナイアガラオンザレイクにて。おもむくままにシャッターを切る。それでも作品になる、という気がするのはシグマのDPシリーズで撮っているときが多いと思う。 (クリックで拡大)



これ以外に、FlickrにシグマDPシリーズの写真を載せていますのでご覧ください。
SIGMA DP1x & DP2x set


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